『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』DVD&ブルーレイ特集:本広監督が大暴露!?マニアも知らない「踊る大捜査線」マル秘情報流出事件簿
15年もの長い間、テレビドラマ、そして映画と、日本の映像エンターテインメントの世界で最前線を走り続け、大人気を博してきた『踊る大捜査線』シリーズ。そのラストを飾った完結編『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』が、ついにDVD&ブルーレイ化。これが本当の意味での最後の“踊る”チャンスとばかりに、「踊る大捜査線」の世界を育て続けてきた本広克行監督に直撃インタビュー。監督だけが知る現場の裏話、「踊る」ならではのマニアックな小ネタの数々、そして今だからこそ話せる演出の秘密に迫る!(取材・文:永野寿彦)
Q1:「踊る」シリーズは、毎回監督が主演の織田裕二さんをはじめキャストの皆さんとセッションを重ねて作られているそうですが、今回は具体的にどのようなことを話されたのでしょうか?
織田さんはちょっとしたニュアンスにも細かくこだわるので密にセッションを重ねました。今回も「あの~」っていうセリフをトーンを高くして言った方がいいのか、低いところから言った方がいいのか、と夜中に電話がかかってきたりして(笑)。それぐらい集中していましたね。
印象的だったのは柳葉敏郎さん。15年間室井(慎次)を演じてきて、「室井の役は偽善だ」といろんな人に言われていたらしいんです。なので「偽善で何が悪い」と言いたい、と。柳葉さんがそこまで強くおっしゃるのは珍しいんですが、その芝居がすごく良かった。初めはカットを割っていたんですが、あまりに素晴らしかったのでワンカットにしちゃいました(笑)。
Q2:今回も名作へのオマージュがギッシリ詰められているそうですが、特に意識した作品があれば教えてください。
オープニングの空撮はヒッチコック映画のタッチですし、その後の商店街のシーンは山田洋次監督作品。よく観てもらえば、寅さん風の人物も発見できるはず(笑)。警察庁の大会議室の円卓は「新世紀エヴァンゲリオン」のゼーレですし、クライマックスのパトカーのシーンは『風の谷のナウシカ』の王蟲(オーム)の暴走のイメージ。ほぼ全編がオマージュと言っても過言じゃないです(笑)。僕はコピー世代ですから。「こういうイメージでやりたい」とスタッフにもいつも伝えているのですが、今回一番影響を受けたのはラッセル・クロウ主演の『スリーデイズ』。短いシーンで人物像や出来事に深みを与える演出は、すごく勉強になりましたね。
Q3:映画を観た人たちの中で物議を醸しているシーンについてズバリ伺います。クライマックスでの恩田すみれの描き方が謎めいているのですが……?
これは実はいつかやりたいなあとずっと思っていたことなんです。こういったエンターテインメント映画では基本的にないことだと思うのですが、観る人によって解釈が変わる演出ですよね。最後だからこそできた演出です。観た人が「なぜすみれさんが一瞬半透明に見えて、青島と抱き合って会話して、天に召されるようなカメラワークにしているんだろう。あれは何なんだろう……?」と感じるように意図的にやっています。
実は、飼っていた猫のぶーちゃんが亡くなったんです。不思議なことに『踊る』が始まったころに出会って、終わる頃に老衰で亡くなったんですよね。でも、今でも家にいるように感じる。魂がちゃんとそこにいる。そんな大切なものは何かということに気づかされる感じを演出したいと思っていたんです。『踊る』の未来は観客の解釈に委ねるという意味でも。エンドロールにも未来を思わせるような画(え)を差し込んでいるので、観る人によっていろんな可能性の感じられる映画になっていると思います。
『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』プレミアム・エディション
4月26日(金)発売
【DVD】(3枚組:本編DVD+特典映像DVD×2枚)価格:7,140 円(税込み)
【Blu-ray】(3枚組:本編BD+特典映像DVD×2枚)価格:8,085円(税込み)
発売元:フジテレビジョン アイ・エヌ・ピー
販売元:ポニーキャニオン
『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』DVD&ブルーレイ オフィシャルサイト
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