作品賞候補として有力視されていた『ソーシャル・ネットワーク』はなぜ、作品賞や監督賞を受賞できなかったのか。ちょっと自分なりに分析してみました。
まず、アカデミー会員の年齢が原因なのではと。平均年齢57歳の会員たちは、ばりばりのパソコン世代でないため、その価値がわかりにくいFacebookの話より、イギリス国王の勇気を描いた歴史物の方が親しみやすかったんじゃないのかなぁと。
二つ目は、数年前から導入された「選考投票システム」という作品に順位をつけて投票するシステムが原因なのでは? そのシステムだと、『英国王のスピーチ』のように万人受けする作品の方が、『ソーシャル・ネットワーク』のように好き嫌いがハッキリする作品よりも投票数が加算されやすいんですよね。
最後は、ジャーナリスト受けする『ソーシャル・ネットワーク』よりも、映画製作者受けする『英国王のスピーチ』の方が「映画製作者」によって構成されているアカデミー会員に受けやすかったのでは? 『ソーシャル・ネットワーク』は現代の社会に大きく影響を与えるようになったネットメディアの話。ということは、社会の動きやトレンドに関心があるジャーナリストや批評家受けする作品なワケです。アカデミー賞前のさまざまな賞を見ても、外国人「記者」が投票するゴールデン・グローブ賞や「批評家」が投票するニューヨークやロサンゼルス映画批評家協会賞などでは作品賞を受賞したのですが、「映画製作者」や「俳優・女優」たちが投票する賞は取っていないんですよね。……うーん、いかがでしょう?
ところで、今回の取材で一番印象的だったのは、レッドカーペットを歩くナタリー・ポートマンのコメントでした。レポーターに「あなたにとっての最高のぜいたくは?」と聞かれ、「ドレスを脱いでメイクを落として、髪もぼさぼさのままスウェットを着ること。一日中ベッドでゴロゴロしていたいわ」と答えていました。今ごろ、ナタリーはホッとして爆睡していることでしょう。受賞おめでとうございます! そして、ぜひ健康なベビーを産んでくださいね。 |