第3回
今月の5つ星
毎月公開される新作映画の中から、シネマトゥデイ編集部おススメの5本を紹介します。
アカデミー賞関連の作品から巨匠の新作まで、キラっと光る良作揃いのラインナップです。
原作は全世界で、シリーズ累計2,500万部を記録した大ヒット小説。これまでバンパイアを題材とした作品は、ホラー映画として扱われてきたが、本作で登場するバンパイアは、人間と共存し、人の血ではなく動物の血で生きており、これまでのバンパイアのイメージを覆す。そして、 バンパイアと人間という強者(食う者)と弱者(食われる者)の恋愛模様を描いているところが面白い。今、全世界で注目を集めるイケメン俳優ロバート・パティンソン演じるエドワードが、バンパイアの本能である血を吸いたい! という衝動に苦悩しながらも、ヒロインのベラを守るいちずな姿には、女性からしてみれば胸キュンすること間違いなしっ! だが、ありきたりの恋愛映画と侮ってはいけない。最後には、青春時代の甘酸っぱい懐かしい気分を味わせてくれる一本だ。
生き別れた幼なじみと再会するため、「クイズ$ミリオネア」に出場した青年の話なのだが、そう単純に物語は展開しない。幼いころの貧しい生活から、番組に出場するまでの壮絶な人生とともに、それと併せて主人公ジャマールが答えるクイズ内容が、これまでの人生とうまくマッチし、深みのあるストーリーとなっているのだ。「クイズ$ミリオネア」の司会者も、雰囲気を出しつつ、物語のアクセントとなっており、番組とともにストーリーを盛り上げる。アカデミー賞を総なめにした作品というのも、うなずける作品だ。ちなみにエンディングで、音楽に合わせてみんなが踊っているのだが、スタイリッシュな映像と合わさってかなりカッコイイ! 本編と同じくらい要チェック!
同性愛者としてアメリカで初めて公職に就き、同僚の議員に射殺された実在の人物、ハーヴェイ・ミルクの最後の8年間を描いた伝記映画。本作には、ミルクという人物とその周囲に起こった波動を、心象描写を排し、あくまでも外側から描こうとする硬派なスタンスが貫かれている。同性愛者としての苦悩を感傷的に描くのではなく、行動を重ね世間を動かしていく様子から作り上げられるミルク像は力強い。それだけに、後半で一瞬だけミルクが苦悩をあらわにするシーンが胸に突き刺さる。時に恋人をも犠牲にしながら奔走する政治家としてのミルクを描く目線はフラットで、マイノリティーの英雄を手放しに持ち上げるものではないが、最終的に浮かび上がるのは、とびきりチャーミングで懐の深い愛すべき革命者の姿だ。この作品でアカデミー賞主演男優賞に輝いたショーン・ペンをはじめ、エミール・ハーシュ、ジェームズ・フランコなど、同性愛コミュニティーの仲間を演じる俳優たちのシナっと色っぽい名演も見逃せない!
ブラッド・ピットとジョージ・クルーニーが共演のクライム・エンターテインメント! と聞いて、スタイリッシュで面白いに違いない!! と期待に胸膨らませている方々、残念ながら……この作品にカッコイイ彼らは一切登場しない。いや、彼らに限らずカッコイイ登場人物はいないと言ってしまってもいいだろう。ジョエル、イーサン・コーエン兄弟ファンでなくても、夢のような豪華キャスティングが実現しているのに、超個性的な登場人物は誰もがとにかく残念!! 彼らは至って大まじめに生きているだけなのに、何だってこんなにもズレていておかしいの!? そう思わずにはいられない、コーエン兄弟ワールドが全開の本作。たった一枚のCD-ROMが、こんなにもバカバカしい大惨事を引き起こせるなんて! 思い込みとは何て怖いものなのだろうか。コーエン兄弟の真骨頂を存分に堪能できる逸作。ブラピ演じるピュアなアホ男も必見だ!!
4年ぶりに、クリント・イーストウッドが主演と監督を務める映画。なぜイーストウッドの作る映画は、こんなにも観る者の心を打つのだろう? ダイレクトに感情に訴えかけてくる。理屈抜きに観ても心に訴えかけてくるし、それなりに理屈を考えても深く考えさせられる。とてもシンプルだが、生と死を静かに見つめた物語が心にジワ~と染み込んでくる。役者たちのまじめな演技が笑いを誘うシーンも随所に散りばめられおり、差別用語を平然と連発したり、ブルドックのように「がるる~」とうなるイーストウッドの演技も最高!