「キリング/26日間」特集:トレンド最前線は北欧ドラマのリメイク!「ツイン・ピークス」的ミステリー中毒のススメ
デンマーク発のミステリー「THE KILLING/キリング」をリメイクした「キリング/26日間」を筆頭に、今、ハリウッドでは空前の北欧ドラマのリメイクブームが到来中。「ツイン・ピークス」を彷彿(ほうふつ)させる、誰からも愛される17才の美少女の殺害というショッキングなテーマをはじめ、本作の観たらハマらずにいられない5つの理由を分析します!
近年、デンマークやスウェーデンといった北欧発のミステリーが話題を呼んでいる。映画『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』やテレビシリーズ「THE BRIDGE/ブリッジ」が相次いでアメリカでリメイクされたことも記憶に新しい。謎解きの醍醐味(だいごみ)を堪能させてくれる巧みなプロットをベースに、北欧特有のいてつくムードや深みのある人間描写を融合した映像世界は、見掛けの過激さよりもじっくりとドラマを味わうことを好む日本人の趣向に合致。しかも、このジャンルのマニアをもうならせるクオリティーの高さを誇っている。
そんな北欧ミステリーブームの火付け役となった傑作「THE KILLING/キリング」のアメリカンリメイクが「キリング/26日間」だ。世界中で絶賛されたオリジナル版の魅力はそのままに、実力派スタッフ&キャストがより濃密でスリリングなドラマを創出。全米で多くの熱狂的ファンを獲得し、エミー賞6部門にノミネートされた必見の話題作なのだ。
- 作品情報:
- 『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』
主人公リンデンの捜査パートナーである皮肉屋の若手刑事ホールダーを、強烈なインパクトで演じたジョエル・キナマンのイケメンぶりが全米で注目の的に。本作出演後にSFアクション大作『ロボコップ』の主役に抜てきされるなど飛躍を遂げ、同じくテレビシリーズでブレイクしたスターになぞらえ「第2のベネディクト・カンバーバッチ」ともいわれている。
本作のストーリーを牽(けん)引するシアトル市警殺人課の女刑事リンデンはシングルマザーであり、再婚による引っ越し直前に難事件の捜査を命じられたため、私生活は崩壊寸前に。そんなリンデンの執念や苦悩を迫真の演技で体現したミレイユ・イーノスは、『ワールド・ウォー Z』でブラッド・ピットの妻を演じて脚光を浴び、今後も多数の新作映画が待機中だ。
- 作品情報:
- 『ロボコップ』 『ワールド・ウォー Z』
なかざわひでゆき 殺人事件が政界スキャンダルへ発展するという物語は、映画『消されたヘッドライン』を例に挙げるまでもなく決して珍しくはない。だが、本作はパワーゲームに明け暮れる政治家と経済を含めて厳しい現実を抱えた庶民、そしてそのはざまに立たされる警察を通して、現代社会の暗澹(あんたん)たる閉塞感をリアルにあぶり出していく。その他大勢の犯罪ドラマと一線を画する点だ。荒涼とした映像は北欧版オリジナルを踏襲したものだが、くしくもそこから現代アメリカの日常が見えてくる。
映画&海外ドラマライター。「スカパー!TVガイド プレミアム」や「スカパー!TVガイド BS+CS」「デジタルTVガイド」など各誌に寄稿。「FRINGE/フリンジ」や「トゥルーブラッド」などジャンルに関係なく気骨のあるドラマが好き。
前田かおり 髪を束ねただけで化粧っ気はなく、モッズコートの下はいつもジーンズとセーター。数ある犯罪捜査ドラマのヒロインでもここまで地味なヒロインはいなかった。だが、犯人は必ず捕まえるという執念は半端ない。おかげで自分の生活は二の次。息子の世話もおろそかになり、決していい母親ではないが、だからといって他人の好意に甘えるのも良しとしない。ある意味、頑固でかわいくないし、面倒な女だ。でも、男社会の中で女を武器にせず、自分の信念を貫き、うまく行かないことがあっても耐える姿に共感する。
映画&ドラマライター。「週刊アスキー」「DVD&ブルーレイでーた」「日経エンタテインメント!」など雑誌やウェブ、海外ドラマ作品のプレスなど執筆。犯罪捜査モノ、法廷サスペンスを中心に「クリミナル・マインド FBI行動分析課」「ナース・ジャッキー」「SHERLOCK(シャーロック)」「THE KILLING/キリング」などが好き。
- 作品情報:
- 『消されたヘッドライン』
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