第1回:寺島進、初心に帰る!の巻
寺島進の「月刊 てらじま便り」
シネマトゥデイの人気コーナー「週刊 寺島進」がリニューアル! 現場の様子をはじめ、今月の寺島さんのお仕事をご紹介するとともに、アニキの役への思い、アニキが語る共演者やスタッフの素顔などなどこれまでよりもさらにディープに、俳優・寺島進の「今」を月イチでお伝えしていきます! アニキ自ら現場でパチリと撮影した「今週の一枚」もお楽しみに!
リニューアル第1回目は、アニキにとってとても思い入れの深い映画『おかえり』特別上映とともに行われたトークショーの裏側をお伝えします!
1996年に公開された本作は、アニキが初めて主演を務めた記念すべき映画。本作で映画監督デビューを果たした篠崎誠監督とは17年の付き合いになるそうで、控室に入った瞬間に「しのやん(篠崎監督の愛称)久しぶり~!」とにこやかに、篠崎監督の最新作『あれから』の感想を熱く語っていました。
第20回モントリオール世界映画祭国際映画批評家連盟賞をはじめ、高く評価された本作。数々の映画祭に招待され、篠崎監督とアニキは、ロンドンや釜山、香港を一緒に訪れたそう。中でも釜山国際映画祭では作品のフィルムが届かないという緊急事態の中、アニキ自らフィルムを日本から持ってくるという異例の事件もあったとか。「あのときは、寺島さんが会場に現れた瞬間、みんなからすごい拍手が送られていましたね!」と思い出話に花が咲いていました。
アニキが「何回観てもすごく良い作品」と絶賛する本作での役どころは、心の病を患ってしまった妻に戸惑いながらも、優しく受け入れようとする夫・北沢孝。当時は、威勢のいいチンピラ役を演じることが多かったというアニキにとっては、とても新鮮な役柄だったそう。「初めて会ったとき、しのやんはまだ映画のライターさんでね。俺をインタビューしてくれて、その直後に一緒に飲んだんだよね。それで帰りの電車の中で、しのやんが『自主映画を撮りたい』って話をしてくれて、『じゃあ一緒にやろう』ってなったんだよ」と出演へのいきさつを話したアニキ。篠崎監督はそのときのアニキの言葉がいまだに忘れられないと言います。
「僕が自主映画を撮るって話をしたときに、ちょっと卑屈な言い方をしてしまったんです。『僕のような素人の作る映画に、寺島さんのようなプロの俳優さんが出てくれたらなあ……』なんて。そしたら、寺島さんが『そんなん、プロもアマも関係ねえから!』って言ってくれた。すごくうれしかったなあ」と当時を振り返った篠崎監督に、アニキは「いまだにプロもアマもわかんねえし!」と一言。役者としての姿勢はまったくブレない、アニキらしい言葉です!
寺島進:しのやんとの『おかえり』は、本当に思い出深い作品なんだよね。脚本の段階から、よく吉祥寺のファミレスで会っては、ああでもない、こうでもないってよく話し合っていて。お互い煮詰まって、俺が「仕切り直したほうがいいんじゃねえか?」って切り出したときもあったんだよ。でも一度現場が動き出すと、スタッフも役者もみんなが一体になって、ファミリーみたいだった。低予算だから、家のシーンもしのやんの友達の家を借りてさあ(笑)。奥さんの涙を拭くときに使った手拭いも、もともと家に掛かっていたやつだから、案外きったねえの(笑)。
みんなの腹が減るタイミングも一緒だったよね。それでしのやんの弟が板前だっていって、現場に来てくれて。ケータリングなのに、ちゃんとダシもとってさあ。すごかったよな! ああいう現場は楽しくて良かった。なんかさ、もう一回やりたいよな! おれもしのやんも同い年だけど、まだまだ気力も体力もあるんだからやろうぜ!
寺島進:この前放送されたテレビドラマ「大岡越前」の撮影で京都に滞在していたときの写真! 祇園の夜桜がとてもきれいだった!