第13回:ウーマンラッシュアワーの『アナと雪の女王』談義
映画たて・よこ・ななめ見!
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トークしちゃいます。今回は、今年のアカデミー賞で『風立ちぬ』を抑えて長編アニメ映画賞を受賞し、現在アメリカで大ヒット中の映画『アナと雪の女王』をななめ見!(取材・文:シネマトゥデイ編集部 森田真帆)
村本:僕はジブリが大好きですから、『風立ちぬ』にはどうしてもアカデミー賞取ってほしかったんです。アカデミー長編アニメ映画賞をかっさらったこの作品は僕にとっては敵です。だから、ちょっと敵の様子を観に来た感じだったんですけど、めっちゃおもろいし! この映画、絶対女の子たち大好きやろうな。たぶん「犬飼ってんねん」っていうよりも、「『アナと雪の女王』のチケット持ってる」って言った方が女子は食いついてきそう!
中川:うちの嫁もめっちゃ観たがってたわ。でも男が観ても全然おもろかったな! 僕はあんまりアニメとか観ないんですけど、この映画はめちゃめちゃおもろかったです。
村本:しかもダブルヒロインってところもいいよな。これ男としてはお姉さんか妹、どっちがタイプかってなると思うんですよ。最初は僕もおてんばな妹のアナちゃん派だったんですよ。下町のチャキチャキ娘な感じがかわいくて。でもね、観ていくうちに「こいつ誰とでも仲良くなりすぎや!」って思ったんですよ。いきなり結婚決めたかと思えば、今度は違う男と旅しちゃって。僕は自分の彼女は幽閉しておきたい派なので、やっぱりお姉ちゃんかなと。彼女は氷のお城でずっと独りぼっちですからね。あんなふうに誰とも触れ合わずに過ごしてもらいたい!
中川:どんだけヤキモチ焼きや! 僕は、見た目はお姉ちゃんで中身は妹がいい!
村本:僕やったら、アナがカツラのじいさんと踊った時点で「え? どういうつもりなん?」って問いただす。「そうやって知らん人と踊れたり、そういうことができるんやったら、これまでにもあったってことでしょ。それなら僕も同じくらいのおばあさんと踊るからね」って言ったるわ!
中川:一番最初に出てくる氷見た? すごい透明感でびっくりしたわ。本物の氷よりリアルやった。あとすごかったんが今回僕らが観たのは日本版やったけど、あれ何で歌と口の動きがうまく合うんやろって思ってたんです。それでさっきディズニーの人に聞いたら、日本語の歌詞を作るときに口の動きに合わせられるように工夫してるんやって! すごくない?
村本:ていうか、日本版の吹替えは神田沙也加ちゃんと松たか子さんって聞いたけど、最後まで全然気付かんかった! 2人ともめっちゃ歌うまくない? びっくりした!
中川:僕も衝撃的でした。松さんなんてやっぱり女優さんのイメージが強いから、どんだけ歌えんねん! ってびっくりしたもん。
村本:えっ、雪だるまのオラフ役ってピエール瀧さんやったん!? 全然気付かんかったわ。めっちゃかわいかった!
中川:そういえば女の子だけじゃなくて、男性もダブルで登場するよな。王子様に山男のクリストフに、オラフも(笑)。村本さんはどちらかというとハンス王子タイプ? 会ったその日にみたいな勢いのとことか。
村本:そう思うやろ? でも僕はクリストフタイプやで。なぜかというとクリストフは、アナに婚約者がいることをわかってるのにほれてしまいますからね。人のものかどうかなんてお構いなしなところは僕にソックリ!
中川:でも、ちゃんと我慢してたから、ええやん! めっちゃ好きなのに、お城の王子の元まで送り届けたんやから立派やで、クリストフ。
村本:彼に村本流のテクニックを伝授してあげたいんですよ。アナをお城まで送りに行ったでしょ? それでね、門のとこで別れるときに「ねえねえツイッターやってる?」ってさりげなくアカウント聞くんです。それで「あの後どうやったん? ハンス王子と会えた?」ってDMを送るという!
中川:ゲスすぎや! ディズニーやから!
村本:え? じゃあ中川はどっち派? 中川は人間じゃないなあ。どちらかというと、こけむした岩から変身するトロールにめっちゃ似てるで!
村本:それにしても、ミュージカルってええもんやな。正直、いきなり歌いだす感じが嫌で、これまで観てこなかったんですけど、お城を魔法で作るシーンとか感動したわ~。
中川:「ありの~ままの~」ってやつやろ。あれが、アメリカでめっちゃヒットしてて今すごい人気らしいな。
村本:心をギュッとつかまれたな。例えば好きな女の子としゃべっていて、この「ありの~ままの~」の着メロが流れて、パッとディスプレイを見たときに男からの着信だったことがわかった瞬間ですら「この曲何? いい曲」って聞いてしまうくらいすてきな曲やった。
中川:すごい比喩!
村本:中川くんもミュージカル好きやもんね。急に歌いだしたりしちゃうし。
中川:そうなんですよ。確かに~面白かった~♪ 心が落ち着く~♪
村本:『レ・ミゼラブル』の警察のおっさんや! それにしても姉妹の愛って美しいですね。僕は弟が2人いまして、この前一人が結婚式挙げてご祝儀10万円包んだんですけど、翌朝後悔して3万返してもらいましたからね。
中川:うわ……最低や!
村本:そんなこと言ったら、あなた真実の愛をちゃんと奥さんに感じてるんですか? この前、歌舞伎町でエッチなところに行こうとして、ぼったくられたみたいやけど。
中川:やめなさい! 何もありませんですから!
村本:僕も真実の愛を探す旅に出ます!
『アナと雪の女王』
アンデルセンの童話「雪の女王」を『サーフズ・アップ』のクリス・バックと『シュガー・ラッシュ』の脚本家ジェニファー・リーが映画化。おてんばな次女のアナをクリステン・ベル(日本版:神田沙也加)、触れたものを氷に変える魔法を持つことで苦悩する姉のエルサをブロードウェイのカリスマ的存在であるイディナ・メンゼル(日本版:松たか子)が圧倒的な歌唱力で熱演し、今年のアカデミー賞では歌曲賞と長編アニメ映画賞を制覇した。
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2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。先ごろ行われた「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。