第13回 『アナと雪の女王』『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』『ホビット 竜に奪われた王国』
最新!全米HOTムービー
世界の映画産業の中心、アメリカの最新映画情報を現地在住ライターが紹介する「最新!全米HOTムービー」。今回は、『アナと雪の女王』『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』『ホビット 竜に奪われた王国』を紹介します!(取材・文:吉川優子、細谷佳史)
ゴールデン・グローブ賞アニメーション作品賞を受賞し、アカデミー賞候補にもなっているディズニーの『アナと雪の女王』が、全米で3億4,945万ドル以上(約349億円)(数字は2014年1月30日現在のBox Office Mojo調べ、1ドル100円換算)と大ヒット中だ。アンデルセンの「雪の女王」を原案とした3Dファンタジー映画で、王家の姉妹、エルサとアナというダブルヒロインが主人公。姉のエルサは、手に触れるものを凍らせる魔力を持ち、それをずっと隠して育ってきたが、戴冠式の日、意志に反して王国を冬に変えてしまう。「雪の女王」となり、遠くの雪山にこもる姉を救うため、アナは山男クリストフとトナカイのスヴェン、そして夏に憧れる雪だるまのオラフと共に旅に出る。
ストーリー展開にひねりがあるのが面白く、キャラクターもみんな魅力的。特にアナが愛嬌(あいきょう)があってかわいく、ひょうきんなオラフが人気者になるのは間違いなし。CGで描かれた雪の世界が、息をのむほどリアルで美しい。アカデミー賞歌曲賞候補になっているロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン=ロペスの歌曲は大評判で、エルサ(声はイディナ・メンゼル)が雪山で歌う「Let It Go」は圧巻だ。監督はクリス・バックとジェニファー・リーで、リーがディズニー初の女性監督というのも話題だ。
4月に公開されるマーベルの最新作『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』は、2011年の『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』の続編というだけでなく、全世界で歴代3位の興収(Box Office Mojo調べ)を上げた『アベンジャーズ』の続編『ザ・アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン(原題) / The Avengers: Age of Ultron』へとつながるストーリー展開になるそうで、前作をはるかに上回るヒットが期待できそうだ。
また今回、キャプテン・アメリカ役のクリス・エヴァンスやニック・フューリー役のサミュエル・L・ジャクソン以外に、スカーレット・ヨハンソンがブラック・ウィドウ役で、アンソニー・マッキーがファルコン役で、ロバート・レッドフォードが国際平和維持組織シールドの上官役で登場する。エヴァンスは、「僕はキャプテン・アメリカをジェイソン・ボーンのように、単に有能な人間というふうにはしたくなかった。
それで今回、ファイトシーンの中で、彼がオートバイを持ち上げたり、片手でテーブルをつかんで部屋の反対側に投げたりとか、彼の能力を楽しむようにしたんだ」と語っていた。1970年代のポリティカル・スリラー(政治がらみのスリラー)を彷彿(ほうふつ)させる、今までのスーパーヒーロー物とはひと味違うユニークなアクション映画になっているようで、かなり期待できそうだ。
J・R・R・トールキンの「ホビットの冒険」を映画化したピーター・ジャクソン監督の3部作の第2弾で、同監督の『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの前章にあたるプレクエル(前日譚)となる。2014年1月30日現在、アメリカの興収が2億5,270万ドル以上(約252億円)、全世界ではなんと8億4,770万ドル以上(約847億円)という驚異的な大ヒットとなっている。
マーティン・フリーマン演じるホビット族の青年ビルボ・バギンズとドワーフたちは、ドワーフの王国を奪い返すために、はなれ山エレボールへと向かう。途中で巨大なクモや獣人ビヨルンに襲われたり、たるに乗って急流を下ったりと、矢継ぎ早にワクワクするアクションシーンが登場。また、『ロード・オブ・ザ・リング』でオーランド・ブルームが演じたエルフ族のレゴラスが復活し、エヴァンジェリン・リリー扮(ふん)するエルフの新キャラ、タウリエルと共に弓矢の名人として活躍する。
最大の見どころは、ベネディクト・カンバーバッチがモーションキャプチャーで演じた最強の竜スマウグ(声を担当)と、ビルボとの遭遇場面。人気テレビドラマ「SHERLOCK(シャーロック)」で共演する二人の対決というのも面白い。前作よりもテンポが速く、映画ならではの壮大なエンターテインメントを堪能できる必見のファンタジー映画に仕上がっている。
【今月のHOTライター】
■吉川優子
俳優や監督の取材、ドキュメンタリー番組や長編映画の製作など、幅広く映画に関する仕事を手掛ける。最近の作品は「ハリウッド白熱教室」など。
■細谷佳史(フィルムメーカー)
プロデュース作にジョー・ダンテらと組んだ『デス・ルーム』など。『悪の教典 -序章-』『宇宙兄弟』ではUS(アメリカ側)プロデューサーを務める。