最終回:“ホビット庄”徹底解剖!
ニュージーランド訪問記
映画『ホビット 竜に奪われた王国』の公開を記念して4週にわたって連載してきた「ニュージーランド訪問記」も今回が最終回! 『ホビット』ファンの聖地ともいうべき“ホビット庄”の様子を写真たっぷりでご紹介します。(取材・文・構成:編集部・市川遥)
映画そのままの姿の“ホビット庄”
『ロード・オブ・ザ・リング』および『ホビット』シリーズに出てくる“ホビット庄”のロケ地は、マタマタ郊外にあるアレクサンダー家の農場です。ピーター・ジャクソン監督はこのうねるような緑豊かな丘と、池の前に“パーティーツリー”を思わせる大きな松の木があった点に惹(ひ)かれ、この場所を“ホビット庄”のロケ地として選びました。
1998年、製作チームが初めて農場のオーナーのもとを訪れて映画について説明した時は、オーナーはニュージーランドの国技であるラグビーを観戦中でそれどころではなく、「また後で来て」と言われてしまいました。
何とか1999年に契約が成立するとセットの建設がスタート。ニュージーランド陸軍が農場に道を造りました。映画の撮影中はその道を、小道具や衣装を積んだ車など1日200台近く通ったそうです。
また、撮影のために28種類以上の動物が集められましたが、この農場にいる1万3,000匹の羊は1匹として映画へ出演できませんでした。ジャクソン監督は「彼らじゃニュージーランドっぽくなりすぎる」と考え、顔と手足が黒いサフォーク種の羊を映画会社に購入させたのです。地元の羊たちは残念でしたね。
そして2008年、『ホビット』シリーズ製作のために、この地にジャクソン監督が戻ってきました。ホビットたちの真ん丸なドアから小道具まで全て撤収され、ただの穴が開いた丘になっていた農場を元通りにした上、ホビット穴を5個追加しました。そのためホビット穴は全部で44個になりました。さらに撮影後にはこれらのセットを「永久に残せるように」と建築基準にのっとって再建し、ファンが“ホビット庄”の世界に浸れる現在の形となりました。
歩いていくと……
『ロード・オブ・ザ・リング』でガンダルフが通り、そして『ホビット 思いがけない冒険』でビルボが駆け抜けた道です!
ホビットたちの真ん丸なドアがずらり!
一歩、足を踏み入れるとそこはホビットたちがのどかに暮らす世界! 特徴的な真ん丸なドアも一つ一つ違います。
昨年12月から煙突から煙が上がるようになったそうです。本当にホビットたちが暮らしているかのよう!
室内はウェリントンのスタジオで撮影されたため、ホビット穴の内部は人が入って扉を閉められるだけのスペースしかありません。
ホビット穴に入って外を眺めるとこんな感じです。あー住みたい!
ホビットに比べてガンダルフが大きく見えるように、ホビット穴は計画的に100パーセントスケール(普通サイズ・ホビット役の俳優用)や60パーセントスケール(60パーセントに縮小したサイズ・ガンダルフ役の俳優用)などをまぜて建てられたそうです。だからいろいろなサイズがあるんですね!
ビルボ&フロドの“袋小路屋敷”とサムの家
“ホビット庄”での裕福さの度合いは、窓と煙突の多さで判断できます。家柄のいいビルボとフロドが住む“袋小路屋敷”はさすがの豪華さ。
『ホビット 思いがけない冒険』でビルボがパイプをくゆらせていたベンチ。
映画そのまんまです!
「パーティー関係者以外お断り」の看板も。
この“ホビット庄”で人工の木は、“袋小路屋敷”の上に生えているこの木だけです。とてもリアルな造りです。
第1部『ロード・オブ・ザ・リング』でのサムの家。
第3部『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』でのサムの家。似ていますが、引っ越しました。
サムの家の洗濯物。
ビルボの誕生日会が行われた“パーティーフィールド”
ホビット役の俳優陣を小さく見せるため、普通よりも大きな野菜や植物が植えられています。ちなみに全て本物です。
ホビットの畑。
花が咲き誇っています。12エイカーの“ホビット庄”にはフルタイムで働く庭師が5人います。
かわいいリンゴとナシの木です。しかし原作に「プラムの木」という一文があったため、撮影時にはたわわに実ったリンゴとナシ、そして葉っぱをすべてむしり取り、人工のプラムの実と葉を付けたそうです。
『ロード・オブ・ザ・リング』撮影時には池にカエルがいましたが、撮影してみるとうるさすぎたため、ジャクソン監督がスタッフに全部捕まえさせて、別のところに移動させたといいます。
芝生の小道はジャクソン監督がスタッフを何度も何度も歩かせて作りました。
高低差があるので“袋小路屋敷”のあたりまで上ってくると、ビルボの111歳の誕生日パーティーが開催された“パーティーフィールド”がよく見えます。
“パーティーツリー”の樹齢は85~100年とのこと! 立派なだけあります。
誕生日パーティーのシーンは3分程度ですが、3晩にわたって撮影されました。二日酔いを防ぐため、出演者が撮影時に飲んだのはアルコール度数1.1パーセントという特別に醸造されたビールです。
『ホビット 思いがけない冒険』でビルボが契約書片手に家を飛び出し、“パーティーフィールド”を抜け、フェンスを飛び越えていくという名シーンが撮影された場所です。飛び越えたくなります……!
内装まで完璧に再現したパブ“緑竜館”
対岸に見えるのが、パブ“緑竜館”です。
橋を渡り切ると……
ホビットたちの憩いの場に到着! ホビット穴と同様にこちらも内部はスタジオ撮影だったのですが、その際のインテリアを完璧に再現し、2012年12月1日にオープンしたのがこのパブです。「南四が一の庄(Southfarthing)」ラベルのビール、アップルサイダー、ノンアルコールのジンジャービールなどが楽しめます。
橋のそばにはおなじみの水車があります。
雰囲気のあるパブです。
こちらはこの農場のオーナー。すごくホビットっぽい人ですね。
リンゴ摘みの人手を募集していたり、サムが庭仕事の弟子を募集していたりとパブには凝った張り紙がたくさん!
“緑竜館”のゲストブック。ビルボ役マーティン・フリーマンのサインも確認できます。
パブ内の扉も真ん丸です。ブドウ模様がかわいい!
ホビットたちの上着が掛けられています。
非常用の表示も字体が「ホビット」!
『ロード・オブ・ザ・リング』および『ホビット』シリーズで映し出されるファンタジーの世界は、そっくりそのままニュージーランドにありました。映画館での冒険の後は、日本を飛び出して新たな冒険に出てみてはいかがでしょうか?
映画『ホビット 竜に奪われた王国』は公開中
(C) 2013 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC.
『ホビット 竜に奪われた王国』が生まれた場所!ニュージーランド訪問記~バックナンバー
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