伯父夫婦と暮らすピーター・パーカーがひょんなことから超人的なパワーを手に入れ、スパイダーマンとして活躍することになる……という基本的なストーリーラインはそのままですが、本作のキャラクター設定には前シリーズからさまざま変更が加えられています。最大のポイントはヒロインがメリー・ジェーン(MJ)から、グウェン・ステイシーにバトンタッチされていることでしょう。それに伴い、ピーターとグウェンもティーンエイジャーに設定され、二人は物語の序盤から相思相愛というラブラブぶりを見せてくれることに! つまり本作で描かれているのは、まばゆいばかりの青春時代。前シリーズでは、高校を卒業したピーターとMJ、それにハリー・オズボーンのゆがんだ関係を軸に鬱々(うつうつ)とした物語が展開されましたが、本作は一転、ティーンエイジャーらしい明るい雰囲気に満ちているのです。
さらに、前作ではコンプレックスに凝り固まっていたピーターのキャラクター造形も大幅にチェンジ。いじめられている同級生のために立ち上がるほど正義感が強く、趣味はスケボーという“リア充”になってしまったことに眉をひそめる向きもあるかもしれませんが、本作のロマンチック・コメディー的側面に目を向けるのなら、この変更は大正解。良くも悪くも映画『(500)日のサマー』のマーク・ウェブ監督らしい男女関係が描かれており、演じるアンドリュー・ガーフィールドとエマ・ストーンの愛らしさとも相まって、上質なロマコメとして成立しているのです。
また、ロマンチック・コメディーでは恋愛に横やりが入るのが鉄則ですが、本作でその役割を果たすのはグウェンの父親であるステイシー警部(デニス・リアリー)。ニューヨーク市警に勤める彼は、何とスパイダーマンを無法者として逮捕しようとするのです。そして、そのことを知ったピーターが、グウェンに自分がスパイダーマンであることを告白したから、さあ大変! 恋人の父親が敵に回ってしまったピーターと、愛する男性と父親の間で揺れ動くことになるグウェン……ほほ笑ましくも悩ましい二人のロマンチック・コメディー的要素を強めたことにより、より万人受けする物語になったことは間違いありません! |
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観ているこちらがドキドキしてしまうほどの超展開です!
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今回のピーター・パーカーはかっこいいのです!
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ブロンドのエマ・ストーン=グウェン・ステイシー
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む、娘はやらんぞー! グウェンの父親のステイシー警部
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前シリーズ第1作『スパイダーマン』にも「ピーターの父親捜しの物語」という側面はありましたが、その後の作品ではそれほど深く掘り下げられることはありませんでした。それだけに冒頭、両親の失踪から始まる本作ではそうした父親探しの物語をメインに据えてやろうという製作陣の意気込みを感じずにはいられません。
父親が失踪した天才科学者であるという事実は、ピーターのキャラクターにも大きな影を落としています。前作の主人公は偶然クモにかまれたことにより超人的なパワーを手に入れましたが、本作のピーターはいわば生まれたときからヒーローとなる宿命を持った人物。彼が両親の謎、そして出生の秘密に迫ろうとすることで、物語は動き始めます。そういう意味では、本作は前シリーズに比べ、よりヒーローらしいヒーローの物語ということもできるでしょう。
また、本作には実の父親(キャンベル・スコット)に加え、育ての父親であるベン伯父さん(マーティン・シーン)、父親の共同研究者だったコナーズ博士(リス・エヴァンス)、そして恋人グウェンの父親であるステイシー警部という、ピーターの父親になりうる人物がストーリーに絡んでくることになります。ですが、悪役リザードに変身してしまうコナーズ博士をはじめとして、彼らが本当の意味でピーターの父親になることはありません。むしろ、ピーターはスパイダーマンになることによって、比喩的な意味も含め、彼らを倒すことを求められることになり、そうしたピーターのジレンマも本作の一つの見どころといえるでしょう。
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本作ではピーターによる父親捜しが一つのキーに……
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ベン伯父さんとメイ伯母さんに育てられました!
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行方不明になった父親の秘密を握るコナーズ博士
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物語的側面から見た本作の見どころは上に記したとおりですが、アクション・エンターテインメントとしての本作を支えているのは新シリーズとなって生まれ変わったアクション! 3D撮影による本格3D作品である本作のスパイダーマンの動きには奥行きが加わり、ニューヨークの上空をクモ糸で移動する「スパイダー・スイング」は、これまでにない臨場感を味わわせてくれます。
それ以外のアクションシーンについても、3D作品であることを意識した画面作りがなされています。本作のマーク・ウェブ監督は、3D映画でしか得られない本能的な反応に「速度(velocity)」「体積(volume)」「めまい(vertigo)」の三つの「V」を挙げており、それを最も顕著に表しているのがあえてローアングルからの映像で構成している戦闘シーン。まるで敵が覆いかぶさってくるかのような迫力と、縦横無尽に駆け回るスパイダーマンの動きが見事にマッチしており、3Dで観た人と2Dで観た人ではまるっきり作品の印象が変わってしまうといっても過言ではありません。アトラクション・ムービーとして、映像を観ているだけでも楽しめる本作は子どもたちにもオススメです!
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『スパイダーマン』ならではのアクションを3Dならばたっぷり堪能できます!
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こんなアクションシーンも大迫力に!
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思わずのけぞってしまうかも!?
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昨年8月、本作の公開の1年近く前にもかかわらず、ソニー・ピクチャーズが続編を2014年5月に公開すると発表したことは大きな話題になりました。もちろん、本作のストーリーは1作だけ観ても楽しめるようになっているのですが、製作当初からシリーズ化を視野に入れていたこともあり、先が気になるようになる仕掛けが張り巡らされているのです。
例えば、その一つがグウェンの今後でしょう。原作コミックのファンにはよく知られるところですが、1965年の「アメイジング・スパイダーマン」第31話に初登場したグウェンはピーターの最愛の人として描かれながらも殺されてしまいます。そして、後年にはある秘密が明らかになり……本シリーズがどれほど原作の要素を盛り込んでいくのかは現在不明ですが、そうした衝撃的ともいえるエピソードは原作の人気キャラクターであるグウェンを描く以上、避けては通れないことは確かです。
そのほかにも、本作には数カットしか出てこないピーターの父親の真の目的や、ベン伯父さんを殺した犯人が誰なのか、そして、コナーズ博士の研究は誰のためのものなのか?……などなど、見終わるなり、先が気になることは間違いないでしょう。
そして、ファンならば、ある登場人物の会話に「オズボーン」という言葉が出てくることにも気付くはず。そう、前シリーズのメインキャラクターだったノーマン・オズボーン、そしてハリー・オズボーンの名前です。ちなみに本作の主な舞台になるのは彼らの名前が冠された「オズコープ社」。今後の物語にオズボーン父子は登場するのか? 次作の公開される2014年が待ち遠しい! う~ん、気になります!
映画『アメイジング・スパイダーマン』は6月30日より世界最速3D公開 |
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早くも続編製作が決定!
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数カットしか出てこないピーターの父親の秘密とは!
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とにかく、次作の公開が待ち遠しい!
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