第2回:ウーマンラッシュアワーの『クロユリ団地』談義
映画たて・よこ・ななめ見!
関西からやってきた人気お笑いコンビ・ウーマンラッシュアワーの新連載第2回をお届け! ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画が大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トークしちゃいます。今回は、ホラー映画が大嫌いな村本が『クロユリ団地』に挑戦!(取材・文:シネマトゥデイ編集部 森田真帆)
村本大輔(以下、村本):ほんまに怖かった……! もう僕、ほんまにホラー苦手なんですよ! 映画館で怖い映画観てると知らんうちに隣の人のカバンめっちゃつかんでいたりするからね。
中川パラダイス(以下、中川):それ、犯罪やで!
村本:今回はパラダイスが隣で良かったわ。ホラーって特有の驚かし方のパターンがあるでしょ? そういうのわかっているつもりやったのに、「来るぞ!」ってところで来ず、油断した瞬間に来るから。完全に覆されたわ。この映画は油断も隙もない! あっちゃんが何かするたびにずーっとドキドキや。あとなパラダイス、観ている最中にくしゃみすんな! めっちゃびびったわ!
中川:ほんまに落ち着きなかったもんな。案外楽しんでたんちゃう? 最後、固まってたし(笑)。
村本:もうね、怖いの頂点まで達したから。ジェットコースターってゴールに戻る頃に放心状態になってるやん。あれやわ。もうエッチの後、僕に触らんとって! って感じや。
中川:なんやそれ、ようわからんわ! でもアパートのドアののぞき穴はさすがに怖かったな。
村本:せやねん! あっちゃんが、あそこのぞくたびに「来る来る来る!」って! あと、あっちゃんたら、怖がりながらも、どんどん隣の部屋行くやろ。「そっち行くなアホ!」って思わず声出たわ。
中川:隣の部屋のおじいちゃんもめっちゃ怖かったしな。爪で壁を「ガリガリーッガリガリーッ」て。
村本:ほんま、あそこヤバかった。それにしてもおじいちゃん、壁引っかくしかできないなんて不器用やわ。僕引っ越したばかりだから、こんな引っかいたら敷金戻ってこないよ……って心配になった。
村本:僕はいつも一人で遊んでいる孤独なミノルくんに共感しましたね。彼があっちゃんに向かって「僕、お姉ちゃんの家族になる!」って言うシーンがあるんですけど、あっちゃんが「じゃあミノルくんは、わたしの弟だね!」って言った瞬間に、ミノルが一瞬「えっ」て表情するんですわ。彼氏ちゃうんかい、ってことや。
中川:ほんまに!?
村本:僕もミノルくんくらいの年のとき、オカンと銭湯行くたびに子どものふりして女性の肉体を見ていたからわかるんです。ミノルはバリバリの男ですよ! あいつは女性の落とし方を熟知した恐ろしい子どもなんです!
中川:でも最初、ミノルくん公園で遊んどったとき、めっちゃ恥ずかしがってたよね?
村本:あれも作戦やで。シャイなふりをして逃げる。ミステリアスやろ? 女の子が「あの人なんであんなに冷たいの? あっ……わたし知らないうちに彼のことが気になっている!」とこういうパターンや。ミノルは全て知っているんです! この映画のタイトルは「ミノルは知っている」に変えてもらいましょう!
中川:あっちゃんに「お姉ちゃんのおうちで遊びたい~」言うてたのも作戦か!
村本:せやで。僕もミノルと似ているところがあって、すぐに家に行きたがるからね。「あそぼ~」って言ったら飯も食わずに家に直行するし、ガンガン家に行きますから! 入れてくれんかったら、ドアノブをガチャガチャ回すしな。「ただいま~」ってお母さんの声色をマネするところも同じや。「オオカミと七匹の子ヤギ」で子ヤギをだましたオオカミと、僕とミノルは家に上がる戦法が一緒ということを皆さん、この映画からぜひ学んでください!
村本:僕は、謎の祈祷(きとう)師のおばちゃんやね。ネタバレになるからあまり言えないけど、なかなか姑息(こそく)な手を使って引きこもりのあっちゃんに扉を開けさすからね。あっちゃんに「霊は心にとりつくもの。もし一度とりつかれたら、どこに逃げても必ずついてくる」って言うところ、なんかめっちゃ怖かった。リアルすぎ!
中川:そういえば村本さんもクロユリ団地みたいなところに昔住んでいたよね?
村本:しかもな、小さい女の子がノックして訪ねて来たこともあったわ……。コンコンコン、「お兄ちゃん遊んで~」って。
中川:え~コワッ!
村本:そんとき付き合っていた21歳の女の子やったわ。身長低くってな。
中川:それ幽霊じゃないから! “ムラユリ団地”は、えらいどす黒いな。
村本:でもな、一度生霊がついてるって言われたことあるから、僕もあの祈祷師の人におはらいしてほしい。
中川:何か超常現象でも見たの?
村本:うん。相方がやたらライブでかむ。
中川:それ呪いちゃうわ! ただのミスや! しかもそれ言うたら僕についてるってことやん!
村本:そやな。嫁の生霊や!
村本:あっちゃんのお隣のおうちのおじいちゃんは、寝たきりながらもとってもすてきに浴衣を着こなしていましたね! 僕らもよくビジネスホテルに泊まるんですが、僕は1時間もしないうちに帯一本になってしまうほどはだけてしまうんです。なので、おじいちゃんのきれいな浴衣の着こなし方。きゅっと結ばれた帯にはぜひ注目してほしいですね!
『クロユリ団地』
『リング』シリーズや『女優霊』などで知られるジャパニーズホラーの鬼才、中田秀夫監督の最新作。「クロユリ団地」の謎を追ううちに怪現象に巻き込まれていくヒロイン・明日香役に元AKB48の前田敦子、明日香と共に団地のナゾに迫る特殊清掃員・笹原を映画『ドロップ』の成宮寛貴が演じる。隣室で老人の孤独死を発見して以来、想像を絶する恐怖に追い詰められていくヒロインを体当たりで演じた前田の絶叫演技、そして中田監督の恐怖演出に戦慄(せんりつ)!
(C) 2013「クロユリ団地」製作委員会
取材協力:パセラリゾーツ グランデ渋谷
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出を果たした。
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。