第4回
今月の5つ星
毎月公開される新作映画の中から、シネマトゥデイ編集部おススメの5本を紹介します。
日米同時公開の続編からイケメン揃いのアクションまで、充実のラインナップです。
口コミだけで500万人を動員し、さまざまな韓国の映画祭で主要部門を独占するなど、2008年の韓国映画界を震撼(しんかん)させた本作。無名の新人監督にイケメンでない二人の演技派俳優、一体何がそんなにも人々を引き付けたのだろうか。緊迫感、このキーワードに尽きるかもしれない。実際に韓国で起こった衝撃の事件がヒントとなり生まれた本作は、のっけから目を覆うような残忍なシーンで、ホラー映画のような恐怖と緊迫感に支配される。そして物語が進むにつれ、今度はどうしようもなく自分勝手な二人の男によって繰り広げられる終始緩むことのない緊張の糸に支配され、見入ってしまう。加えて一見普通で今どきっぽい犯人は、われわれの日常との密接さを感じさせるだけに、後からジワジワと再び恐怖が体中を駆け巡る。多くを知らずにこの緊迫感に体当たりしてほしい作品だ。
19世紀、清朝の中国を舞台に、男たちの熱いきずなと裏切りの全ぼうが描かれる。義兄弟の契りを交わしたジェット・リー、アンディ・ラウ、金城武の3大スターが事あるごとに雄たけびを上げる、暑苦しいまでの猛々しさに終始圧倒されるばかり。戦のシーンのスプラッター度の高さは、そのテを好む人にとっては意外にオイシイところかも。真相が謎のままだという歴史的事件をモチーフに、その事件の因果関係を壮大で悲哀に満ちたロマンとして紡いでいるという点を考えてみると、何だかスケールのデッカイ妄想をお金のかかった映像で観させられている気分の良さがある。息もつかせぬアクションと巧みな語りで最後まで飽きさせない上に、イケメンぞろいの刺激的な一本。
世界中で大ベストセラーとなったダン・ブラウンの小説を映画化した、映画『ダ・ヴィンチ・コード』の続編である映画『天使と悪魔』。スタッフ・キャストは前作同様、監督にロン・ハワード、プロデューサーにブライアン・グレイザー、主演はもちろんトム・ハンクスが務める。25年前に制作された『スプラッシュ』以来数々のヒット作を作り出し、ハリウッドの黄金トリオとも呼ばれるこの3人組が作った作品はさすがに匠の技の領域に達している。文庫本で3冊にも及ぶ原作をややこしい人間関係は極力シンプルにし、ミステリー色を強くして、2時間18分の映画にまとめあげた構成は、シンプルで簡潔。しかし、それが逆に功を奏し物語のスピード感をアップさせている。宗教心ゼロ、科学心ゼロまたその反対の人でも十分に楽しめる良質のミステリーに仕上がっている。
頭はいいが、見た目がちょっと残念な兄を加瀬亮、イケメンの弟を岡田将生が演じている。岡田くんのお兄ちゃん子の姿が何ともカワイイ。重いストーリーだからか、草食系男子の雰囲気を持つ俳優ばかりが勢ぞろい。ミステリーという部分ではカンタンに察しがつくが、映画の核は「大切な人への強い思いがあれば、何でも乗り越えられる」という部分。きれいごとだと言う人もいるかもしれないが、小日向文世ふんするお父さんを見ると、どんなときでも何があっても親は親なのだと感じる。小日向さえ(!?)も格好良く見える! 逆に、渡部篤郎のふてぶてしさは最強。自分のしたことを悪いと思っていない理由は、犯罪者の考え方をうまく表していて妙に説得力がある。でも、まったく筋が通っていないですけどね。家族の温かい愛情と、カワイイ岡田くん必見の一本です。
テレビドラマ「ROOKIES」で、暑苦しいくらいの友情やきずなを見せてくれた“ニコガク野球部”が、スクリーンに戻って来た。ドラマ版での展開パターンやカメラワークなどをベースにしており、新たなメンバーとのエピソードや、甲子園の舞台を目指す彼らの熱き物語は、映画という新しい舞台でもテンションを保ったままだ。また、心に豪速球が突き刺さるような激アツな言葉のオンパレードは、映画版でも健在。頭で考える作品ではなく、心で感じる作品だと改めて痛感した。まっすぐでひたむきな彼らの熱き物語を、スクリーンで観ない理由はない! ちなみに、横浜ベイスターズの“ハマの番長”こと三浦大輔投手が出演しているのだが、あまりにも意外なところでの登場なので、こちらも要注目だ!