映画『殺人の追憶』などで知られる韓国の巨匠、ポン・ジュノ監督の待望の最新作『母なる証明』がいよいよ日本で公開する。本作は、今年のカンヌ国際映画祭のある視点部門に出展され、高い評価を得ており、来年行われるアカデミー賞外国語映画賞部門の韓国代表にも選ばれている。ここまで本作が評価されるのは、ポン・ジュノ監督の手腕はもちろん、主演の韓国の大女優であるキム・ヘジャ、そして日本でも大人気のイケメン俳優ウォンビンの存在があったからこそである。そこで本作の見どころと、キャスト二人の魅力を追ってみよう。 |
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映画『グエムル-漢江の怪物-』では父と子の関係、『殺人の追憶』では人間の弱さ、もろさなどを描いてきたポン・ジュノ監督。彼が今回、「母」をテーマにした理由には、韓国の母と称されるほどの大女優、キム・ヘジャの存在があるという。
キム・ヘジャは、日本での知名度はあまりないものの、韓国では国民的スターとして知られる存在。主な作品には、1980年から23年間にわたり出演し続けた長寿ドラマ「田園日記」など。本作で、農村で暮らす我慢強くも温かい母親を演じ、「韓国の母」の呼び名は全国に浸透したという。私生活では、ボランティア活動にも積極的に参加しており、アフリカの貧困地区を何度も訪れているという。また、エチオピアでは貧しい子供たちの保護と教育のために、福祉施設「キム・ヘジャセンター」を建設する予定だという。さらに1991年からワールド・ビジョンの親善大使として活動しており、計103名の子どもたちと縁組みを行っているほど。まさに本作の母という役どころにふさわしい人物なのである。
そんな国民的女優だが、これまでの映画出演は映画『晩秋』『マヨネーズ』、リュ・ジャンハ監督の映画『純情漫画』の3作のみと意外なほど少ない。その理由については、演じたいと思う新たな役がなかったからだという。しかし、これまでとまったく違う母親というヒステリックな気質と鋭敏さ、ドラマでは見せる機会がなかった強烈で破壊的な姿に魅力を感じたことが本作出演の理由だったという。
先日プロモーション活動のため、日本を訪れたキム・ヘジャは、今年で68歳とは思えないほど美しく、大女優でありながら低姿勢で、上品な女性だった。そんな彼女が体当たりで「母」を体現する。監督の希望によりあえて役名のないキム・ヘジャの「母」をあなたの母親と重ねながら見てほしい。
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とってもチャーミングな韓国の母、キム・ヘジャ
シネマトゥデイ/高野広美 |
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2000年に放映されたテレビドラマ「秋の童話 オータム・イン・マイ・ハート」や、深田恭子と共演した日韓合作のテレビドラマ「friends フレンズ」など日本でも高い人気を誇るウォンビン。先日、来日したときは空港にファンが200人集まるなど、兵役を終えてもその人気は不動のままである。
そんなウォンビンが、挑戦した役柄はかつてのハンサムボーイのイメージとはほど遠い、ドジでマザコンの青年だ。トジュンは一見、そんな純粋そうな雰囲気をもつ青年だが、謎に満ちている部分もあり、役決めには大変苦労したと語っていたポン・ジュノ監督。そんな難役に、ウォンビンを起用した理由については、ウォンビン自身が持つ素朴さや純粋さがぴったりだったからだという。ウォンビンの存在が、完成直前のシナリオにも大きな影響を与えることもあったそうで、中でも「小鹿のような目をした青年」というトジュンの人物描写は、彼のまなざしなくして生まれることはなかったという。
ちなみに、トジュンがかばんを投げ、それを再び取りにいくシーンはウォンビン自身が考えたものだという。ポン・ジュノ監督自身も、彼の演出には驚かされることが多かったと語っている。来日時は、長髪になっていたウォンビン。次回作の役づくりのためといわれているが、今度はどんな表情をスクリーンで見せてくれるか。新境地を切り開いたウォンビンに注目だ!
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髪のびました~。ウォンビン
シネマトゥデイ/高野広美 |
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韓国郊外にある田舎町の薬剤店で働きながら、息子トジュン(ウォンビン)とたった2人で生きる母(キム・ヘジャ)。読み書きのできないトジュンは、頻繁にささいな事件を起こしては母親を困らせている。しかし、ある日1人の少女が何者かに殺害され、なぜかトジュンが犯人として逮捕されてしまう。息子を助けるため走り回る母親。しかし警察は事件を終結させ、無能な弁護士はお金だけを取っていく。結局母は、信じられるものは何もなく、息子のため 1人で犯人を探し出そうとする。
本作で注目してほしいのが、母と子の中にある無償の愛。母の愛は崇高だが、あるときは子どもを守るために狂気に染まったりする。息子を守るために必死に真実を探ろうとするキム・ヘジャの姿は、オカルト映画に劣らぬ恐ろしさがあった。そして衝撃のラストシーンは母の本質的な姿を象徴するもの。ぜひ劇場で確かめてほしい。
映画『母なる証明』は10月31日より、シネマライズ、シネスイッチ銀座、新宿バルト9ほかにて全国公開 |
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映画『母なる証明』より
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文・構成:シネマトゥデイ編集部
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