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ピクサー映画のもう一つの楽しみ方

今週のクローズアップ

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「ピクサー映画のもう一つの楽しみ方」

 CGアニメの先駆者であるピクサーによる、長編アニメ10作目となる映画『カールじいさんの空飛ぶ家』。アニメーション史上初となる、カンヌ国際映画祭でのオープニング作品に選ばれたほか、第22回東京国際映画祭のクロージング作品にも選ばれるなど、話題騒然の本作。しかし、ピクサー作品のお楽しみは、本編だけではない。本編上映前に観ることができる短編アニメをチェックすることが、もう一つのお楽しみなのだ。ピクサーの歴史をひもときながら、そんな通好みな短編たちをクローズアップして紹介します。
初の短編アニメはミッキーマウスがモデル?

 CGによる短編アニメの始まりは、ピクサー設立前のルーカス・フィルム時代にさかのぼる。映画『トイ・ストーリー』の生みの親であるジョン・ラセターが目標としたことはCGで長編アニメを作ること。しかし、当時は技術も発達しておらず、CG自体が世間にも認知されていなかった。

 1984年、ラセターたちは初の短編CGアニメ『アンドレとウォーリーB.の冒険』を製作した。主人公のアンドレは、ミッキーマウスからインスパイアされたキャラクターで、余計な装飾をそぎ落としたシンプルなデザインだ。ハチに追われて逃げるというシンプルなストーリーだが、この短編を作り上げるのに、ラセターらは何週間もの間ほとんど寝ずに作業をしたという。キャラクターの動きや映像に制限や不可能が生じるたびに、ラセターらは新たなソフトを開発し、より柔軟性のある映像づくりを可能にしていった。

おちゃめなジョン・ラセターさん
(C) WALT DISNEY PICTURES/PIXAR ANIMATION STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞!

 2本目の短編CGは、ピクサーがルーカス・フィルムから独立した企業になったことから、名刺代わりになる作品が必要だったことから作られた。1986年、ラセターがどんな作品を作ろうかと考えている際、ふと目の前の電気スタンドが目に入ってきたことから、短編アニメ『ルクソーJr.』が生まれたそうだ。

 電気スタンドが飛び跳ねたり、クビを動かしたりとまるで生きているかのように動く姿が描かれており、物理的な特徴は生かしつつ、その物体の個性を引き出すというやり方は、まさにピクサーの神髄だ。そのルクソーJr.は、ピクサーのロゴとして採用され、今もピクサー映画上映前には必ず登場するおなじみのキャラクターだ。そしてこの映像が、アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされたことにより、すべてが動き出した。

 CGアニメの存在と可能性は、世界の知るところとなり、1988年、短編映画『ティン・トイ』が見事アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞するという快挙を成し遂げ、長編アニメ製作への夢が現実味を帯びてきたのだ。

 

子羊のタップダンスは必見のかわいさ!
『バウンディン』場面写真より
(C) WALT DISNEY PICTURES/PIXAR ANIMATION STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

短編アニメは青田買い狙いのファン必見?

 その後1995年、念願の長編CGアニメ映画『トイ・ストーリー』が公開されてからのピクサーの躍進ぶりは記憶に新しい。短編CGアニメ『ゲーリーじいさんのチェス』『フォー・ザ・バーズ』など、ラセター以外の監督たちが次々に作品を世に送り出した。短編アニメ製作は新たな才能の育成にも役立てられており、2002年に映画『モンスターズ・インク』の番外編ともいえる、短編アニメ『マイクとサリーの新車でGO!』を監督したピート・ドクターは、最新作映画『カールじいさんの空飛ぶ家』で、晴れて監督を務めている。

 短編アニメには数多くの秀作があるにもかかわらず、一般の観客がそれらを観る機会はなかなかない。唯一観ることができるチャンスが、ピクサーの長編映画上映前にオマケとして上映されるときなのだ。だからこそ、ピクサーファンにとってこの機会は貴重で、「本編よりも短編を観に行く!」という青田買い精神を持った根っからのファンもいるほどだ。

どんだけ一人でやり切るの?
『ワン・マン・バンド.』場面写真より
(C) WALT DISNEY PICTURES/PIXAR ANIMATION STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

短編アニメの最新作はコウノトリと雲が主人公

 記念すべき長編CGアニメ10作目となる映画『カールじいさんの空飛ぶ家』上映前に観られるのは、コウノトリと雲を主人公にした短編CGアニメ『晴れ ときどき くもり』だ。コウノトリが赤ちゃんを運んでくるという逸話を基に、一体コウノトリはどこから赤ちゃんを連れてくるのかがユーモアたっぷりに描かれている。

 物語の舞台は雲の上。コウノトリと雲がペアを組み、雲が生み出した赤ちゃんをコウノトリが運んでいくのだが……。そこはピクサーなので、キャラクター設定が絶妙だ。落ちこぼれの雲が、とんでもない赤ちゃんを生み出してしまい、赤ちゃんを運ぶ役目のコウノトリが四苦八苦するのだが、そのやり取りがほほ笑ましく、観る者の心をほっこりさせる。また、CGによって表現された雲の柔らかそうな質感も素晴らしく、まるで雲の上を漂っているような優しい時間を味わえる。本編が始まる前のほんのひととき、心癒やされる時間を過ごしてみてはいかがだろうか。

ウサギと人間どっちが勝つか!?
『マジシャン・プレスト』場面写真より
(C) WALT DISNEY PICTURES/PIXAR ANIMATION STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.

文・構成:シネマトゥデイ編集部

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