アメリカ・コロラド州オーロラ市の『ダークナイト ライジング』上映中の劇場で発生した無差別銃撃事件。12人もの犠牲者を出した本事件は、監督・キャストを始め、多くの関係者にショックを与えた。だが、ファンの間で「バットマンの呪いが……」というウワサがまことしやかにささやかれているのも事実。映画『ダークナイト』シリーズを襲った悲劇とは……? |
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2007年9月、映画『ダークナイト』の撮影中、ロンドン南部チャートシー近郊のレース場で、カーチェイス撮影の準備をしていたスタッフを悲劇が襲った。スタント用に使われるバットモービルを追っていた、カメラ搭載のトラックが誤って木に激突。車に乗車していた特撮技師が死亡したのだ。
出演者は当時、現場に居合わせていなかったというが、製作のワーナーブラザーズは事故後、「クルーは一同、この悲劇に深く悲しんでいます。我々の心と祈りを、亡くなった方のご家族の皆様にささげます」とコメント。共に作品を作り上げてきた仲間の突然の事故死にスタッフや俳優が悲しみに暮れていることを明かしていた。
スタント事故は、最新作『ダークナイト ライジング』の現場でも、スタントの女性が運転するバイクとカメラマンが衝突する事故が発生している。幸いにも怪我人が出なかったらしく、スタッフたちは胸をなでおろしたことだろう。 |
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Warner Bros./Photofest/ゲッティ イメージズ |
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1989年に公開されたティム・バートン監督の映画『バットマン』で、ジャック・ニコルソンが演じて伝説となったジョーカー。映画『ダークナイト』に再びジョーカーが登場するというニュースが流れたとき、世界中のバットマンファンは誰しもが「ジャックが演じた、ジョーカーを超えることはできない」と声をそろえた。
伝説となった初代ジョーカーと比べられることが必至の難役に、あえて挑んだのがヒース・レジャーだったのだ。映画『カサノバ』で何人もの女性を虜にするプレイボーイを演じたほど美男俳優として知られていたヒースは、徹底的な役作りで、みずからのイメージを根底から破壊、狂気に満ちた殺人鬼・ジョーカーに変身した。
「ジョーカーはこれまでで一番楽しい役だった。多分これからの映画人生においても、そうだろう」、そう語ったヒースは、無念にも公開を待たずして2008年1月28日に急逝。その衝撃的なニュースが、編集作業をしていたノーラン監督ほかスタッフの耳に入ったとき、関係者は悲しみに打ちひしがれたという。死後に同作が公開されると、ヒースの演技は絶賛され、ヒースはその年のアカデミー賞助演男優賞を受賞。ヒースの名前が呼ばれた瞬間、人々はスタンディングオベーションで彼の受賞を称えた。
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Warner Bros./Photofest/ゲッティ イメージズ |
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全米で『ダークナイト』が公開されたわずか4日後に、主演のバットマンを演じているクリスチャン・ベイルは、プレミアに出席するために訪れていたロンドンで、家庭内のトラブルが原因で逮捕(その後、不起訴となる)。
1か月後の2008年8月には、本作でルーシャス・フォックスを演じたモーガン・フリーマンは、自動車事故を起こして重傷。車は、数回横転したといい、車の一部を切断して救出後、ヘリコプターで緊急搬送されたモーガンは腕とひじを骨折、肩に怪我を負って手術を受けた。
それから約半年後の2009年3月には、本シリーズの監督であるクリストファー・ノーラン監督の実兄が、誘拐殺人事件の容疑者として逮捕。全米のマスコミは、このスキャンダラスな事件に対して「『ダークナイト』には、ノーラン監督の兄が色濃く反映されているのでは?」と書きたてた。 |
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Warner Bros./Photofest/ゲッティ イメージズ
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最新作『ダークナイト ライジング』のプレミア上映が行われていた、アメリカ・コロラド州の映画館で、銃乱射事件が発生。ガスマスクをかぶった犯人は、ライフルやハンドガンを手に劇場に入り、アクションシーンの真っ最中に銃を乱射した。映画を楽しんでいた観客は、6歳の子どもを含め12人が死亡した。
この惨劇に、当初予定されていたキャストや監督の来日は急きょキャンセルに。ノーラン監督は、「映画館は、私にとって我が家とも言える場所。その無邪気で、希望のある場所を、あのような堪えがたい残酷な方法で踏みにじられたことは、衝撃的。」という悲しみのコメントを寄せた。2005年に公開された映画『バットマン ビギンズ』から始まったシリーズに心血を注いできたノーラン監督だけに、最終章となる本作の公開前に起きた事件の衝撃は計り知れない。
愚かな人間が引き起こした事件のせいで、作品がつぶされることは何よりもの悲劇。事件により、プロモーションやイベントをすべて中止した本作だったが、今月20日から公開されたアメリカでは、週末の北米興行収入ランキングで一位を記録。前作の週末興行収入を上回り、2D映画としては歴代1位に輝いた。映画を悲劇から救えるのは、本作を愛するファンの思いなのかもしれない。 |
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(C) 2012 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURES FUNDING, LLC
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文・構成:シネマトゥデイ 森田真帆 |
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