「飛行機映画にハズレなし!」。映画業界の定石といわれているほど人気ジャンルの一つが、飛行機映画なのです。今回のクローズアップでは、3月1日(金)公開の映画『フライト』 ほか、飛行機(旅客機)を舞台にした映画を厳選して紹介します!
『フォレスト・ガンプ/一期一会』 でアカデミー賞監督賞を受賞したロバート・ゼメキス 監督、『グローリー』『トレーニング デイ』 で2度のオスカーに輝いているデンゼル・ワシントン 主演のヒューマンドラマ。ある航空機墜落事故を発端に、一人の男が起こした行動の「善悪」を観客に突き付ける、深い人間ドラマになっている。
デンゼル・ワシントン 演じるウィトカーは旅客機のパイロット。非常に高い飛行技術を持つ一方で、アルコール中毒という病の持ち主でもある。ある日、大型旅客機のフライト中、機体が原因不明の急降下を始める。ウィトカーは持ち前の飛行技術を駆使して、何と大型旅客機の背面飛行を敢行し、被害を最小限に食い止める。おかげで「多くの命を救った英雄」として世間から注目されるが、後に、彼がフライト中にウオツカを飲んでいたことが発覚。ウィトカーは、「墜落の原因は機体の不具合にあり、自分がアルコールを摂取していたことは無関係。(高い飛行技術を持つ)自分が操縦していなければ乗客は全員死んでいた」と主張。彼をよく知る人々はその意見に賛同する。
劇中、ウィトカーでなければ乗客の命を救うことはできなかったことが、何度も示される。果たして彼は「犯罪者」なのか否か。観客は何度もその判断を迫られる。まるで山崎豊子 の「白い巨塔」で超一流の外科医でありながら、医療ミスで訴えられる財前五郎のようでもある。観ている者の価値観を揺さぶられる、非常に考えさせる作品だ。
映画『フライト』より
(C) 2012 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
映画『フライト』より
(C) 2012 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
映画『フライト』より
(C) 2012 Paramount Pictures. All Rights Reserved.
タイトルにもなっている「エアフォース・ワン」とは、ボーイング747-200Bを改造したアメリカ合衆国大統領専用機VC-25の通称のことで、「空飛ぶホワイトハウス」とも呼ばれる。ハリソン・フォード 演じるアメリカ合衆国大統領が乗ったエアフォース・ワンがテロリストらにハイジャックされ、大統領は家族を守るために一人でテロリストらに立ち向かって死闘を繰り広げるというアクション映画。アカデミー賞音響賞、編集賞にもノミネートされた。
テロリストのトップを演じるのは、悪役の常連俳優ゲイリー・オールドマン 。本作でもテロリスト軍団を仕切る冷酷なリーダーを抜群にキレた演技で見せ、ひときわ強い印象を残している。ハリウッド映画のセオリーである3幕構成に乗っ取った作りになっており、ハイジャックされて以降のハリソン大統領VSゲイリー率いるテロリスト軍団の展開はサスペンスフルに進み、公開当時すでに55歳だったハリソン・フォード の体を張ったアクションを堪能できる。しかし、最後のゲイリー・オールドマン のやられ方はなかなかひどく、北野武 監督『アウトレイジ』 の椎名桔平 をほうふつさせる。
『エアフォース・ワン』
ブルーレイ発売中
価格:2,500円(税込み)
(C) Buena Vista Home Entertainment, Inc.
『ウォーターボーイズ』 『スウィングガールズ』 など娯楽映画にこだわり、作品を発表し続ける矢口史靖 監督が、航空業界で働く人々の姿を描いた『ハッピーフライト』 。パイロット、キャビンアテンダント、グランドスタッフ、整備士、管制官などさまざまな職業の人たちが登場し、その舞台裏がコメディータッチで魅力的に描かれる。
制作は、ANA(全日本空輸)の全面的な協力の下に行われ、矢口監督は2年間で国内外の航空関係者100人以上に取材を行った。ANAは企画、脚本の段階でも協力しているが、ANAからの直しはほとんどなかったという。撮影も羽田空港、関西国際空港、ANA機体整備工場などがロケ場所として使用され、さらに機内のシーンは本物のジャンボジェット機、ボーイング747-400機内で行われた。
徹底した取材を基に描かれているだけあり、劇中にはさまざまな豆知識が登場。例えばそれまであまり知られることのなかった、鳥と飛行機の接触事故=バードストライクを防ぐ「バードパトロール」という職業の人々や、機長と副操縦士は同じ種類の食事を取らない(二人同時に食中毒などにかからないため)など、「へぇ~」と思うような事実が盛り込まれている。この映画を観た後に空港を訪れると、これまで何げなく見ていた空港の景色が、少し違って見えるかもしれない。
ハッピーフライト スタンダードクラス・エディション
DVD発売中
3,990円(税込み)
発売元:フジテレビジョン/アルタミラピクチャーズ/電通
販売元:東宝
アカデミー賞5部門にノミネートされるなど高い評価を受けた『マイレージ、マイライフ』 。「リストラ請負人」として1年のうち300日以上を出張のために、飛行機の中で過ごし、マイレージを1,000万マイルためることが目標で、人間関係のしがらみからも距離を置いて身軽に生きていくことがポリシーという一風変わった男がこの物語の主人公。
『JUNO/ジュノ』 で注目されたジェイソン・ライトマン が監督&脚本を手掛け、ユニークな題材を扱いながらも、一人の男が変わっていくさまを描く普遍的なヒューマンドラマに仕立てている。主演は、今年のアカデミー賞作品賞を受賞した『アルゴ』 の製作を手掛けるなど、映画製作者としても活躍するオスカー俳優ジョージ・クルーニー 。現在51歳にして独身である彼自身の、数々の浮き名を流して気ままに生きている(ように見える)姿が、本作の主人公とダブって見えるのも面白い。
劇中には空港や飛行機内の場面が数多く登場するが、その撮影にはアメリカン航空が全面協力。実際にデトロイト・メトロポリタン国際空港が使用されており、社員もパイロット、キャビンアテンダントなどがエキストラとして撮影に参加した。
映画『マイレージ、マイライフ』より
Copyright (C) MMIX DW STUDIOS L.L.C. and COLD SPRING PICTURES. All Rights Reserved. TM, (R) & Copyright (C) 2012 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.
映画『マイレージ、マイライフ』より
Copyright (C) MMIX DW STUDIOS L.L.C. and COLD SPRING PICTURES. All Rights Reserved. TM, (R) & Copyright (C) 2012 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.
文・構成:シネマトゥデイ編集部 堀達夫
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