三谷監督がレクチャー! 『清須会議』を2倍楽しむ鑑賞法!
役所広司、大泉洋をはじめとする超豪華キャストたちが勢ぞろい、大ヒット上映中の映画『清須会議』。「実は2回目!」というリピーターも続出している本作をもっと楽しむ方法とは!? 原作・脚本・監督を担当した三谷幸喜が撮影秘話と共に徹底レクチャー!
「ひょっとしたら……」を思う存分楽しむ!
テレビドラマ「竜馬におまかせ!」や大河ドラマ「新選組!」など、これまで三谷監督が手掛けた時代劇を振り返ると、坂本龍馬が近藤勇や土方歳三と実は知り合いだったり、歴史上で接点のなかった人物たちが出会うエピソードがたびたび登場する。これには歴史ファンの三谷監督に「同じ時代に生きていた彼らが、江戸の中でひょっとして出会っていたらワクワクする」という思いがあった。
映画『ステキな金縛り』で西田敏行が演じる更科六兵衛の本作への登場もそんな思いから生まれたのだそう。「脚本を書いている途中に、北条家の家臣だった六兵衛ならその時代に生きていたはず。ひょっとしたら、滝川一益と会っていたかもしれない。そう考えたらどうしてもやりたくなっちゃったんです」と三谷監督。柴田勝家の恋心やライバルを出し抜こうとするドタバタ劇など、三谷監督の「ひょっとしたら……」を発見して思う存分楽しむべし!
登場人物たちを待ち受ける、その後の運命を知る!
織田信長が本能寺で討たれた後の跡目争いを描いた『清須会議』では、後に豊臣秀吉となる羽柴秀吉のほか、柴田勝家、丹羽長秀や池田恒興など、これまで大きくクローズアップされることのなかった歴史上の人物たちも魅力的に描かれている。三谷監督は、そんな清須会議の後に待ち受ける彼らの運命にも目を向けてほしいと語る。「清須会議の後に彼らが一体どうなったのかを勉強してから、柴田側、羽柴側それぞれの視点から観るとさらに面白いと思います」。
中でも三谷監督が「スピンオフで映画を作るなら、この人!」と太鼓判を押すほど興味深いという人物が、妻夫木聡が演じた織田信雄。「実は彼はとても面白い人物で、能の名手といわれているんです。秀吉によって流罪にされた後に出家しているんですが、なぜかその後も秀吉が主催した能の会にゲストとして呼ばれて能を披露したりしているんですよと語った。今、歴史の勉強の真っ最中であろう中学生に観てほしいという三谷監督。多くの登場人物からお気に入りの武将を見つけ彼らの背景を知ることで、歴史への興味が沸き立つだろう。
「空」へのロマンを持って、作品を観る!
これまで三谷監督の作品には、幾度となく「空」が登場してきた。大河ドラマ「新選組!」で香取慎吾演じる近藤勇が打ち首になる直前に見上げた空、映画『ザ・マジックアワー』で作品のテーマともなった、「マジックアワー」と呼ばれる日没後わずかに訪れる美しい色の空。この作品でも、清須を訪れた柴田勝家が「清須の空じゃあ!」と空を見上げるシーンが登場するが、そこには三谷監督の「清須の空」への思いが詰まっている。
「空はどこにでもつながっている。400年の時がたって、地上の物は確かに全て変わってしまったかもしれないけれど、空の青さは変わっていない。あの当時、柴田勝家が見上げていた清須の空も今の清須の空も同じ青空だと思うんです」という三谷監督。公開前に、柴田の墓がある福井を訪れたときにも、三谷監督は空を見上げたという。「ふと立ち止まって夜空を見上げて、ああ柴田とお市の方もこの夜空を一緒に見上げていたんだなと思うとグッとくるものがありました」。景色が変わっても空の色は変わらない……そんなロマンが本作の空には詰まっている。
年末のスペシャルドラマ「大空港2013」と映画『清須会議』の不思議な連動!
「『清須会議』の撮影が終わってまもなくクランクインしたんです。スタッフもそのまま、カメラマンも山本英夫さんにお願いしているので、映画と同様に楽しめると思いますよ! 」と三谷監督が自信をのぞかせているのは、12月29日にWOWOWで放送されるスペシャルドラマ「大空港2013」だ。
「このドラマには、両方観た人だけがわかるような仕掛けを仕込んでおきました」とニヤリとした三谷監督。一体どんな仕掛けなのか聞いてみると、『清須会議』での柴田勝家と「大空港2013」での生瀬勝久が演じる蔵之介のセリフにヒントがあるのだそう! 『清須会議』に更科六兵衛が登場したり、映画『ザ・マジックアワー』の売れない役者・村田大樹が映画『ステキな金縛り』に登場したりと、これまでの作品を観ているからこそ楽しめるシーンがチラリと含まれているのも三谷作品の魅力の一つ。ドラマと『清須会議』のダブル鑑賞で、それぞれの作品を2倍楽しめるに違いない!
WOWOW ドラマW 三谷幸喜「大空港2013」は12月29日夜10時よりWOWOWプライムにて放送
映画『清須会議』は大ヒット上映中!
取材・文:森田真帆