第66回『マン・オブ・スティール』ヘンリー・カヴィル
イケメン発掘調査隊
<インタビュー>
Q:スーパーマン=クラーク・ケントという、世界中の誰もが知っている普遍的なヒーローを演じたわけですが、この大役を手にした経緯を教えてください。
実は以前、マックGが監督する予定だったスーパーマン映画のオーディションを受けたんだ。でも、ご存じの通りあの企画は監督がブライアン・シンガーに変更されて『スーパーマン リターンズ』となり、キャスティングもやり直しされたため、僕の名前も外れた。ただ、あれがきっかけだったとは思っている。というのも、普通はキャスティング・ディレクター相手のオーディションを2回くらい受けて、その上で監督と面談をしてスクリーンテスト……というプロセスを踏むんだ。でも、今回は以前の経緯があったものだから、1回の本読みだけでいきなりスクリーンテスト。合格の知らせもあっという間だったよ。
Q:役づくりや撮影で最も大変だったことは?
それはもうトレーニングに尽きるね。撮影の準備段階から始めたのだけど、問題はクランクインしてからも続けなければならなかったことさ。朝早くに起きてハードなトレーニングをこなし、それから長時間にわたる撮影に臨む。カメラの前では疲れた顔なんてできないから、それこそスーパーマン・レベルのエネルギーを丸一日キープしなくてはならなかった。ただ、トレーニングの後に飲むシェイクは楽しみだったね。プロテイン・パウダーと数種類のフルーツ、それから大量のピーナッツバターにココナッツのミルクとクリームを入れて作るんだ。1杯で1,500カロリーあるんだけど、これがすごくおいしかった(笑)。
Q:ラッセル・クロウやケヴィン・コスナー、ダイアン・レインといった大先輩たちとの共演はいかがでしたか?
そもそも演技というものは一人ではできない。お互いに与え合うものなんだ。それこそダンスと一緒だよね。誰かが踊ることをやめてしまえば成立しない。でもみんながちゃんとリズムに乗って踊っていれば、たとえステップが合わなかったとしても、それはそれで面白いダンスが出来上がる。その過程を偉大な先輩たちとわかち合うことができて、なおかつ彼らからさまざまなことを学ぶチャンスを得たということは、この上なく素晴らしい経験だった。
Q:映画の中身は今のところトップシークレット扱いですが、ぶっちゃけどんな作品に仕上がっているんですか?
残念ながら、具体的な内容は観てのお楽しみだね(笑)。ただ言えることは、過去のスーパーマン映画やほかのヒーロー映画とは大きく違うということさ。超非日常的なキャラクターを日常的なリアリズムで描いている。かといって、必要以上にダークな世界を描いているわけでもない。つまり、僕たちが極めて身近に感じることのできるスーパーマンの物語になっているんだ。きっと「もっと観たい!」と思ってもらえるはずだよ。
<一問一答>
Q:俳優を志したきっかけは?
11歳か12歳の頃、先生から学校劇に出てみないかと誘われた。楽しそうだからという単純な理由で引き受けたのだけど、自分の両親だけでなく友達の親からも褒められて、すっかりいい気分になってしまったんだ(笑)。
Q:母国イギリスでの下積み時代はどんな仕事を?
レストランやナイトクラブのウエイター、カクテルバーのバーテンなどをして、ロサンゼルスにオーディションを受けに行く飛行機代を稼いでいたよ。
Q:ご家族は?
両親に兄が2人、弟が1人。男ばかりの兄弟だから、それは騒がしくて危険な家庭だったね(笑)。みんなヤンチャだったけど、でもお互いを助け合う結束力は今でも強いと思う。
Q:どれくらいヤンチャだったんですか?
僕は行儀のいい子だった。何かやらかしたとしても、それはただの偶然だよ(笑)。でも弟のチャーリーには伝説がある。実家には大きな裏庭があった。で、ある日チャーリーが子ども用の小さなバケツに水をくんでは、全身泥まみれで外を行ったり来たりしていたんだ。不思議に思った父親が後をつけていくと、どうしてそんなことになったのかはわからないんだけど、チャーリーは裏庭一面を燃やしちゃっていたんだ(笑)。
Q:演技以外に興味のあることは?
歴史の本を読むのが好きだね。小説も含めて。もし大学に進学していたらエジプト学を専攻したかった。考古学の教師になろうかと考えたこともあるよ。過去のことを調べたり学んだりすることで、未来に役立つことがあるんじゃないかと思うんだ。
Q:休日にはどんなことをしていますか?
もっぱら読書かな。あとはコンピューターゲーム。最近は「The Elder Scrolls V: Skyrim」っていうロールプレイングゲームにハマっている。あとは外へ出て散歩するのも好きだね。自然の中で安らかな時間を過ごして、仕事の煩わしさを忘れるんだ。
Q:好きな女性のタイプは?
僕が人間にとって最も重要だと思うのは、自分の個性をよく理解して、自分自身を信じること。だから、誰のマネをするでもなく自分らしさを持っている女性に惹(ひ)かれるね。
Q:これまでに観た映画でベスト3を挙げるなら?
『フライト』に『グラディエーター』、それから技術的な革新という意味で『アバター』かな。最近の映画の方に惹(ひ)かれるんだ。もちろん、古い映画も折に触れて観るけれどね。
Q:憧れの俳優は?
素晴らしい俳優は山ほどいるから、特定の名前を挙げることはできないね。キリがないから。でも、才能のある先輩や仲間が大勢いることはラッキーだと思う。
Q:将来はどんな俳優になりたい?
いい質問だね。僕の演じる役柄を誰もが信じてくれて、その物語にすんなりと入っていけるような、いわば優れた“語り部”のような俳優になりたいと思っているよ。
取材・文:なかざわひでゆき 写真:奥山智明
作品情報
映画『マン・オブ・スティール』は8月30日(金)新宿ピカデリーほかにて全国公開(3D/2D同時公開)
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コピーライト:
(C) 2012 Warner Bros. All Rights Reserved.
生年月日 :1983年5月5日
出 身 :イギリス・ジャージー島
身 長 :185cm
趣味/特技:読書、歴史、アウトドア
芸歴:
寄宿学校在学中にスカウトされ、2002年劇場公開の映画『モンテ・クリスト伯』でデビュー。いくつかの脇役や端役を経て、2007年から2010年まで放送された歴史ドラマ「THE TUDORS ~背徳の王冠~」でヘンリー8世の忠臣チャールズ・ブランドンを演じて脚光を浴びる。映画でもウディ・アレン監督の『人生万歳!』でいちずな若者を好演し、大作ファンタジー『インモータルズ -神々の戦い-』では堂々の主演。サスペンス・アクション『シャドー・チェイサー』でも父親役ブルース・ウィリスを脇に回して主役を張り、ハリウッドの次世代トップスターとして注目を浴びている。
<映画>
■2002年
『モンテ・クリスト伯』
■2005年
『ヘルレイザー/ヘルワールド』
■2006年
『トリスタンとイゾルデ』
■2007年
『スターダスト』
■2009年
『人生万歳!』
『ブラッド・クリーク』
■2011年
『インモータルズ -神々の戦い-』
■2012年
『シャドー・チェイサー』
■2013年
『マン・オブ・スティール』
<ドラマ>
■2002年
「チップス先生さようなら」
「リンリー警部 捜査ファイル」
■2003年
「バーナビー警部」
■2007年
「THE TUDORS ~背徳の王冠~(シーズン1)」
■2008年
「THE TUDORS ~背徳の王冠~(シーズン2)」
■2009年
「THE TUDORS ~背徳の王冠~(シーズン3)」
■2010年
「THE TUDORS ~背徳の王冠~(シーズン4)」