『リリィ、はちみつ色の秘密』特集第2弾:あなたの愛は、誰に似ている?リリィが出会う三姉妹の愛をタイプ別にチェック!
【特集第2弾】あなたの愛は、誰に似ている? リリィが出会う三姉妹の愛をタイプ別にチェック!
1960年代。白人の少女リリィが、亡くなった母の愛を求めてたどり着いた黒人三姉妹の家。そこはリリィが体験したことのない愛情に満ちた空間でした。まるではちみつのように滑らかに、そして優しく、彼女と観客を包み込む三姉妹の愛。まったくタイプの違う3人との出会いは、アナタの心にも変化を与えること間違いなし。きっと瞳からあふれ出る涙の清らかさに、アナタ自身も驚かされるはずです。
家を飛び出したリリィと黒人家政婦のロザリンに、事情を追及することなく住む小屋を提供したオーガスト。養蜂場を営み、一家の大黒柱である彼女は、8月の太陽のように大きな存在。よそ者かつ白人のリリィにも優しく仕事を教え、大事なハチとの接し方を伝授する。「ハチに愛を送ること」という教え。それは非常にオーガストらしい言葉。何ごとにも動じない母のように大きな愛は、わたしたちも包み込み、安心感から生まれる自然な涙を誘います。
音楽教師の二女ジューンは、とても進歩的な人。才能豊かな彼女は、愛イコール結婚ではないと考えており、同僚からのプロポーズも断りっぱなし。それは形式にとらわれない自由さと同時に、愛に自信が持てない弱さの裏返しにも。リリィが彼女たちの生活に入ってきたときも、彼女はバリアを張る。一見、冷たそうなジューンですが、彼女の愛は深くて振り幅があるもの。だからこそリリィとの関係の変化に、決してうそではない重みのある愛がズシリと響くのです。
双子として生まれ、常に妹と一心同体だったメイ。でもあるとき、妹は死んでしまいます。それはメイの一部が死んだと同じこと。リリィがやって来たとき、彼女はリリィの髪を結ったり、パンケーキを焼いたりと、できる限りの母性を持って接しますが、心に空白のあるメイは、わずかなことでも傷つき、他人の痛みにも過剰に反応して精神のバランスを崩してしまいます。でも、そんなメイだからこそ、リリィはホッとできるのです。メイは傷を知っているからこそ、愛を伝えられるのだから……。
4歳のころ、事故で母を拳銃で撃ってしまったリリィ。心の傷は14歳になった今も深く残っています。そんなとき、支えになるべきは父親。でも父は癒すどころか、いつも怒鳴りちらして体罰を加えるばかり。でも彼女が家を飛び出した原因は、「ママはお前を捨てた!」との父の言葉。父への憎悪よりも、母の愛への枯渇の方が上だったのです。さらに彼女の心には、自分は愛される資格のない子なのでは? との疑問まで。そんな辛過ぎる思いを表現できずにいる、リリィのけなげさに涙を誘われます。
おおらかで強い愛、進歩的だけれど、弱さも秘めた愛。そして現実を生きるには繊細(せんさい)過ぎる愛。さまざまな愛と出会ったとき、リリィの人生は確実に一歩を進めました。後ろ向きな日々を過ごしていたリリィが、クライマックス近くで見せるいきいきとした表情の変化には、目がくぎ付け。そしてその成長に、涙、涙。また涙。さらに彼女を取り巻くすべての人々の幸せを願わずにいられなくなるでしょう。タイプは違えど、皆かけがえのない愛。その中にはアナタの心に通じるものもあるのでは!?