今週末、第81回アカデミー賞を総なめにした話題作映画『スラムドッグ$ミリオネア』が公開されます。大旋風を巻き起こしそうな予感いっぱいの本作公開を記念して、ダニー・ボイル監督の過去作を振り返ってみましょう。 |
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麻薬常習者のレントン(ユアン・マクレガー)は、麻薬を断とうと決意する。ロンドンで仕事を見つけ、健全な生活を送ろうとする彼だったが、仲間たちのせいでクビになってしまう。結局、ドラッグを売りさばくことで一儲けしようともくろむレントンと仲間たちは、セックスとドラッグ漬けの毎日を送るのだったが……。
公開当時一世を風靡(ふうび)したダニー監督の大出世作。退廃的な生活をスタイリッシュに描いたこの作品に、若者たちは大熱狂。サウンドトラックを始め、Tシャツやポスターなどもバカ売れし、1990年代のポップカルチャーを象徴する作品となりました。今ではセレブな俳優、ユアン・マクレガーが主役のジャンキー、レントン役でカリスマ的人気を得たことでも有名です。グロテスクな幻覚シーンやリアルなセックスシーンなども話題になった、ちょっとカゲキな一本です。 |
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一大ブームでした……。ダニー・ボイル |
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海外放浪中のリチャード(レオナルド・ディカプリオ)は、タイの宿で知り合ったダフィ(ロバート・カーライル)からある地図を手に入れる。そこに記してあったのは、伝説のビーチへの道筋だった。フランス人のカップルを誘い、地図をもとにたどり着いた島の奥には、大麻とセックスであふれた地上の楽園が存在していた。しばらくの間、快楽に浸るリチャードたちだったが、ある事件から楽園は崩壊の一途をたどっていく……。
ベストセラー小説を映画化したアドベンチャー・サスペンス。レオナルド・ディカプリオが、ひょんなことから伝説の楽園に辿り着くバックパッカーを演じています。麻薬とセックスにおぼれる若者たち……といった享楽的で退廃的なモチーフは『トレインスポッティング』を引き継ぐ路線でしたが、こちらの評判はイマイチでした……。撮影時はタイ政府とひと悶着あったり、最終的にばく大な費用をかけたにもかかわらず、トホホな結果に。レオ様の意外な不評作です。ですが、当時旬のアーティストを集めたサウンドトラックには、思い入れのある人も多いのでは? |
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ちょっとガッカリな一本……? レオナルド・ディカプリオ |
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危険な感染症にかかったチンパンジーが、動物愛護団体によっておりから解放されてしまった。それにより、感染者の精神を冒し、その人を凶暴に変えてしまうウイルスが瞬く間にロンドン中にまん延する。ウイルスの発生から28日後、交通事故による昏睡(こんすい)状態から目覚めたメッセンジャーのジム(キリアン・マーフィ)は、病院の静けさに気付く。様子を確かめに外に出たジムに突然襲い掛かってきたのは、ウイルスの感染者だった……。
感染した人間に怒りをもたらすウイルスが登場するSFホラー。『ザ・ビーチ』の原作者であるアレックス・ガーランドの脚本で描かれた、この世の終わりを思わせるサバイバルはスリル満点。また、現在では実力派俳優として着々と名を上げつつある主演のキリアン・マーフィにも注目です! 『トレインスポッティング』以降鳴かず飛ばずだったダニーが再び評判を取り戻したこの作品、2007年には続編となる映画『28週後…』も公開されました。 |
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『28日後…』
Sundance / WireImage / Getty Images |
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テレビのクイズ番組「クイズ$ミリオネア」に出演た少年ジャマール(デヴ・パテル)は、難問をクリアし残り1問までたどり着く。しかし、スラム街育ちでまともな教育を受けていないジャマールがクイズの答えを知るはずがないと決めてかかった警察は、彼を不正の容疑で逮捕してしまう。そして、尋問を受けるジャマールの答えからわったのは、驚くべき真実だった……。
第81回アカデミー賞では、作品賞、監督賞をはじめ、8部門を受賞するなど、世界の賞レースを席巻した本作。退廃や享楽、若者や終末論といった暗いテーマとは一変して、ヒューマニティーあふれる作風は評判を呼んでいます。この映画の公開は、『トレインスポッティング』『28日後…』に続き、新たにダニー監督のファンを増やすきっかけとなるに違いありません。個性派監督は、感動作を生み出し巨匠へと変化を遂げました。きっと心が温かくなる一本です。 |
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『スラムドッグ$ミリオネア』
(C) 2008 Celador Films and Channel 4 Television Corporation |
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文・構成:シネマトゥデイ編集部
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