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超私的! ひねくれコメディー特集

型破りシネマ塾

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俳優で観る王道コメディー刺激が欲しい!ブラックコメディー

超私的! ひねくれコメディー特集

2012年も残すところあと少し。年末年始は笑って過ごしたい! でも、多忙に過労、過酷な現実を前にしてコメディーなんて観る心の余裕はない……。そんな疲れた人におすすめなのが、無理やり笑いを強いる爆笑コメディーではなく一風変わったシニカルで個性的な笑いなのだ! レンタル店に直行or即買いしたくなる作品から、読んでいるだけで笑える強烈なマイナーコメディーまで、当サイトでおなじみのライターが超私的におすすめのコメディーを紹介します!

ダウナー気分には無表情な「キートン系」俳優の王道コメディー 文/浅見祥子

シリアス過ぎる現実を前に脳みそがフリーズしたとき、観たくなるのはしょうもないコメディーだ。それも情に訴える「チャップリン系」ではなく、無表情な「キートン系」。ちょうど悲しいときに悲しい歌が心に染みないように、ダウナー気分には愛想がいいとはいえない役者による王道コメディーがなぜかしっくりくる。

ウィル・フェレル

ウィル・フェレルはその筆頭。極端な奥目と目鼻口が真ん中に集まった顔は日本人の共感をまったく呼ばず、日本では鳴かず飛ばず。でも、まずは『エルフ~サンタの国からやってきた~』(未/ 2003)を観てほしい。この人は、周囲になじめない変人をやらせたらピカイチ。この映画で彼が演じるのはサンタに間違って北極へ連れて行かれ、エルフ(=小さい妖精)に育てられた人間の子バディ。成長した彼がニューヨークへ実父を捜しに行く。身長190㎝を超えるおっさんの外見に小5並みに無垢(むく)な心を持つバディが引き起こす大騒動。クリスマスの奇跡を信じさせるストーリーもステキで、もしこれでウィルにハマったら、彼の無表情が作り出す変人キャラものにも挑戦してみては?

定番ジャンルの「童貞モノ」

ジョナ・ヒル『マネーボール』(2011)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた注目株。彼がコメディーの王道ジャンルである「童貞モノ」に主演したのが『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(未/ 2007)。デブとヤセとメガネ、高校生3人組が意中の女子との初体験を目指す一夜を描く。ジョナが演じるのは頭の悪さと思い込みの強さだけで行動するセス。『僕の大切な人と、そのクソガキ』(未/ 2010)でのどこかえたいの知れないクソガキ役同様、この人の巨体には知性が詰まっているように見える。だからこそ童貞セスの「中2の男子心」が笑えるのだ。

この映画でセスの相棒を演じたのが、『JUNO/ジュノ』(2007)でヒロインをはらませる彼氏を演じたマイケル・セラ『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』(2010)ではハードコアな女の子、ラモーナに一目ぼれしたスコット役。彼女と付き合うため、次々に現れる元カレ軍団と対決する。漫画&テレビゲームちっくな映像の遊び満載で描かれるのは、ラモーナに振り回される男性ホルモンの薄そうなスコットの姿。その正体は弱いだけという心優しい男子は青春映画に必須のキャラだ。

最近のコメディー必須キャラ

最近の王道コメディーでもう一つの必須キャラ、それはいつでも相棒とだらだらツルむダメ男。『50/50 フィフティ・フィフティ』(2011)でジョセフ・ゴードン=レヴィットとツルんでいたセス・ローゲンは、そんな「ツレ俳優」である。『スモーキング・ハイ』(未/ 2008)ではジェームズ・フランコ(←この人も何やってんだか)演じるヤクの売人とラリパッパするうち、殺人事件を目撃してしまう男役。だらしない加藤浩次みたいな顔だがすご腕の脚本家でもあって、役者としての脱力感に秀でる。この奥行きが笑いを生む。
 
俳優に転身後、王道のスターとしてキャリアを積むマーク・ウォールバーグ『アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!』(2010)でわかるように、この人の無駄に筋肉質な体はコメディーでこそ生きる。『テッド』(2012)はそんな彼の最新主演作。やさぐれキャラのテディベアが唯一無二の親友である三十男を、これほどナチュラルに演じられるのは彼くらいのものだろう。

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下ネタを含むブラックで刺激の強い罰当たりなコメディー 文/なかざわひでゆき

基本的に、下ネタを含むブラックで刺激の強い笑いが好きなワタクシ。脳みそを空っぽにして楽しめるおバカ映画はもちろん、あえて世の常識だとか良識だとかに唾を吐いてみせるような罰当たり映画も大好物。そんな自分にとってコメディー体験の原点といえるのが、あのパロディー映画の王様メル・ブルックスだったりするんですね。中でも一番大好きなのは、彼が監督・製作・脚本・主演を務めた『メル・ブルックス/新サイコ』(1977)。ヒッチコック映画のパロディーをこれでもかと詰め込んだ作品です。とにかく、メル・ブルックスらしいアホでナンセンスなギャグのつるべ打ち。最後、魔女になって飛んでいく看護師さんとか意味がわかりません(笑)。

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発売元:20世紀フォックス
©2006Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.

ブラックな笑いを楽しむなら

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一方、ブラックな笑いで好きなのはジョン・ウォーターズ監督。初期作品の変態な悪趣味ぶりはともかく、メジャーになってからの『シリアル・ママ』(1994)なんかは、彼の根本的に持つ毒々しさをカラフルなポップセンスで包んだ傑作です。伝統的価値観を重んじるサバービアの完璧主婦が、今どきのたるんだ若者や規則を守らない隣人を次々と血祭りに上げていく。レンタルビデオを巻き戻して返さなかったオバサンをラムチョップでたたき殺したりとかね(笑)。行き過ぎた美徳は殺人的な悪徳に等しいという逆説的ユーモア。なぜDVD化されてないのか理解に苦しみます。
 
そうそう、罰当たりな作品といえば、イギリスBBCの製作したテレビドラマ「アブソリュートリー・ファビラス」(1992~2004)も見逃せません。そもそもイギリスのコメディードラマって、モンティ・パイソンの時代から強烈にブラックですもんね。鬼才コメディエンヌ、ジェニファー・サウンダーズが脚本を兼ねたこのシリーズは、面の皮が厚くて欲の深いド派手な中年オバサマコンビが、華やかなファッション業界でやりたい放題を決めまくります。朝からコカインで飛びまくり、いい男を見かけりゃ舌なめずりしてケツを追い掛けるお下劣なオバサマたちのアホ丸出しな醜態は猛烈にパワフル。しかも、有名芸能人からロイヤルファミリーまで名指しでこき下ろし、時にはセレブ本人までもが登場してバカをやらかしてくれます。さすが天下のBBC、侮れません(笑)。

ぶっ飛んだ古典作品も

英国絡みで思いつくコメディーといえば『オースティン・パワーズ』 (1997)シリーズ。といってもアメリカ映画ですけどね、テヘ♪ ただ、下ネタ満載のギャグといい、ロンドンを舞台にしたおしゃれムードといい、マイク・マイヤーズの英国大好きぶりがうかがい知れるってもんです。小人ネタとか排出物ネタとか、気持ちいいくらいにやらかしてくれるところが好きですねえ。

そして最後におすすめしたいのが、マリリン・モンロー主演の『お熱いのがお好き』(1959)。いきなり古典!? と思われるかもしれませんが、いやなに、ビリー・ワイルダー監督のちょっとHで意味深なユーモアセンスはなかなか痛快なんですよ。ギャングに追われる音楽家2人組が、女性ばかりの楽団に女装して紛れ込むというアイデアもぶっ飛んでる。で、そこで知り合った美女モンローを、あの手この手でモノにしようと競い合うわけです。男女の性別までも超越してしまう最後のオチは抱腹絶倒。サイレント期の喜劇俳優ジョー・E・ブラウンが場をかっさらいます。

オースティン・パワーズ:デラックス
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© 1999 MCMXCIX New Line Productions, Inc. All Rights
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「お熱いのがお好き<特別編>」
価格:1,490円(税込み)
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発売元:20世紀フォックス
©2012 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.
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