『ニューヨーク東8番街の奇跡』
(1987年):UFO型(?)宇宙生物
スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮による、ニューヨークの下町で起きた心温まる奇跡を描くファンタジー。登場するのは円盤型の機械生命体。といっても『トランスフォーマー』と違い、見た目は小さくてかわいらしいUFO型。壊れた物体を新品同様に直してしまう不思議な力を持つ。劇中では何と繁殖行動も見せ、キュートなチビUFOたちが誕生する。
彼らが絆を育むのは、再開発の波が押し寄せる下町で立ちのきを迫られる、古びたアパートの住人たち。個性的な住人の中でも、特に実生活で夫婦だったジェシカ・タンディとヒューム・クローニンが、アパートでダイナーを営む老夫婦を好演。UFOたちにお手伝いしてもらいながら、お客の相手をする場面には心和むこと必至。全編を通して温かい雰囲気に満ちた一品。 |
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かわいい金属生命が起こす小さな奇跡、ほっこりしたいときにどうぞ
ユニバーサル映画100周年企画シネマコレクション『ニューヨーク東8番街の奇跡』
発売中
価格:1,500円(税込み)
販売元: ジェネオン・ユニバーサル
(C)1987 UNIVERSAL STUDIOS AND AMBLIN PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
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『第5惑星』
(1985年):ドラコン星人
映画『エアフォース・ワン』など大作で知られるウォルフガング・ペーターゼンが監督。21世紀末、宇宙に勢力を広げる地球人に反発する、最大の敵としてドラコン星人は登場する。映画では、地球人ダビッジ(デニス・クエイド)とドラコ星人ジェリバ(ルイス・ゴセット・Jr)が、戦闘中に不毛の惑星に不時着。過酷な環境下での協力を余儀なくされ、次第に友情を深める様子を描く。
爬虫類のような恐ろしい容姿のドラコン星人だが、聖典を信奉し、己の血統を重んじる誇り高い種族であることが判明していく。雌雄同体でもあり、出産したジェリバが、地球人であるダビッジに自らの子を託して息絶える場面は実に印象深い。その子にドラコン星人としての教えを伝えるジェリバの姿がさらなる感動を呼ぶ。宗教や人種の違いに端を発する争いが激化する一方の現在だからこそ見直したい作品だ。 |
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クレジット:見た目は凶悪なドラコン星人と地球人の友情とその後の希望を描く、味わい深い名作
20th Century Fox / Photofest / ゲッティ・イメージス
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『ヒドゥン』
(1987年):寄生型エイリアン
ドラマ「デスパレートな妻たち」などで現在も活躍するカイル・マクラクラン主演のSFアクション。平凡な人物が突然凶暴化する連続殺人事件の原因である寄生型エイリアンをロス市警の刑事トム(マイケル・ヌーリー)と、やはりエイリアンであるFBI捜査官ロイド(カイル)が追う。
哺乳類の口から口へ寄生していくエイリアンは、正体を現したとき、ロイドの持つ専用銃を使わなくては殺せないというやっかいな存在。一度寄生すると、スポーツカーをかっ飛ばし、ヘビメタでノリノリになるなど、なかなかゴキゲンなやつでもある。最終的には、調子に乗って大統領候捕にまで寄生する。スピーディーな展開とスリリングな物語、トムとロイドの育む友情など、あらゆる娯楽要素が調和した拾いモノ。かつて「日曜洋画劇場」で幾度も放送されているだけに、テレビで観た記憶を持つ人も多いはず。
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B級ながら、さまざまな娯楽要素が、見事にブレンドされた一本
New Line Cinema / Photofest / ゲッティ・イメージス
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『SF/ボディ・スナッチャー』
(1978年):宇宙植物
これまで4度映画化されている、ジャック・フィニイの小説「盗まれた街」2度目の映像化作品。宇宙から飛来した植物によって人々がコピーされ、すり替わっていく様子が静かに描かれる。一切の感情をなくしたようなコピー人間の様子が、そこはかとない恐怖を醸し出す。映画全体を覆う不気味な雰囲気も秀逸で、映画化の中で一番の出来と評されることも多い。
主演はジャック・バウアーことキーファー・サザーランドの父親でもある名優ドナルド・サザーランド。「スター・トレック」シリーズのミスター・スポックで知られるレナード・ニモイや、侵略SF『インデペンデンス・デイ』のジェフ・ゴールドブラムなど、それこそ宇宙人のような俳優陣の集結も魅力。
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正直入れ替わってもそのままでもかわらないのでは…濃いメンツが揃った良作
Hulton Archive / Getty Images
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『銀河ヒッチハイク・ガイド』
(2005年):ヴォゴン人
もとはラジオドラマとして書かれ、小説版が世界中でベストセラーになったカルト的SF小説の映画化。平凡な英国男性アーサーが、親友のベテルギウス星人に連れられ破壊寸前の地球から脱出。銀河のヒッチハイカーとして広大な宇宙を旅する姿を描く。さまざま宇宙人が登場する中でも、最後まで主人公たちを追い詰めるのが、銀河でも不快な種族といわれるヴォゴン人。官僚的で肉親を助けるにも書類が必要という、どこかで聞いたような気質を持つ。
宇宙船団を率いて地球に飛来したヴォゴン人は、宇宙バイパス建設のため地球を破壊すると全世界にアナウンス。パニック状態の地球人を見ても「50年前に書類を送っていた」と問答無用で地球を消滅させてしまう。異種族をもてなすときには、宇宙でも最悪という詩を相手が白骨化するまで朗読し続けるなど、絶対にお目にかかりたくない宇宙人だ。 |
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これが宇宙でも屈指の不快さを持つヴォゴン人だ!
MJ Kim / Getty Images
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『マーズ・アタック!』
(1996年):火星人
ティム・バートン監督が、大好きだったトレーディングカードシリーズを原案に、火星人による地球侵略を描いたコメディー。タコのイメージが強い火星人だが、本作では巨大な脳みそにガイコツような顔面を持った、明らかに友好的と思えないビジュアル。実際、歓迎ムードに沸く地球人たちを残らず骨だらけに。
バートン監督なだけに、サラ・ジェシカ・パーカー、ジャック・ニコルソン、ピアース・ブロスナンなど豪華キャストが共演。大スターたちが、文字通りおもちゃのように火星人の犠牲になるさまは、コメディー仕立てだからいいようなものの、リアルに描くと相当グロいといえる。 |
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一目で仲良くなれないことがわかる、キッチュでグロテスクな火星人
Warner Bros. / Photofest / MediaVast Japan / ゲッティ・イメージス
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Warner Bros. / Photofest / MediaVast Japan / ゲッティ・イメージス |
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『マックィーンの絶対の危機(ピンチ)』
(1958年):ブロブ
隕石(いんせき)と共に地球にやって来た人食い液体生物ブロブに立ち向かう若者たちの戦いを描く。アメーバ状の生物で人間を吸収しながら成長していくブロブに、もはや「交渉」や「友好」といった言葉は通用しない。とはいえ、1950年代ということもあって映像は悲しいかな超チープだ。
しかし、何といっても本作は大スター、スティーヴ・マックィーンの初主演作という意味でも貴重な作品。さらに1980年代には、今や名匠となったフランク・ダラボン共同脚本によるリメイク『ブロブ/宇宙からの不明物体』が製作されており、そちらは伏線の効いたストーリーやコメディー調の演出とグロ描写が見事に融合した、良質な作品となっている。 |
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若きマックィーンがビビる!リメイク版の発売もぜひお願いしたいところ
「マックィーンの絶対の危機 -デジタル・リマスター版-」価格:3,990円(税込み)
発売元:株式会社ニューライン
販売元: 株式会社エスピーオー
(C) 2004 WORLDWIDE ENTERTAINMENT
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『宇宙水爆戦』
(1954年):メタルーナ・ミュータント
SF作家レイモンド・F・ジョーンズによる長編小説が原作の1950年代を代表するSF映画。ある日、現代科学では作り得ない通信装置の部品を受け取ったことから、太陽系外の惑星間戦争に巻き込まれる科学者の姿を追う。
登場する宇宙人は、敵惑星との戦争のため地球を利用する惑星メタルーナの人間。しかし本作が語り継がれるのは、脳みそむき出しのキモい容姿を持ったメタルーナ・ミュータントの存在ゆえだろう。メタルーナ星の兵器であるミュータントは厳密には宇宙人とは呼べないが、SF史に残る強烈なその姿を見るだけでも、観る価値のある作品だ。
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「宇宙水爆戦 -HDリマスター版-」
価格:3,990円(税込み)
発売元:株式会社ニューライン
販売元: 株式会社エスピーオー
(C) 1955 Universal Pictures Co., Inc. All Rights Reserved.
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これはキモい!友好という言葉が空しくなるデザインのメタルーナ・ミュータント
(C) 1955 Universal Pictures Co., Inc. All Rights Reserved.
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『スペースバンパイア』
(1985年):スペースバンパイア
『悪魔のいけにえ』のトビー・フーパー監督によるSFホラー。登場するのはハレー彗星(すいせい)と共に地球に接近してきた宇宙船内に安置された、全裸で眠る2人の男性と1人の女性・その正体は、生物の精気を吸い取りバンパイアにしてしまう吸精鬼だ。女バンパイアを全裸で演じたマチルダ・メイの肉体は息をのむほど美しく、突然キスを迫られる犠牲者がうらやましくなるが、次の瞬間には精気を吸われ、ホカホカのミイラ状態にされてしまうためショックも倍増だ。
本格的なSFシーンや、ひからびた体で獲物を求めるバンパイアの造形、目的不明のまま逃げる女バンパイアを捜す追跡劇、ロンドンの街中が吸精鬼だらけになるクライマックスなど、個々の場面の出来は秀逸。マチルダの素晴らしい裸体と共に、じっくりと楽しんでほしい一作だ。ヘンリー・マンシーニによるテーマ曲も印象的。 |
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まさに天国から地獄!裸のお姉ちゃんに喜んでいると、ひからびたバンパイアにされちゃいます
Cannon Film Distributors / Photofest / ゲッティ・イメージス
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『宇宙人王(ワン)さんとの遭遇』
(2011年):王(ワン)さん
「言語使用人口が最多」という理由で中国語を話す、イカっぽい宇宙人ワンさんをめぐる異色ドラマ。あくまで文化交流が訪問目的と主張するワンさんと、それを信じようとしない秘密警察、ワンさんに感情移入していく通訳の女性による会話劇を中心にドラマは進行する。
ワンさんの目的を聞き出すため、拷問もいとわない秘密警察の描写は、西側諸国の中国に対する感情を明確に表現しているかのよう。それだけに、全てが明らかになるラストには複雑な思いを抱くこと必至。またそれと関係なく、完全イカな見た目で本格的な中国語を話すワンさんのビジュアルはかなりシュール。笑いながらもグローバル化が進む社会について深く考えさせられる、不思議な味わいの作品だ。
映画『宇宙人王(ワン)さんとの遭遇』は10月20日よりシアターN渋谷にて公開 |
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キモかわいいワンさんに笑いつつも、考えさせる一作
(C) 2011 Manetti bros. Film
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(C) 2011 Manetti bros. Film |
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「王(ワン)さん」を例に出すまでもなく、映画の中の宇宙人たちは、その時代の世相を色濃く反映した存在として描かれることが多い。これからも人類の歩みに合わせ、想像もしなかった宇宙人像が描かれていくことだろう。来るべき未来、人類が遭遇するのは果たしてどんなエイリアンなのか? UFO型生物と友情を育むか、スペースバンパイアのおっぱいが見たいか(ミイラにされるけど)、いつか来る「未知との遭遇」への空想を広げるためにも、地球上の問題は早急に解決しておきたいところだ。 |