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本作は日本のハードボイルド作家・東直己の「ススキノ探偵」シリーズ第2作「バーにかかってきた電話」を実写映画化した作品だ。主人公の探偵は、酒好きで美人に弱い一方で、義理堅くてやるときはやるという男。そんな探偵の元に、あるときコンドウキョウコと名乗る女から電話がかかってきて……という観客の心をぐっとつかむオープニングから衝撃のラストまで、一気に駆け抜ける疾走感が見どころのススキノ・エンターテインメントとなっている。
取材を行ったのは、作中でも重要な場所として描かれているバーでの初めての撮影日。演じている探偵同様、酒好きだという大泉もノリノリで、撮影の合間には相棒の高田役を務める松田龍平との会話にも花が咲く……と撮影が始まるやいなや、普段のユーモラスな言動からは信じられないほど真剣な表情を見せる大泉。バーにやって来る場面を何度もアングルを変えて撮影しているその姿は、まさに本で読む「探偵」のイメージそのまま。高田とオセロゲームに興じる場面もさまになっている。 |
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おれのクールな横顔にほれんなよ……?
© 2011「探偵はBARにいる」製作委員会
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バーはタイトルにもなっているだけあって、その内装はかなり気合の入ったものに。棚にずらりと並んだ酒瓶はすべて本物で、よりリアリティーを出すため、中身はスタッフたちが飲んで減らしたのだという。その話を聞いた大泉は「かなりうらやましかった」と本音をぽろり!? 「(スタッフが)『昨日は飲み過ぎた』っていう話をしているから、聞いたら、減らすために飲んだって。しまいにはペットボトルに入れて持って帰ったっていうんだから……」と大泉の酒好きらしい一面をのぞかせた。
劇中では、探偵として酒を飲むシーンがたくさんあるだけに、大泉はまさにぴったりのキャスティング……と思いきや、本人いわく、お酒は好きだが「強くはないんだけど」とのこと。相棒を演じる松田も「そんなに飲めないですね」と明かしており、本作の探偵コンビは、ハードボイルド映画にしてはかなり珍しい“酒に弱い”コンビだ。もっとも劇中ではそんな様子は露ほども見せていないのはさすが。 |
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本物のバーに見えるかもしれませんが、セットなんです!
© 2011「探偵はBARにいる」製作委員会
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初めてのバーでの撮影について大泉は「じっくりとお芝居しているという感じがして、面白いですよね。いろんな共演者の方々と一緒にやれるから」と役者として充実感を覚えている様子。とりわけ、松田との芝居に面白みを感じているといい、「これまでに出会ったことがない役者さんですよね。ちょいちょいアドリブを入れてくるのも面白いかな。常に新鮮な気持ちで構えていられる」と撮影中はもちろんのこと、撮影が終わっても一緒にご飯を食べに行くなど意気投合しているようだ。
本作は原作があるため、ファンが気になるのは、原作の「探偵」と、映画で大泉が演じる「探偵」のイメージが一致しているかどうかだろう。撮影前に原作を読んだという松田は、大泉演じる探偵について、「芝居をやっていて、本を読んでいるときの探偵のイメージとリンクしていた」と絶賛すれば、なぜか大泉も「龍平くん(演じる高田)との会話もそこはかとなく面白い雰囲気なんですよ。何となく観ていたいと思わせるんですね」と自画自賛。原作者の東直己も撮影現場にはちょくちょく顔を出していたというから、それだけ、しっくりした探偵コンビだといえるのかもしれない。 |
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「探偵」がこれほどしっくりくる役者もいないかも?
© 2011「探偵はBARにいる」製作委員会
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謎の女の電話に翻弄(ほんろう)されながらも、依頼人のために命の危険を顧みずススキノの街を駆ける探偵は、まさにハマリ役。見終わった後には、大泉以外の誰かが「探偵」を演じることが想像できないほどだ。今回松田が探偵としての大泉を「イメージ通り」と絶賛していたように、『豆富小僧』で演じた死神役は、共演の小池徹平が一番のお気に入りに挙げるなど、一緒に演じた俳優から一目置かれることと、話題作・大作に引っ張りだこなのは無関係ではなさそうだ。
また、バラエティー番組などではユーモラスな言動で人気の大泉だが、俳優としてのウリはそれだけでない。舞台「ベッジ・パードン」では狂言回し的な立ち位置でありながら、心の奥底に計り知れぬ思いを持った役を務めるなど、陰と陽のどちらも兼ね備えた人物を演じることができるあたりも俳優としては、強みだろう。もちろん、本作『探偵はBARにいる』でも、その演技力は遺憾なく発揮されており、探偵の一挙手一投足から目が離せない。今まさに旬の俳優・大泉洋の代表作になるに違いない。
映画『探偵はBARにいる』は9月10日より全国公開 |
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観客にも、共演者にも愛されています!
© 2011「探偵はBARにいる」製作委員会
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文・構成:シネマトゥデイ編集部 |
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