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第49回『舟を編む』『天使の分け前』『コズモポリス』『藁の楯 わらのたて』『アイアンマン3』

今月の5つ星

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シネマトゥデイが選ぶ 今月の5つ星

三浦しをんのベストセラー小説を松田龍平主演で映画化した感動作『舟を編む』、セレブなヒーローの活躍を描く人気アクションシリーズ最新作『アイアンマン3』、社会の底辺であえぐ人々を描き続けてきたイギリスの名匠ケン・ローチによるコメディー『天使の分け前』など、この春イチオシの快作&話題作がズラリ!

4月13日公開 人と人をつなぐ言葉について考えさせる不器用なキャラに心酔 『舟を編む』 作品情報

新しい辞書作りに15年もの年月を費やすという事実や、言葉の用例採集に語釈執筆など、言葉にまつわるドキュメンタリー的要素も楽しめる本作だが、この地味な題材を、うまくエンターテインメントとして昇華させ、変な感動押しや恋愛メロドラマにブレることなく描かれている。特筆すべきは、主人公・馬締を演じた松田龍平『探偵はBARにいる』などの脱力系男子も良かったが、不器用で変人なキャラを愛嬌(きょう)たっぷりに演じていて、馬締の魅力に夢中になってしまった。オダギリジョー演じる先輩編集者と馬締の掛け合いもほほ笑ましく、全編通して心が温まる。人と人とをつなぐ言葉について考えたくなる良作だ。(編集部・山本優実)

『舟を編む』© 2013「舟を編む」製作委員会
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4月13日公開 夢も希望もない青年に訪れた一期一会の出会いに感動 『天使の分け前』 作品情報

ケンカ沙汰の絶えない青年が、信頼できる大人とスコッチウイスキーとの出会いによって、負の連鎖を断ち切り新たな人生を歩み始める……。厳しい現実を観客に突き付けてきたケン・ローチ監督の作風を考えるとファンタジーともみなせる内容だが、それもそのはず、本作は夢も希望も持てない環境で暮らす若者たちが「もし人生においてチャンスを与えられたらどうなるか」を寓話的に描いた作品だからだ。スコッチを物語の鍵にしたのもローチ監督のうまいところで、スコットランド人でありながらこれまで自国が誇る文化であるスコッチに触れることもなかった若者たちをコミカルに見せる一方、貧しさによって文化と切り離され、今いる小さな世界に閉じ込められてしまう恐ろしさをも感じさせる。人との出会いがいかに人生を変えるかという物語に感動させられるとともに、自分の意思とは無関係に悲劇へと突き進んでいく若者の姿を映し出した『SWEET SIXTEEN』とは違った方法で、若者たちが置かれている現状を考えさせる秀作だ。(編集部・市川遥)

『天使の分け前』©Sixteen Films, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve, Urania Pictures, France 2 Cinema, British Film Institute MMXII
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4月13日公開 若き投資家にふんしたロバートのラジー賞を一蹴する名演 『コズモポリス』 作品情報

アメリカ現代文学の代表的作家ドン・デリーロの小説をデヴィッド・クローネンバーグ監督が映画化。若くして億万長者となった投資家が破滅へと向かう1日を追う。トイレまで完備された投資家のハイテクリムジン内での会話劇を中心に、仮想のマネーゲームの果てに絶望へと向かう主人公を描いた内容は、テクノロジーと肉体や精神の関係を描いてきたクローネンバーグ監督の初期の作品群を、驚くほどほうふつさせる。劇中のセリフは監督がほれ込んだという原作小説のものがそっくり使用されており、小説と併せて興味深く楽しめるはず。また主演のロバート・パティンソンの演技も圧巻。大損の危機にありながらセックスに溺れるなど、どこか別次元にいるような複雑な感情を持った主人公を見事に演じ、ポール・ジアマッティジュリエット・ビノシュら実力派俳優たちにひけをとらない存在感を発揮している。『トワイライト』シリーズでラジー賞の常連扱いのロバートだが、本作を観れば、その確かな実力を認めることになるだろう。ちなみに小説からの変更点として、主人公が巨額を失う原因が「円」の変動から「人民元」の変動に置き換えられているところにも世相を感じる。(編集部・入倉功一)

『愛、アムール』©2012-COSMOPOLIS PRODUCTION INC. / ALFAMA FILMS PRODUCTION / FRANCE 2 CINEMA
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4月26日公開 完全悪に葛藤する人々を通して投げ掛けるメッセージがズシリ 『藁の楯 わらのたて』 作品情報

孫娘を殺され、復讐(ふくしゅう)を誓った富豪の老人(山崎努)によって10億円の懸賞金がかけられた凶悪犯が、SPの銘苅(大沢たかお)に放つ「すっげえ!」の一言。誰がどう見ても悪人。全国民に憎まれる「人間のクズ」を命懸けで守らなければならないSPたちの理不尽な戦いを見届けた後では、この言葉が痛いほど心に響くだろう。SPを続けることが到底理解し難いトラウマを抱えた銘苅をはじめ、幼い息子を持つシングルマザーの白岩(松嶋菜々子)や熱血漢の神箸(永山絢斗)といった、等身大で血の通ったキャラクターたちだからこそ、「果たして、彼らを踏みとどまらせているのは何なのか……?」と手に汗握ってどっぷり感情移入してしまう。三池崇史監督作品特有の血なまぐさい暴力描写は控えめに、それぞれの使命や倫理と葛藤する人々のボロボロに傷つく姿を通し、次々とメッセージを投げ掛ける社会派ドラマの重い余韻に心を揺さぶられる一作だ。(編集部・石井百合子)

『藁の楯 わらのたて』©木内一裕 / 講談社 (C) 2013映画「藁の楯」製作委員会
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4月26日公開 子どもから大人へ、全てを失ったセレブ・ヒーローの転機 『アイアンマン3』 作品情報

アイアンマン=トニー・スタークの魅力は何だろう? 自信家であり、時に大言壮語に見えなくもない言動を現実にしていくところ? 自己中心的でありながら、常にユーモアを忘れないところ? それとも、それらを見事に表現したロバート・ダウニー・Jrの人を食ったような演技? 言ってみれば、いつかは大人にならざるを得ないこの世界で、いつまでも子どもでいられる自由さ(&財力)、それが何よりも彼、そしてシリーズの魅力になっていた。だが本作では転機が訪れる。全てを失ったトニーがさまざまな手段で復活を期するという本作のストーリーは、そのまま彼が子どもから大人になるための通過儀礼とも読み取れるのだ。思えば前作『アイアンマン2』で父親の存在がキーになっていたように、シリーズは常にトニーの成長を描いており、それが本作で一つのクライマックスを迎えるともいえる。そういう意味で「さらば、アイアンマン。」というキャッチコピーは誇張でもなければ、うそでもない。本作では紛れもなくアイアンマン=トニー・スタークの最後の戦いを描いているからだ。それがどういう意味なのか……ぜひ自分の目で確かめてもらいたい。(編集部・福田麗)

『アイアンマン3』©2013 MVLFFLLC. TM & (C) 2013 Marvel. All Rights Reserved.
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