【LA発! ハリウッド・コンフィデンシャル】第37回 アカデミー賞カウントダウン!この人は必ずくる!?主演男優賞・女優賞予想
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アカデミー賞カウントダウン! この人は必ずくる?! 主演男優賞・女優賞予想
映画ファンの皆さん、遅ればせながら明けましておめでとうございます! 里帰りしていた激寒の東京から数日前に気温20℃のロスに戻ってきて、季節感がマヒ状態に陥っているアディーですが、今年もハリコンをどうぞよろしくお願いいたします!
さて、もうこの時期は、映画業界はアカデミー賞一色に染まっているわけでして、今回のハリコンも前回に引き続きアカデミー賞絡みでお送りしようと思います。アカデミー賞ノミネーションの発表を受けて、前回の作品賞予想に続き今回は主演男優・女優賞の行方を占ってみたいと思います!
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タチの悪いゴシップが多いハリウッドでとにかくこの人の悪口はほとんど聞いたことがないというまれな存在、それがジョージ・クルーニーです。スターになるために生まれてきたようなカリスマ性とハンサムな外見を兼ね備え、加えて演技、製作、演出の才能も持ち合わせ、向かうところ敵ナシといったところ。 これら天性のアドバンテージに加えて、2011年のジョージは「アカデミーのお気に入り監督」といわれているアレクサンダー・ペインとコラボして、『ファミリー・ツリー』に主演。家族とのきずなを取り戻そうと悪戦苦闘する中年男を好演して大評判になっています。
この作品は、先日の第69回ゴールデン・グローブ賞でもドラマ部門男優賞、作品賞とメインとなる賞を獲得しました。アカデミー賞への足掛かりになったと目されています。
2011年は『ファミリー・ツリー』のほかにも政界サスペンスドラマ『スーパーチューズデイ ~正義を売った日~』で製作・監督・脚本・出演と4足のワラジを履いて大活躍したジョージ。この作品での働きも重視されたこともあってか、見事アカデミー賞主演男優賞候補に選ばれましたね。
ジョージの気さくな笑顔とユーモアのある人柄は、アメリカだけでなく世界中の映画業界で、「ハリウッドのダーリン」、「現代のケイリー・グラント」と呼ばれ親しまれ、彼のライバルたちですら笑顔を返さずにはいられないくらいの存在です。
選考に際して、政治的な要素もあるアカデミー賞ではありますが、こういった「人好きのする」彼の魅力は、大いにプラス要素であり、並み居るライバルたちの中では群を抜いているといえるわけで、アカデミー会員たちの最終投票には、それが影響すること間違いなしでしょう。
……とジョージのことばかり話してしまいましたが、実は、ジョージがアカデミー賞で不利になる可能性も考えられるので、お話しておきましょう。 ゴールデン・グローブ賞と大きく違う点は、アカデミー会員たちが比較的イギリス&欧州好き、という点。となると、かなりアメリカンな雰囲気の作品『ファミリー・ツリー』のジョージよりは、ハリウッドを舞台にしながらフランス産という異色作『アーティスト』に主演したフランス人のジャン・デュジャルダンの方が実は有力ともとれるのです。
実際、ジャンはこの作品でゴールデン・グローブ賞の「ミュージカル・コメディー部門」主演男優賞を受賞しています。「ドラマ部門」と「ミュージカル・コメディー部門」などと分かれていないアカデミー賞では、ジャンとジョージの間で接戦になる予感がするのです。
今年も主演女優賞ノミネーションに優秀な女優たちが名を連ねることと思いますが、その中でも現時点ですでに頭一つリードしていると思われる女優が2人います。オスカー常連のメリル・ストリープと、ここ数年めきめきと頭角を現してきているヴィオラ・デイヴィスです。
メリルはサッチャー元英国首相を演じた『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』ですでに第69回ゴールデン・グローブ賞のドラマ部門女優賞を受賞しており、アカデミー賞の主演女優賞候補にも挙がることはほぼ確実とみられています。 それにしてもメリルほどアカデミー賞に何度もノミネートされている女優はまれで、その数なんと16回!
でも、受賞は1979年の『クレイマー、クレイマー』での助演女優賞、そして1982年には彼女の女優としての評価を決定づけた『ソフィーの選択』での主演女優賞と、2度のみなのです。
一方、ヴィオラ・デイヴィスだって負けてはいません。彼女も2008年の『ダウト ~あるカトリック学校で~』では第81回アカデミー賞助演女優賞にノミネートされたもののオスカーを逃しています。
でも去年アメリカで予想外の大ヒットとなった『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』でヴィオラが演じたメイド役は、『ダウト ~あるカトリック学校で~』のミラー夫人役よりもはるかに素晴らしいと評判。またマイノリティーたちの権利に関しては敏感なハリウッドが、1960年代に根強く残っていた人種差別を扱うこの作品に好意的な印象を持つ可能性も覚えておきたいポイントです。
ちなみに、米国の著名な新聞・雑誌などの映画評論家たちが行っているオスカー予想によれば、メリルの賞獲得率よりもヴィオラの確率の方が高いという現状もお知らせしておきましょう。
アカデミー賞主演女優賞レースにはほかに、3月公開予定の『マリリン 7日間の恋』でマリリン・モンロー役のミシェル・ウィリアムズ、日本未公開の『アルバート・ノッブス(原題)/ Albert Nobbs』のグレン・クローズあたりが確実に「参戦」しそうですが、やはり本命はというと、メリルとヴィオラの一騎打ちになるのではと予想しています。
このほかにも監督賞や脚本賞など、ハリコンで取り上げたい賞はたくさんありますがスペースの関係もありますので今日はこのへんにしておきます。
授賞式までに、映画界でどんなニュースが飛び出してくるか……、映画ファンにとってワクワクな時期がまだまだ続きます!
高校留学以来ロサンゼルスに在住し、CMやハリウッド映画の製作助手を経て現在に至る。アカデミー賞のレポートや全米ボックスオフィス考など、Yahoo! Japan、シネマトゥデイなどの媒体で執筆中。全米映画協会(MPAA)公認のフォト・ジャーナリスト。
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あっと言う間に辰年である。大晦日に日本に到着、なんとか深夜まで起きていようとクリちゃんと頑張ったが見事に二人共フェードアウト。除夜の鐘を聞きたかった……。(^^;)