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~第10回 2009年8月~

INTERVIEW@big apple

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INTERVIEW@big apple

今月は、アメリカ映画界を代表する西海岸の巨匠監督フランシス・フォード・コッポラ、一方東海岸の巨匠監督ウディ・アレン、そして映画『砂と霧の家』でオスカーにノミネートされたショーレ・アグダシュールなどの取材を紹介します!

6月5日巨匠コッポラ監督の新作映画を宣伝するのはワイン会社の人々?(ビークマン・タワー・ホテルにて)

映画『テトロ』(原題)

アメリカに住むイタリア系移民の青年ベニー(オールデン・エーレンライク)は、何年も前に家族を捨て、今は自虐的な生活を送る兄テトロ(ヴィンセント・ギャロ)に会いにアルゼンチンのブエノスアイレスを訪れる。

フランシス・フォード・コッポラ監督

フランシス・フォード・コッポラ/オールデン・エーレンライク

6月11日にアメリカでは劇場公開されるにもかかわらず、ギリギリになっても試写状が回ってこない状態だった。一体どこの宣伝会社が扱っているのか? 取材はできないのか? と不安になり始めた公開10日前。ようやく試写会の知らせが届いた! しかし宣伝会社の名前を見てみると今までに聞いたことのない会社名。それもそのはず、この宣伝会社は、コッポラが所有するワイナリーの宣伝を担当している会社だったのだ。

ワイン業界の人たちが映画の宣伝もやるなんて、大丈夫なのかと取材部屋に入ると、記者の数は僕を含めてわずか3名。しかも「コッポラとオールデンで30分ずつのインタビューね」と告げるスタッフ。こんなラッキーなことはない! しかも二人の記者は大勢来るかと思って質問を用意していなかった! 準備万端の僕は「単独インタビューみたいなもんだ!」と大興奮。過去作品の話をしようかと思ったが、映画『コッポラの胡蝶の夢』の取材の際に長い返答をされて苦戦したことを思い出し、二人の記者に遠慮して本作の質問のみに絞って開始。でも、やっぱり聞きたい! そして過去作品について聞き出したのだが、僕がそちらにシフトチェンジした途端、二人の記者も身を乗り出して同じような質問をし始めた。まったく、それならそうと早く質問すればいいのに。ちょっとムッとしたが、素晴らしいインタビューになったのでうれしかった。

6月11日写真禁止を無視した記者に一言言いたい!(リージェンシー・ホテルにて)

映画『ホワットエバー・ワークス』(原題)

人をバカにし続け、何事にもイチャモンをつけて生きてきた男ボリス(ラリー・デヴィッド)。上流階級人生を捨て、自由気ままな暮らしを選んでみたものの、ある日南部から訪れた能天気な女性メロディ(エヴァン・レイチェル・ウッド)と同棲(どうせい)することになり……。


ウディ・アレン監督ラリー・デヴィッド、エヴァン・レイチェル・ウッド、パトリシア・クラークソン

混みあう会場/記者用フード

大勢のマスコミが埋め尽くし、ただならぬ空気が張り詰めていた記者会見場。そして関係者からの「写真は一切禁止! 会見終了後もNG! もし撮ったらこの場からつまみ出すからね!」との高圧的な宣言。そんな中ナーバス気味にやって来たのはウディ・アレン監督だ。しかも震えている。「緊張しているのか……」と思っていたら、ラリー・デヴィッドが「おい、誰か! アレン監督にジャケットを貸してくれ! クーラーが寒過ぎるってさ!」とのコメント。ニューヨークの巨匠の震えは、クーラーが原因だった。

そして会見がスタート。その瞬間に僕の横の席からパシャ、パシャというシャッター音が。見ると、ゴシップ系サイトHollywood-Elsewhereの記者ジェフリー・ウェルズが立ち上がって撮影しているではないか! 自分のサイトで映画コラムだけでなく、その日起こったことを書き立てることで有名なジェフリー。そんな彼を注意したら、絶対にボロクソに書かれてしまうと思ったほかの記者たちは、彼を止めることができない! さらに高圧的宣言を発令した関係者の間にも「ジェフリーなら仕方ない」的な空気が……。普段なら全然気にしない僕だが、今回はレコーダーをテーブルには置けなかったために、自分のひざ元に置いていた。だからジェフリーのシャッター音が入ってしまって、記者会見のコメントがまったく聞き取れない状態に!

最初は黙っていた僕。だがもう我慢の限界! ついに「おい! そんなに撮って写真展でも開くの? シャッター音を記事にするつもりはないんだけど!」と一喝。さすがにこの言葉は響いたのか、そそくさとカメラをしまったジェフリー。幸いにも、僕の名が彼のサイトに載ることはなかった……。

6月16日アカデミー賞ノミネート女優に手を握られる!(リージェンシー・ホテルにて)

映画『ザ・ストーニング・オブ・ソラヤ・M』(原題)

不当な理由で石打の刑にされた甥(おい)を持つイラン人女性(ショーレ・アグダシュルー)の物語。石打の刑とは、罪人の体の半分を地中に埋め、大勢の者が死ぬまで石を投げつける処刑法。イランやアフリカなどのイスラム教国の地域で採用されており、主に同性愛や姦通罪が多い。

ショーレ・アグダシュルー、サイラス・ナウレステ監督

ショーレ・アグダシュルー/サイラス・ナウレステ監督と妻ベッツィー

ショーレ・アグダシュルーは笑顔で入って来るなり、テーブルに座っている記者たち一人一人に握手し、記者の名前を聞き出すほど気さくな人物。彼女は今年で57歳らしいが、肌のつやからみても、40代半ばにしか見えないくらいだ。インタビュー中に、イランの巨匠アッバス・キアロスタミ監督に見出されたときの質問を僕がすると、「そうねぇ~、もう30年以上も前の話だわ。あなたは生まれてなかったんじゃないの?」と懐かしむように笑い、「手を見ればわかるのよ。その人がどれくらい歳を取っているか」とハンドクリームを塗るかのように僕の手をさすってきた。

一方、監督のサイラス・ナウレステは正反対。サイラス監督は、記者たちの質問に答えてやっているという態度。「わからない」だけの返答や、女性からの質問には極端な態度で答えたくないような雰囲気を出していた。しかしそれを後ろから見ていたのが、本作の脚本家であり監督の奥さんでもあるベッツィー。不まじめな態度に業を煮やしたのか、いきなりインタビューに参加。サイラス監督の代わりに答える感じでインタビューは進み、その姿に恐縮したのか、サイラス監督は最後の写真撮影では満面の笑顔で応じていた。取材の後に、石打ちの刑よりひどい仕打がサイラス監督を待ち受けているのだろうと思ってしまった。

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