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第26回

今月の5つ星

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シネマトゥデイが選ぶ 今月の5つ星

ジョニー・デップ&アンジェリーナ・ジョリー、二大スター共演のサスペンス『ツーリスト』、アカデミー賞ノミネート作『トゥルー・グリット』『ザ・ファイター』、品川ヒロシの監督第2作『漫才ギャング』など春の話題作がめじろ押し!

3月5日公開 観客が映画に求める刺激を詰め込んだぜいたくなサスペンス 『ツーリスト』 作品情報

ジョニー・デップアンジェリーナ・ジョリーという夢の共演が実現した本作。「ツーリスト=旅行者」のフランクが、ベニスに向かう車中で謎めいた美女エリーズに声をかけられたことから、巨大な陰謀に巻き込まれていく。運命の出会いを夢見る平凡な女性と、スゴ腕スパイの逃避行を描いた『ナイト&デイ』のような、いわゆる「巻き込まれ型」サスペンスだが、ド派手なアクションシーンは控えめに、ベニスやパリの美しい風景を生かした男女のロマンチックなラブシーン、駆け引きをメインにした作りになっている。2人がいいムードになったかと思えば、その次のシーンでは予想もつかない出来事が起きて引き離される。その繰り返しで、くっつきそうでくっつかない2人の、いたちごっこのような恋模様から目が離せない。スターの豪華な顔ぶれと、人生が一変するロマンス、そしてアッと驚くどんでん返し。まさに、観客が映画に求める要素を詰め込んだ究極のサスペンスともいえる。最後に、衝撃のどんでん返しを楽しむため、本編を観る前に何も情報を得ずに鑑賞することをおススメしたい。

『ツーリスト』
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3月18日公開 コーエン兄弟が14歳の新星をはじめ強力なアンサンブルで魅了 『トゥルー・グリット』 作品情報

すっかりオスカー常連監督となったジョエル・コーエンイーサン・コーエン兄弟の新作『トゥルー・グリット』。先日行われた第83回アカデミー賞では惜しくも受賞を逃したが、本作は第80回アカデミー賞で作品賞・監督賞を含め4部門を制した『ノーカントリー』の興行成績を全米公開後たった11日目で抜き、コーエン兄弟監督作史上最大のヒット作となっている。それも納得で、大人相手に巧みな交渉術を繰り広げ、父親を殺された復讐(ふくしゅう)を成し遂げようとする少女を、14歳ながら凛(りん)とした強さをたたえて魅力的に演じたヘイリー・スタインフェルドと、「恐れ入りました!」と脱帽してしまうような底知れない演技力で見事に陽気なキャラクターを確立したジェフ・ブリッジス。2人をメインに、誰もが共感できる心の迷いや葛藤を克明に描き、しっとりと感動する人間ドラマとして仕上げている。特にジェフが一瞬見せる目の鋭さや、少女の進むべき道を優しく示していくさまには目を奪われ、一見チャラく見えるジェフ演じる連邦保安官の懐の深さも感じることができる。主演の2人を支える実力派、マット・デイモンジョシュ・ブローリンの好演も、本作が秀作であることの説得材料といえるだろう。今回映画デビューを飾ったスターの原石・ヘイリーの今後の活躍に期待大!!

『トゥルー・グリット』©2010 PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.
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3月19日公開 お笑い芸人が描いた全編漫才仕様の青春劇に気分爽快! 『漫才ギャング』 作品情報

品川ヒロシの監督第2作は、自身の生きる「お笑い」の世界で成功を目指す若者を描いたストレートな青春ストーリー。売れない漫才師と不良が繰り出す漫才のみならず登場人物たちの日常会話を、プロのお笑い芸人ならではの軽快なテンポで描写。まさに、全編が「漫才」という仕掛けが施されている。前作『ドロップ』でも高い評価を得た本格的なアクションを交えて展開する、不良たちのケンカシーンも迫力満点。笑いあり、涙ありの娯楽作となっており、観た後にスカッと気分爽快になれること必至だ。ただ、あまりに都合よく展開するストーリーは、好みが分かれるところかもしれない。ケンカっ早いが素直で友人思いのチーマーでツッコミ役の龍平を、テレビ番組などで見せる純朴さを残しながらイキイキと演じた上地雄輔の好演に注目を!

『漫才ギャング』©2011「漫才ギャング」製作委員会
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3月26日公開 ボクシングを通じて描かれる家族のきずなの強さに感動 『ザ・ファイター』 作品情報

マーク・ウォールバーグ演じる実在のボクサー、ミッキー・ウォードの活躍を描くボクシングムービーだと思いきや、描かれているのは家族のきずなと愛の物語だ。ミッキーはボクサーとして、ひょうきんで底抜けに明るいがヤク中の元ボクサーの兄と、アクの強い母に支えられて戦ってきたがうまくいかず、兄が刑務所に入ったことをきっかけに家族と決別し、今度は恋人、父親と協力し、ついには世界戦まで突き進む。兄や母と衝突しながらも、まったく揺るがない家族のきずなによって、むしろその関係がより強固なものに変化していく過程に引き込まれ、どんな危機的状況にあろうと、家族との深いつながりによって形成される愛の深さに、家族の大切さを再認識させられる。ワケありの兄を怪演したクリスチャン・ベイル、セクシーで自己主張の強いミッキーの恋人を好演したエイミー・アダムス、大家族を支える肝っ玉母さんにふんしたメリッサ・レオらのアンサンブルに加え、エンドロールのミッキー・ウォード本人の登場に注目!

『ザ・ファイター』©2010 RELATIVITY MEDIA. ALL RIGHTS RESERVED.
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3月26日公開 男女の三角関係の背景にある「秘密」を抑えた演出で描写 『わたしを離さないで』 作品情報

イギリス最高の文学賞ブッカー賞を受賞した作家カズオ・イシグロの同名小説を映画化したラブストーリー。幼なじみの男女3人の十数年にわたる切ない三角関係が展開するが、背後にある秘密がこの物語のキー。しかしそれを「衝撃の事実」と大げさにせず、あたかも当然のように見せる演出が逆にリアルで、じわじわと引きつけられる。一部の原作ファンからは物語を省き過ぎているとの批判もあるが、シンプルにまとめたことでより一層悲劇を際立たせ、「生きるとは?」という哲学的テーマをぐさりと突きつけている。主人公にふんしたキャリー・マリガンキーラ・ナイトレイも好演だが、『ソーシャル・ネットワーク』とは一転したアンドリュー・ガーフィールドの繊細な演技は必見!

『わたしを離さないで』©2010 Twentieth Century Fox
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