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| 映画『バンク・ジョブ』『デス・レース』2本の主演作が、昨年11月に立て続けに公開となったジェイソン・ステイサム。「誰それ?」という方々もいるかもしれないが、欧米では主演作がコンスタントに製作されている、れっきとしたスターなのだ。坊主頭に近いヘアスタイルに、いかつい顔つきでしゃがれた声に、引き締まったボディー。一歩間違えればヤ○ザに見えなくもないし、ジョニデやブラピにときめく婦女子の支持を得られるなんて、はっきり言って想像できない。かといって、シルヴェスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガーのような無敵のアクション・スターや、スティーヴン・セガール的なおれ様ヒーローとも明らかに違う。では、ジェイソンとは一体何者なのか? その魅力を徹底解剖してみたい。
文/相馬 学 | |
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ジェイソンを語る上で、まず触れなければならないのは、飛び込みのイギリス代表選手だったこと。逆三角形のスポーツマン体型はその時代に培われたもので、これがアクション映画ではビジュアル的にモノを言う上に、運動神経の点でも強い味方となる。代表作映画『トランスポーター』シリーズの第2作で、ジェイソンは肉弾戦の迫力を遺憾なく見せつけている。無意味に上半身裸になり、割れた腹筋をアピールしているのも、何だかほほ笑ましかったりするが、それでもこのスピーディーな動きは簡単に演じられるものではないし、素養があってこそだ。それを証明するのが、アジアが世界に誇る武術アクター、ジェット・リーと共演した映画『ローグ
アサシン』。ジェット・リーは映画『リーサル・ウェポン4』に出演した際、そのアクションが早過ぎるため、主演のメル・ギブソンに「もっとゆっくりやってくれ」とお願いされたほどだが、ジェイソンは彼と対等に張り合ってガチンコ対決を演じたのだから、身体能力で優れている点もうかがい知れる。 | |
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ジェイソンについて、もう一つ重要なのは根っからの庶民派であること。ロンドンのストリート育ちで、父親の仕事を手伝い、観光客でにぎわうオックスフォード・ストリートでバッタ物のブランド品などを売る露天商をしていたこともある。そう、デビュー作映画『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』で演じたチンピラは、ある意味彼の実像でもあるのだ。そんな人間が家庭を持つとこうなる、といえなくもないキャラクターに挑んだ『バンク・ジョブ』でジェイソンは、借金に追われた揚げ句、最愛の妻子のために銀行強盗計画に加担する中古車ディーラーにふんしている。昔はヤンチャもしていたが、今では気のいい下町のオッサンという風情で好感度は高い。ちなみに『トランスポーター』『ミニミニ大作戦』『デス・レース』とジェイソンは、抜群のドライビングテクニックを誇る役を務めることが多いが、これに説得力を持たせているのは彼のヤンキー的存在感のおかげかもしれない!? | |
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そしてもう一つ、常に全力投球する仕事への姿勢も彼の魅力だ。今や全米ナンバーワン・ヒット作を放つほどのスターであるにもかかわらず、「いい気になっていたら、転落してストリートに戻らなきゃいけなくなる」と公言する彼は、B級映画でも手抜きはしない。興奮し続けないと死んでしまう薬をうたれたヒットマンの奔走……という、アイデアは面白いが非現実的な映画『アドレナリン』は、やり過ぎなほどである彼の熱演のおかげでユーモアあふれるアクションとなった。アドレナリンを出し続けるために、トースターで手を焼いてみたり、街でケンカをふっかけたり、公衆の面前でエッチしてみたりする主人公。バカバカしいといえなくもないこの設定のもと、ジェイソンが体現する必死さは、あまりにも面白過ぎる。これは彼のひたむきさが、思わぬ形で生きた快作なのだ。
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かくも魅力的なジェイソンは2009年も全力疾走。『トランスポーター』『アドレナリン』の続編が控えている上に、これまた続編で『ミニミニ大作戦』の第2作の撮影にも入るとのことだ。デンジャラスっぽく見えてなぜかファニー、それでいて不思議と親近感のわく、唯一無二の個性を持ったこの男から、今後も目が離せない! |
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