第6回 『ワイルド・スピード EURO MISSION』『マン・オブ・スティール』『コン・ティキ』
最新!全米HOTムービー
世界の映画産業の中心、アメリカの最新映画情報を現地在住ライターが紹介する「最新!全米HOTムービー」。今回は、『ワイルド・スピード EURO MISSION』『マン・オブ・スティール』『コン・ティキ』を紹介します!(取材・文:明美・トスト / Akemi Tosto)
ド派手なカスタムカーに、大迫力のカーアクションで人気の『ワイルド・スピード』シリーズ第6作『ワイルド・スピード EURO MISSION』。全米ボックスオフィスで、このたび2週連続で第1位に輝いたばかりか、シリーズ中最高のヒットを記録。新作の舞台はヨーロッパ。お尋ね者のドミニクとブライアンは、無罪放免を交換条件にFBIの要請でチームを再結成し、巨大犯罪組織に決死の挑戦をすることになる。
ヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカーのコンビはもちろんのこと、前作初登場して好評だったFBI特別捜査官ホブス役にドウェイン・ジョンソン、そして今回ハン役のサン・カンも見せ場を作っている。監督は、『ワイルド・スピード』ファンにはすっかりおなじみとなったジャスティン・リン。2006年公開のシリーズ第3作目『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』から、4本連続で起用されているすご腕だ。
自動車ファンでなくても、思わず歓声を上げたくなるようなカーアクション満載の本作だが、現在・過去が交差し、サスペンスあふれる物語の展開からも目が離せない。最後の「お楽しみ」もお見逃しなく。
今夏とっておきの期待作といわれている、スーパーマン映画の最新版『マン・オブ・スティール』。監督は、映画『300 <スリーハンドレッド>』や『ウォッチメン』など、斬新でカッコいいビジュアル作りで人気のザック・スナイダー。新スーパーマン、クラーク・ケント役は、超イケメンで話題沸騰中の英国男優ヘンリー・カヴィル。テレビドラマ「THE TUDORS ~背徳の王冠~」で、国王ヘンリー8世の寵臣(ちょうしん)チャールズ・ブランドンを演じてから、そのハンサムな貴公子ぶりに女性ファンが急増。繊細だが存在感のある演技力が業界でも話題となった。
本作では、スーパーマンの脇を固める俳優陣もすごい。故郷クリプトンでの実の父親役にラッセル・クロウ、地球での両親にケヴィン・コスナーとダイアン・レイン、そして恋のお相手ロイス・レーンにはエイミー・アダムスと、豪華絢爛(けんらん)のキャストが集結。スーパーマンの地球での苦悩を掘り下げると同時に、悪役ゾッド将軍にもスポットを当て、これまでのような軽いタッチの『スーパーマン』シリーズとは異なった、シリアスでダークな「大人の味」的仕上がりとなっている。CGIを存分に駆使した、息もつかせぬバトルシーンの数々にも注目!
今年のアカデミー賞外国映画賞にノミネートされたノルウェー映画『コン・ティキ』は、実在の学者トール・ヘイエルダールが、自分の学説を証明するために仲間と共にイカダ(!!)の「コン・ティキ号」で、8,000キロメートルの大海原を航海したという実話を基にした歴史アドベンチャードラマ。
映画の舞台は1940年代。当時若き人類学者だったトールは、南米にしかないはずの偶像が南太平洋ポリネシアにも存在することに気付き、ポリネシア人の祖先はイカダで南米から渡って来た民族であると確信する。自分の学説を証明すべく、トールは周囲の冷笑や反対をよそに、イカダ「コン・ティキ号」で8,000キロメートルの航海に旅立つ……というストーリー。
ロサンゼルスでアカデミー賞外国映画賞の候補者たちを招いて行われたシンポジウムで、監督ヨアヒム・ローニングとエスペン・サンドベリは、「緊迫感や臨場感を出したかったので映画撮影のタブーといわれている大海での撮影を敢行した」と製作秘話を披露。困難を極めた資金繰りを回想して、「とにかく、いつ製作費が底を突きるかという恐怖との戦いだった!」と苦笑した。彼らも不安を抱えつつ、しかしトールのように自分を信じて突進したことで、本作のような素晴らしい作品を完成させたのだ。
【今月のHOTライター】
■明美・トスト / Addie・Akemi・Tosto
高校よりロサンゼルス在住、CMや映画の製作助手を経て現在に至る。全米映画協会(MPAA)公認のライター。監督した短編『ウェン・アイ・ワズ・ア・ ヒューマン(原題)/ When I Was a Human』の配給が今春に決定しており、フィルムメーカーとしても活躍中。ツイッターもよろしく!→@akemi_k_tosto