今年のゴールデンウイークは、人気シリーズ第3弾『アイアンマン3』 をはじめ、ブラッド・ピット が「優しく殺す」がモットーの殺し屋を演じる『ジャッキー・コーガン』 、シュワちゃん10年ぶりの主演復帰作『ラストスタンド』 など、話題作がめじろ押し! 今週のクローズアップでは、その中でも特に注目したい洋画6作品をご紹介します!
ロバート・ダウニー・Jr 主演でマーベル・コミックを映画化した人気シリーズ第3弾。『アベンジャーズ』 の戦いから1年、見えない敵の脅威におびえ、一心不乱に新型スーツの開発に励むトニー・スタークの前に正体不明の敵・マンダリンが立ちはだかる。監督は前2作でメガホンを取ったジョン・ファヴロー から、ロバートとは2005年の『キスキス,バンバン』 でもタッグを組んだシェーン・ブラック に交代(ファヴロー前監督は引き続き、前2作でトニーの運転手兼ボディーガードを務めたハッピー・ホーガン役で出演している)。これにより、いま流行のシリアス&ダーク路線に変更か!? ともいわれていたが、そんなことはまったくない。『アイアンマン』らしいユーモアは健在どころかパワーアップして、思わず笑ってしまうシーンが随所にちりばめられている。『ダークナイト』 に乗っかって何でもかんでもダークにすればいいもんじゃないと思う筆者としては、やっぱり『アイアンマン』はこうでなきゃ! と大満足の出来だった。最後に一言……、ベン・キングズレー 最高!
『アイアンマン3』 4月26日公開
(C) 2013 MVLFFLLC. TM & (C) 2013 Marvel. All Rights Reserved.
ロサンゼルスに実在した伝説のギャングと、彼の支配に終止符を打つために立ち上がった市警の壮絶な抗争を描いたクライム・アクション。警察や政治家までも意のままに操る裏社会のボス、コーエンにはオスカー俳優のショーン・ペン 、対するロス市警巡査部長オマラに『メン・イン・ブラック3』 のジョシュ・ブローリン 、その仲間のウーターズ巡査部長に『ドライヴ』 のライアン・ゴズリング 、そしてコーエンの愛人グレイスに『アメイジング・スパイダーマン』 のエマ・ストーン と豪華な顔ぶれが勢ぞろい。正義のために命を顧みず戦う夫を心配するオマラの妻や、お互いの立場を超えて惹(ひ)かれ合うウーターズとグレイスのエピソードがハードボイルドな本作にスパイスを加えている。極悪なショーン・ペン も、熱血漢のジョシュ・ブローリン もなかなかのハマリ役で、なぜかいつもスーツとハットで決まっているロス市警団の姿がこれまたカッコイイ。『きみに読む物語』 の頃はさえない感じだったライアン・ゴズリング も、いまやすっかりイケメンキャラが定着してきた。
白血病で余命宣告された少女が死ぬまでにやりたいことリストを実行していく中で、予定外の恋に落ち、生きる意味を見いだしていく物語。いわば女の子版『最高の人生の見つけ方』 といったところだろうか。ただし、そこは17歳の女の子。人生これからという時で、まだまだやりたいことはたくさんある。お酒を飲む、パーティーで一晩中踊る、セックスをする……と思春期の少女ならではのリアルな願いがそこには詰まっていた。演じるのは、『I am Sam アイ・アム・サム』 で天才子役の名をほしいままにしたダコタ・ファニング 。本作ではトレードマークともいえるロングヘアをばっさりカットし、ショートヘア姿を披露。すっかり大人になったなと思う反面、ロングヘアで登場するシーンでは昔のままのあどけなさが残る。恋人を演じた『戦火の馬』 のジェレミー・アーヴァイン をはじめ、戸惑いながらも必死で主人公を支えようとする脇役たちもみな魅力的。ベタといえばベタだが、決してお涙頂戴なだけの話ではなく、観た後に心地よい余韻の残る温かい作品だ。
『17歳のエンディングノート』 4月27日公開
(C) 2012 Blueprint Pictures (Now) Limited, BBC and The British Film Institute. All Rights Reserved.
ブラッド・ピット が『ジェシー・ジェームズの暗殺』 のアンドリュー・ドミニク 監督と再びタッグを組み、「優しく殺す」がモットーの殺し屋にふんするクライム・サスペンス。殺すに優しいも優しくないもあるのか? とツッコミたくなるが、命乞いする間もなく殺してあげるのが彼なりの優しさらしい。舞台は2008年、オバマとマケインの大統領選が白熱するアメリカ。ある賭博場強盗の黒幕を捜す依頼を受けた主人公ジャッキーは、さまざまな思惑と裏切りが交錯する中、当事者全員を皆殺しにすることを決意する……。本作はそんな裏社会に生きる男たちを描きながら、理想ばかりを掲げる現代アメリカを風刺するかのように、劇中何度もオバマらの演説映像が使われているのが印象的。共演には『扉をたたく人』 のリチャード・ジェンキンス 、『グッドフェローズ』のレイ・リオッタ ら渋い役者がそろい、ほとんどといって良いほど女性は出てこないかなり男くさい映画だ。
『ジャッキー・コーガン』 4月26日公開
(C) 2012 Cogans Film Holdings, LLC. All Rights Reserved.
2003年にカリフォルニア州知事に就任してからは『80デイズ』 『エクスペンダブルズ』 などへのゲスト出演はあったものの、俳優としての第一線を退いていたアーノルド・シュワルツェネッガー 。2011年に約7年間の任期を終えた彼が『ターミネーター3』 以来10年ぶりの主演復帰作に選んだのが、この『ラストスタンド』 だ。そんなシュワちゃんが今回演じるのは、過去の事件で多くの仲間を失い、ロサンゼルス市警を退職した元敏腕刑事。いまは国境付近にある田舎町の保安官として、犯罪とは無縁の生活を送っていた。ところがある日、極秘護送中に逃亡した極悪犯がメキシコ国境へ向かっているとの連絡を受け、彼は町の仲間たちと最後のとりで(=ラストスタンド)となって立ち上がる。その仲間というのが何とも頼りなく、どこまでものんきな町の人々が笑いを誘うが、それとは対照的に時速400キロで逃亡する犯人のカースタントは、スピードを肌で感じられるほどの迫力。圧倒的に不利な状況にもかかわらず犯人に立ち向かう主人公の活躍に、シュワちゃんもまだまだ現役だと見せつけられる。
『ラストスタンド』 4月27日公開
(C) 2012 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
『スパイダーマン』 シリーズのサム・ライミ 監督の出世作にして、後のホラー映画に多大な影響を与えた同名映画のリメイク。設定は多少現代風にアレンジされているものの、大筋のストーリーはほぼそのまま。人里離れた山奥の小屋を訪れた5人の若者が、地下に隠されていた「死者の書」の封印を解いてしまったことから、次々と邪悪な死霊に取りつかれてしまうというもの。超低予算で作られたオリジナル版は、いま観れば学園祭のお化け屋敷のようなクオリティーで笑えてしまうが(それはそれで面白いのだが)、それを現代の技術でやるとなれば話は別! 怖さもグロさも恐ろしいほどに増して、笑っていられる余裕などまったくない。ホラーが苦手な人にとっては拷問のような90分だろう。プロデューサーにはサム・ライミ に加え、オリジナル版で主演を務めたブルース・キャンベル が名を連ねており、ファンも納得の仕上がりになっているはず!
文・構成:シネマトゥデイ編集部 中山雄一朗
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