第18回
今月の5つ星
毎月公開される新作映画の中から、シネマトゥデイ編集部おススメの5本を紹介します。
スタジオジブリ待望の最新作や、ピクサーの人気アニメシリーズ第3弾、レオナルド・ディカプリオ&渡辺謙共演のサスペンス・アクション大作など、これだけはおさえたい夏映画をセレクト!
新郎が親しい男性の友人たちと集まり、独身生活最後の夜を祝う「バチェラー・パーティー」。本作は、この人生で最も刺激的な一夜を、バカバカしくもスリリングな展開で描いたドタバタ・コメディーだ。酒飲みであれば、一度や二度は経験のある記憶の喪失だが、それがミステリー仕立てになっているところにこの映画の面白さがある。謎を解こうとすればするほど衝撃的な事実に突き当たっていく予測不可能な展開にどんどん引き込まれ、ラストでこの難解なパズルが見事にハマるという構成の巧さに、ニヤリとさせられる。独占欲の強い恋人の尻にしかれている歯科医のステュが一夜のうちにストリッパーと電撃結婚、花婿の落ちこぼれの義理の弟がカジノで意外な才能を発揮するなど、日常生活では決して覚醒しない欲求や才能が浮かび上がっていく小ネタの絡ませ方が、いちいち笑える。
映画『トイ・ストーリー』シリーズの集大成にして、最高傑作と言ってもいい。 少年が大人になる、まさにその瞬間をとらえ、子どもだけでなく、大人にも感動が伝わる映画になっているところが、CGで見せるアニメーションとしてではなく、ドラマとしての完成度の高さを物語っている。日本では、我らがトトロの出演が話題になっているが、ニューバージョンのバズがツボなので要チェック! オトナになるって、すてきなことだけど、切ないことでもある。人気アニメのキャラは成長しないのが定番だが『トイ・ストーリー』でそれをやってしまうのは、常に先を行くピクサー&ディズニーだからこそ。
スタジオジブリ2年ぶりの新作となれば、国民的期待を集めて当然の本作。もちろん、おなじみの豊かな世界観をイメージして観賞に臨んだ、期待を裏切らない圧倒的なアニメーションの技術に冒頭から感激する。躍動感のある小人のアリエッティや動物たち。志田未来を初めとする超豪華声優陣の達者な吹き替えも、キャラクターたちに愛しい命を吹き込んでいる。アリエッティの父を演じる三浦友和の抑えた演技には、現代では希薄な大きな背中の父親像を感じ、忘れかけていた家族像を懐かしく呼び起こさせる。角砂糖一つに命がけの大冒険を繰り広げる「借りぐらし」のアリエッティ一家。どこかユーモラスで、心がフワッと温かくなるはずだ。不覚にも涙がこぼれそうになった。
レオナルド・ディカプリオ&渡辺謙という日米ビッグスターの共演で話題を集める本作。レオ演じる、他人の夢に潜入してアイデアを盗み出す敏腕スパイ、コブの危険なミッションを、イマジネーション豊かなビジュアルで描き出す。手に汗握るサスペンス・アクションに始まり、いまだかつてない世界観で観る者のド肝を抜きながらも、「愛する人と、2人だけの楽園にいたい」という誰もが共感する普遍的なテーマを描いたラブストーリーへと転じていく、クリストファー・ノーラン監督の手腕はさすが。ミッションにあたり、「現実と夢の区別がつかなくなるため、記憶を再現してはならない」など、コブが夢の世界でのルールを語るくだりはやや難解だが、これらは彼が抱える亡き妻との悲しい秘密への伏線となってくるので見逃し厳禁! 現実と夢のはざまでもがき苦しむ男の、切ない運命を見届けてほしい。
もともとトム・クルーズが主演予定だったのが、急きょアンジェリーナ・ジョリーに決まり、キャラクターが女性に書き換えられたという本作。ハードなアクション設定はそのまま生かされたため、トラックの上に飛び降りるわ、血まみれになりながら男相手にガチンコで殴り合うわ、アンジーの史上最高ともいえる体当たり演技が目撃できる。まさに女版ジェイソン・ボーンともいうべき、新たなヒロインの誕生だ。そして、映画『今そこにある危機』『パトリオット・ゲーム』のフィリップ・ノイス監督が手掛けただけに、アクション大作としての娯楽要素はもちろん、リアリティーあふれる映像描写とストーリー展開に引き込まれるだろう。スパイなのか、CIA情報分析官なのか……次第に明らかになるソルトの正体に驚がくしつつ、「どこからだまされているのか?」と、目を凝らしながら観てほしい。