絶望的な状況、その時決断を下せるか!? 今週のクローズアップ 2011年6月17日 落石に腕を挟まれながら、ある決断を下すことで生還した男性を描く映画『127時間』が6月18日に公開される。困難な状況の中、人はどう行動するのか? 絶望下での究極の決断を描く作品を本作と共に紹介! ペルーのシウラ・グランデ登頂に成功した登山家ジョー・シンプソンとパートナーのサイモン・イェーツは、下山途中猛吹雪に遭遇。足場が崩れ滑落したジョーが片足を骨折し、サイモンとつながったザイル一本で、宙づりの状態となってしまう。生き残るために友人とつながるザイルを切断するか。そして、骨折した足を抱えながらいかに生還するか……2人の男の、それぞれの決断を描き出す。 2人の登山家の身に実際に起きた遭難事故を基にしたノンフィクション「死のクレバス アンデス氷壁の遭難」を映画化した作品。劇中の2人は俳優が演じているが、実際の事故現場付近での撮影を敢行し、ジョーとサイモン本人も出演する。2人のインタビューを差し込んだ構成が、彼らの現在に至るまでの葛藤(かっとう)を伝えており、極限での選択が、人生にどれだけの影響を与えるのかを深く考えさせる。 『運命を分けたザイル』 発売元:アスミック/ポニーキャニオン 発売日:発売中(2005年8月26日) 価格:税込み3,990円(DVD) (C)FilmFour Limited and Film Council MMIII 1972年10月、南米ウルグアイのラグビーチームの若者たちを乗せた旅客機が、極寒のアンデス山脈に墜落。45名の搭乗者のうち、数十名が生き残ることができたが、辺りは白い雪に覆われた極寒の山脈。遭難から数日して捜索は打ち切られ、少ない食料を分け合って救助を待つ彼らは、衰弱した体では自力で脱出を試みることもできず、1人、また1人と犠牲になっていくことに。絶体絶命の状況に立たされた彼らは、生還するために、死亡した仲間の遺体を食べるかどうかの選択を迫られることに……。 実際に起きた衝撃の事件を映画化した、1993年公開作品。極寒の山脈に墜落し、奇跡の生還を果たした若者たちのサバイバル描く。驚くほど真に迫る墜落シーンや、実際の雪山で撮影されたというロケーションが、映画にリアリティーを与えている。生きるために、仲間の肉体を食べることができるのかを問う陰惨な話だが、時に冗談を交わしながら、生き抜こうとする若者たちの姿からは、あふれんばかりの生命力を感じ、映画の印象はさわやかなもの。全員に究極の選択を迫ることになる若者を、当時若手のイーサン・ホークが演じているのも注目。 イーサン・ホークの出世作ともなった Dominique Charriau / WireImage / Getty Images 落石事故に見舞われ、右腕を断崖に挟まれたまま身動きが取れなくなってしまった登山家アーロン・ラルストンのたった一人のサバイバルを描く。水も食料もなくなり、神にも見放されようという状況中、それでも生きることを求める彼は、究極の決断を下す。 映画『127時間』では、ジェームズ・フランコ演じる登山家アーロンの、たった一人のサバイバルが描かれる。そこには、互いの運命を預けたザイルでつながれたり、助け合える友人の姿はなく、ひたすら自分との闘いを強いられる。十分な装備も持たず、誰にも行き先を告げなかったこと、これまで過ごしてきた人生への後悔。絶望に陥りそうになる中、逆に未来への希望を感じ、一人では生きていけないことを悟っていく姿が印象的。 どの作品も、下される決断は衝撃的で目を覆いたくなるが、そこに共通するのは、「生きたい」という強烈な思い。鑑賞後には、残虐さや陰惨さではなく、どの作品もが、さわやかさと、生きることへの希望が感じられ作品となっている。ぜひその目で確かめ、心動かされてほしい。 『127時間』より (C) 2010 TWENTIETH CENTURY FOX 文・構成:シネマトゥデイ編集部 ADVERTISEMENT