第8回:ウーマンラッシュアワーの『おしん』談義
映画たて・よこ・ななめ見!
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トークしちゃいます。今回は、伝説のドラマを映画化した『おしん』をななめ見!(取材・文:シネマトゥデイ編集部 森田真帆)
村本:おしんちゃんが無理やり出された奉公先がブラック過ぎんねん。あんなん地獄のリゾートバイトやで!
中川:あの一番目の奉公先の、岸本加世子さん(演じる女中頭)、ほんま嫌なヤツやった~。僕、あの役オファーされたら「やりたないな~」って思ってしまうわ。
村本:あのバイトリーダー、めっちゃ病んでたもんな。すんごいダメ出しの量。僕が漫才の練習中に、中川に出すぐらいダメ出ししとった。しかもめっちゃ怖いし! 店のお金を盗んだって、おしんちゃん疑われてたけど、僕やったら100パー、ガチで盗むな。
中川:こらこら、あかん! それにしても、あんな小さな米俵と引き換えに売られてしまうなんて、怖い時代やわ……。
村本:まあ僕らなんて、吉本からもらってるのは、米俵どころかおひつに残っている米粒ぐらいですけどね! でも映画を観て一番何を思ったかって、女の人ってすごいなってこと。映画のセリフにも出てきていたけど、男の人と違って、女の人はいっつも大切な誰かのために働いているんですよね。
中川:そうやな、あんなちっちゃい子でも家族のために奉公に出るんやもんな。
村本:僕も、こうなったら出待ちのファン全員に奉公出させるわ!
村本:今回、中川くんが泣きましたよ! あのね、予告編なんかでよく「全米が泣いた!」っていうキャッチフレーズが流れるけど、「中川が泣いた!」の方が断然引きがあると思いますよ。それくらい価値があることですから。
中川:自分の右目から涙が垂れたときは戸惑い過ぎて映画に集中できんかったわ。
村本:やっとか! ですわ。もうこの連載始まって、僕がどんだけ泣いてると思ってんねん! この連載を通して僕が見たかったもの……それはあなたの涙です! なんていうか、温泉掘り当てた気分やわ。コンビ組んで一度も涙流さなかったやつが! おまえも人の子やったんやな。今日は、中川の涙に感動や!
中川:だっておしんちゃん、めちゃくちゃ演技うまかったで!
村本:おしんのポジティブさにも泣けた! 怒られまくった次の瞬間、ものすごい笑顔で「麦飯うめえべ~」って、ゆうてたやろ。もう、けなげでね。年取ったんかな……。おじんの僕はもう涙ちょちょぎれますわ。
中川:役者さんたち、みんなすご過ぎやわ。上戸(彩)さんなんて、あんな寒そうな川つかってなあ。「冷たっ」とか、顔によう出ないな!
村本:みんな方言がすご過ぎる! 泉ピン子さん、あの人一体どこ出身やねんってくらい、ハマり過ぎてて、めっちゃかっこええ。あのねえ皆さん、この映画のタイトルの読み方は『おしん』じゃありませんわ。『おすん』やねん! 僕はねえ、すぐに影響されちゃいますからね。明日から、『おすん』モードや。
中川:なんや、おすんモードって(笑)。
村本:あすた(明日)は、すながわ(品川)から、すん(新)横浜通って、すん(新)大阪に帰りますわ!
中川:やり過ぎや! 確かに途中、字幕欲しくなるくらいわからなかったところもあるけど、何となくニュアンスでわかるんやな。不思議なことに。でも、僕としてはガッツ石松さんにMVPをあげたいな。あんなに明治の山の中似合う人いる!?
村本:ガッツさんだけ、ほんまもんの人出てきちゃった感じやったもんな。しかもね、みんなで餅つきしてめっちゃ楽しいときに信じられんようなKY発言するので要チェックでお願いします! 何ちゅうこと言うねん! ってなるはず!
村本:おすんちゃんの苦労っぷりは、不幸のミルフィーユって感じやったな! 底なしの不幸過ぎるわ。あの子の不幸は、大江戸線並みに深い!
中川:どこまで深いねん!
村本:もし、国民笑点みたいに国民泣点があって、泣くたびにボタンポチポチしてたら、「THE MANZAI」で優勝やで!
中川:何がつらいって、ほんっまにちっちゃいからね、おすんちゃん。一回、家に帰ったときも、「帰ってくんな!」言われて、めっちゃかわいそうやった……。
村本:せやねん。もう孤立無援や。僕が、ツイッターとかブログで大炎上して、味方誰もおらんときのことを思い出したわ。吉本の社員に相談したら「あなたにも原因があるんじゃないですか」って突き放されて、おすんちゃんの気持ちようわかる!
中川:それは間違いなく、あなたに問題があるね! でも確かにおすんちゃん、ようやらかすからな。びっちょびちょの雑巾で床拭こうとしたり、結構、やらかしてるからな(笑)。
村本:おまえ、何てことを言うんや! やっぱりひどいやつやな! 最低!
『おしん』
1983年にNHK連続テレビ小説として放映され、大ブームを巻き起こし、世界68か国で放送された国民的ドラマ「おしん」を映画化。おしんの少女時代に焦点を当て、苦しい家計のためにやむなく奉公に出されたおしんが、たくましく生きていく姿を、オーディションで抜てきされた新人・濱田ここね、上戸彩、稲垣吾郎、オリジナルキャストの泉ピン子、小林綾子ら豪華なキャスト陣で描く。
©2013「おしん」製作委員会
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出を果たした。
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。