私的ドラマ宣言!ライター、編集者のお気に入りドラマをご紹介
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私的ドラマ宣言!ライター、編集者のお気に入りドラマをご紹介
9月に発表されたテレビ界の年に一度の大イベント、エミー賞。2年連続でドラマ部門作品賞に輝いた「MAD MEN」を筆頭に、受賞作&候補作には見応えのある秀作やヒット作がズラリと並ぶ。が、面白いのになぜかエミー賞主要部門には名前が挙がらない名作や賞とは無縁だけど面白いドラマはまだまだいっぱいある! というわけで、ドラマ通の6名が個人的に気に入っているドラマをご紹介。好きなドラマの傾向と合わせて、観るべきドラマ選びの参考にしてみて!
ライター 山縣みどりのオススメ! 「THE TUDORS~背徳の王冠~」
後継ぎ息子欲しさに6人もの嫁を次々とめとったヘンリー8世の人生を描くドラマだが、権力をめぐる家臣の争いや複雑な計略、物のように扱われる女性の悲しさ、王の不興を買った人間が落ちて行く地獄とすべてがドラマチック。エロスと暴力に満ちたチューダー朝の日々は、現存する王室の中でも最も華やかでスキャンダラスなイギリス王室の原点ともいえるかも。アイルランドの古城を使ったロケや豪華な衣装・美術はドラマの枠を越えた迫力で、史劇に強いBBCが製作に関わっているだけあると納得。役者陣も演技派がそろっている上、王の親友を演じるヘンリー・カヴィルはじめイケメン俳優がセクシーな裸体を披露するあたりも女心をくすぐりまくる。史実は多少曲げてあるが、ドラマだもん。
ライタープロフィール
キラリと光る新進スターを発掘するのが好きなので、新ドラは頑張ってチェック。ただ「ジェリコ~閉ざされた街~」「ラスベガス」「プッシング・デイジー ~恋するパイメーカー~」と好きなドラマが打ち切りになる傾向が!? 復活逆転した「Friday Night Lights」の日本上陸を期待。
「THE TUDORS~背徳の王冠~」Showtime Ent.
価格3,767円
16世紀チューダー朝のイングランド王ヘンリー8世の波乱に満ちた人生を描く。AXNミステリーで11月より放送スタート(写真はアメリカ版DVD)
ライター 池田敏のオススメ!「コールドケース」
米国では一般的に、殺人などの凶悪犯罪に時効がない。そこで各地の警察に未解決事件を調べるコールドケース・ユニットがあり(日本でもロス疑惑再燃で注目された)、それを題材にしたのがこのドラマ。驚かされるのは、過去の事件を再捜査する展開のもと、この数十年間に米国でどんな社会問題があったか、臆(おく)することなく再現していること。刑事ドラマでありながら、タイムトラベルの夢を見せてくれるファンタジーという独創性。いや、現実逃避でなく、むしろ観る者を生々しい悪夢の世界にいざなうのだ。現代史の中で差別され、虐げられ、悔しさを胸に、この世を去っていった犠牲者たちへの鎮魂歌。「今一番泣けるミステリー」としてお薦めする。
ライタープロフィール
1967年・東京生まれ。1979年頃、家にベータのビデオが来て「超人ハルク」をエアチェックしたのが海外ドラマファン歴の始まり。以来、「西部警察」世代として刑事ドラマ中心に海外ドラマを観まくり続けて現在に至る。
「コールドケース」
過去の未解決凶悪犯罪を再捜査して解決に導くクライム・サスペンス。製作総指揮はジェリー・ブラッカイマー。WOWOW、AXNで放送中
Photo:Album/アフロ
ライター 幕田千宏のオススメ!「ユーリカ~事件です!カーター保安官」
住民のほとんどが天才で構成されている政府極秘の町ユーリカに、ひょんなことから赴任することになったカーター保安官と、町の住民たちの不思議な日常をコミカルに描いた本作。なんとなーく地味な印象があるけれど、コミカルな演出の中に、天才集団の中では世の一般常識など通じない、その不条理さをしっかり描いているところはドラマとしてもかなり秀逸。バリバリのハードコアSFと違ってまさに空想科学という言葉がピッタリのユーモラスな世界観と、不条理を描くシニカルな視点のカップリングが最高! なんともゆる~い空気が漂っているのに、さりげなく盛り込まれた毒っ気にしびれます。SFが苦手という人も食わず嫌いせずぜひ観てほしい1作。
ライタープロフィール
気がつけば海外ドラマ歴30年に迫る映画・海外ドラマライター。人間がきちんと描かれているドラマが好き。「ドラマには毒があってなんぼ」が基本姿勢ながら、一方でピュアなドラマにもコロっとやられる両極端な傾向アリ。今シーズンはその両極性志向をどちらも満たしてくれる音楽青春ドラマ『Glee』に夢中。
「ユーリカ~事件です!カーター保安官」
不思議な街ユーリカを舞台に起こる事件に挑むカーター保安官の活躍を描く。Sci Fiチャンネルで放送中
写真はカーター保安官役のコリン・ファーガソン-Ethan Miller/Getty Images
ライター 前田かおりのオススメ!「クリミナル・マインド FBI行動分析課」
えりすぐりのプロファイラーたちが連続凶悪事件を解決するため、全米を専用ジェットで飛び回る。ネタ的には同類の「CSI:」並みに派手にもなりそうなのに、基本シブいところがイイ。とくに、番組の初めと終わりに格言を引用したモノローグがちょい知的。そして犯罪者の心理、凶悪な殺人鬼となる過程などがサイコスリラー好きの興味をそそる。登場人物も魅力的だ。個人的にはスーツが似合うホッチナーのファン。彼が仕事人間のあまり、妻子と別れ、孤独をぐっと耐える姿にはもう泣けてくる。と言いつつ、回を追うごとに最年少のリードがイケてくると気になり、時にはモーガンのセクシーな尻も追うわたし。一話完結でもキャラ描写が丁寧だけに、人間ドラマとしての見応えも十分だ。結果、エグくてグロい事件ばかりだが、テーマ音楽を聴くとワクワクしている自分がいる。
ライタープロフィール
「刑事コロンボ」を手始めに刑事もの、推理ものにハマり、「冒険野郎マクガイバー」にほれた。「ER 緊急救命室」のような医療ドラマも好き。お気に入りは「Dr.HOUSE」「LAW&ORDER 性犯罪特捜班」「デクスター~警察官は殺人鬼~」に、仏の「女警部ジュリー・レスコー」。
「クリミナル・マインド FBI行動分析課」
FBIで犯人のプロファイリングを担うBAU(行動分析課)の活躍を描くクライム・サスペンス。WOWOW、スーパー!ドラマTVで放送中/DVD発売中
Photo:Album/アフロ
ライター 今祥枝のオススメ!「CHUCK/チャック」
基本ずっしりと重いドラマが好きなのだが、今年はがぜんライト路線の気分。「ゴシップガール」「The OC」のクリエーター、ジョシュ・シュワルツによる「CHUCK/チャック」も、ゆるゆるな感じがいいのだ! 頭は切れるがかなりのオタク青年チャックが、ある日突然、国家機密を脳にダウンロードしてしまい、嫌々ながらも007ばりの非日常を体験していく。アクションも派手でテレビの割に頑張っているし、起こる事件も毎回それなりに複雑。しかし本作の醍醐味(だいごみ)は、超美女のCIAサラ&マッチョなNSAケイシーを相手にチャック&親友モーガンが繰り広げるトホホなドタバタにアリ。懐かしの『探偵レミントン・スティール』あたりにも通じる80年代的楽観ムードも心地よい脱力系スパイ・コメディーです!
ライタープロフィール
一話完結の刑事ドラマ&じっとり重いHBO系が好み。「ザ・ソプラノズ」「ホミサイド/殺人捜査課」「シックス・フィート・アンダー」「OZ/オズ」ほか「CSI」「Law&Order」シリーズは本家一筋。新ドラマで気になるのは「Glee」&リメイク版「V」。早く観たい!
「CHUCK/チャック」
名クリエーター、ジョシュ・シュワルツ-Frederick M. Brown/Josh Schwartz
「The OC」「ゴシップガール」のジョシュ・シュワルツが手掛けるスパイアクション・コメディ。スーパー!ドラマTVで12月より放送スタート
Everett Collection/アフロ
シネマトゥデイ編集長 下村麻美のオススメ!「GALACTICA/ギャラクティカ」
テレビドラマは一気見が常だったため、見終わった後に内容について深く考えたりしなかったが、この「ギャラクティカ」は別。SFだけど物語の中心になっているのは、悩みを抱え欠点だらけのリアルな人間たち。大量虐殺の中から生き延び、新たな社会を構築しようともがく人類の縮図が人間の未熟さを見せ付けてくれる。戦いや虐殺は9.11やイラク戦争でのアメリカや多国籍軍をイメージせずにはいられない。他民族を信頼する難しさや労働の中で生じる階級の矛盾。果ては罪や罰までありとあらゆる社会構造の不条理を考えさせられる。SFドラマは普通、意識が外側に向かうが、「GALACTICA/ギャラクティカ」はなぜかどんどん内省していく。特に「転:season3」は傑作なのでオススメ!
ライタープロフィール
中毒体質なので1話完結ものより連続ものを好みます。土日を使って徹夜で1シーズン分まとめ見する充実感が好き!「デクスター~警察官は殺人鬼~」「GALACTICA/ギャラクティカ」「リ・ジェネシス バイオ犯罪捜査班」などテンポもありつつ救いようのない暗い話にハマる傾向が。
「GALACTICA/ギャラクティカ」【転 : season 3】DVD-BOX
税込:15,750円
宇宙を舞台に人類の存亡をかけて人工知能を備えたロボット“サイロン”の壮絶な戦いを描く。日本テレビ、スーパー!ドラマTVで放送中/DVD発売中