『悪人』の舞台は九州ですが、実際彼女も九州の大分出身。母親は書道家の深津諭美子さんで、芸術には大いに理解があり、娘の芸能活動には援助を惜しまなかったそう。最初はアイドル歌手として活躍していましたが、方向転換して、1988年の『1999年の夏休み』でスクリーンデビュー。周囲にその才能を認められます。
そして1996年に初主演で森田芳光監督の『(ハル)』が公開。これは僕が宣伝ビジュアルを担当した『OL忠臣蔵 Chu~Shin Gura』と同じ制作会社で、公開時期も近かったので特に印象に残っています。まだネットが話題になり始めたばかりのころで、観ていると当時を思い出します。
僕は、テレビドラマはあんまり詳しくありませんけど、テレビでも演劇の舞台でも活躍し、確実にキャリアを重ねていったようです。『阿修羅のごとく』(2003年)では、酔っているシーンを撮影する際、実際にお酒を顔が赤くなるまで飲んで撮るという、プロ根性を見せたそう。
また似たようなエピソードでは、クレジットカードのCMの撮影の<激辛のトムヤンクンを食べる編>で、スタッフはふかっちゃんに空の皿を使って食べている演技をしてもらうつもりだったけど、「それではリアルさが伝わらないのでは?」と自分で提案して、辛さ20倍のスープを涙ながらに飲みながら演技したらしい。一つ一つの仕事に手を抜かないのは、すでにこのころから定評があったようです。
2007年に公開の映画『西遊記』(2007年)とテレビドラマ「西遊記」(2006年)では、かつての三蔵法師役・夏目雅子の後を継ぐかのように、りりしくもちょっと色っぽい三蔵法師にふんしました。このとき共演した三谷幸喜は、「ギラギラとした野心を感じないのがイイ」とふかっちゃんを気に入って、自分の監督作品『ザ・マジックアワー』に出演依頼したそう。結果、イメージを覆す素晴らしい歌と踊りを披露してくれました。
一見謎に包まれていますが、実はあっぱれな女優魂を持つふかっちゃん。そんなギャップもまた魅力なんでしょうな。
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