ところで、聞いてびっくり。アサイラム社の海外での一番の得意先は日本だそうだ。収益の半分は海外からというからその比重も大きい。そして、見せてくれたのが、日本語版DVD『メガ・シャークVSジャイアント・オクトパス』だ。巨大なサメとタコが絡み合っているジャケットは、「さすがアメリカのB級映画」と、吹き出しそうになる。ところが、何と驚き! 実はこの作品、長年のお得意先である日本の配給元ニューセレクト社(アルバトロス・レーベル)がストーリーを発案したそうだ! え、アメリカ人じゃなかったのー? うーん、B級映画も逆輸入の時代!?
ちなみに、アサイラム社の作品内容はすべて配給会社との話し合いで決めていくそう。日本とアメリカの両方の配給会社が興味を見せた場合は、双方に伺いを立てながら内容を決める。「例えば、ディザスターものを好む日本側から『潜水艦ものでディザスター映画をつくれないか』という要望が入る。それをアメリカ側に持っていくと、『潜水艦ものはもう売れないからねー』と渋い顔。そこで、「巨大なモンスターを登場させたらどうか」という案を双方に戻す。すると双方が喜び、両方とも購入してくれるという確信ができる。それで初めて撮影を開始するんだ」と、デヴィッド。まるで、若いカップルが双方の両親の要望を聞きながら披露宴の内容を固めていく過程とそっくりだ。「その通り。業界には、それに嫌気がさして、勝手に自分の作品を作る監督がいるが、結局リリースされないんだ」と答える。「じゃあ、アサイラム社は?」と聞くと、デヴィッドは胸を張って答えた。「配給会社が『売れる』と太鼓判を押すストーリーしかつくらないよ」ときっぱりと言い切った姿に、不況をたくましく生き延びる会社のエネルギーを感じた。
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