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ぐるっと! 世界の映画祭[番外編]カルタヘナ国際映画祭 ラテンアメリカでの最も歴史が長い映画祭

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ぐるっと! 世界の映画祭 カルタヘナ国際映画祭

ラテンアメリカで開催されている映画祭の中で、最も歴史が長く、最も「重要」と評価されているのが、コロンビアのカルタヘナ国際映画祭だ。南米各国の最新作や、世界中の話題作など200本以上が上映される大規模な祭典。その第54回(2014年3月13日~3月19日)に、国際批評家連盟からの審査員として招かれた、映画ジャーナリストの斉藤博昭がレポートします。(取材・文・写真:斉藤博昭)

カルタヘナ国際映画祭公式サイト

街全体が世界遺産

 カルタヘナの正式名称は「カルタヘナ・デ・インディアス」。カリブ海に面したコロンビア最大のリゾート都市で、街全体が世界遺産に登録されている。16世紀にスペインに征服された後、南米各地の豊富な貴金属などの輸出拠点として栄えたカルタヘナ。その後、海賊からの襲撃も相次いだため、旧市街は要塞に囲まれ、今でも大砲などがそのまま残されている。旧市街の内側に車で入るには、要塞のトンネルを抜けていく。ちょっと他の都市ではお目にかかれない光景。

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旧市街の内側に

旧市街の内側に車で入るには、要塞のトンネルを抜けていく。ちょっと他の都市ではお目にかかれない光景。

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城壁の塔

カルタヘナ旧市街の象徴になっているのが、この「城壁の塔」。観光客用の馬車も、ここが起点に。

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 しかし、要塞の内側に一歩足を踏み入れれば、そこには超カラフルな街並みが広がっていた! 一見、ディズニーランドのようだが、多くは歴史的建造物で、そこにカリビアンらしい配色がほどこされている。日中は日本の真夏並みの蒸し暑さ。しかし次から次へと風景が変わる旧市街は、歩いているだけで夢見心地を味わえる。

街並み

あえて反発し合うカラーを隣り合わせた街並み。おとぎの国に迷い込んだような錯覚をおぼえる。

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ほぼ全作品が無料上映

 われわれ国際批評家連盟が審査するのは、ラテンアメリカの長編が集まったメインのコンペティション12作。一般客と同じ会場で作品を観るので、ストレートな反応も伝わってくる。無料上映ということで、つまらないと途中で帰る観客もけっこういたり……。

カタログなど

歴史ある教会のようなアドルフォ・メリア劇場。毎回、開場前から長い列ができていた。

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オペラハウスのような作り

場内はオペラハウスのような作りで、スクリーンが見えにくい両サイドもバルコニー席まで観客でぎっしり。

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今回の国際批評家連盟の審査員

今回の国際批評家連盟の審査員3人。ポーランドからMichal Oleszczyk(ミハル)、スペインからCarlos Heredero(カルロス)と、日本からの筆者。(c) Michal Oleszczyk

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バラエティに富んだ特集上映

 さまざまなイベント上映の中でも最も観客が詰めかけたのは、ミッドナイトシネマ。その名のとおり、深夜0時からホラー映画が上映される。「トワイライト」シリーズでも知られるピーター・ファッシネリが主演した、コロンビアのホラー『ギャロウズ・ヒル(英題)/GALLOWS HILL』では、シアターに観客が入りきらず、大混乱も。

街の広場

街の広場に、大小合わせて3つのオープンシアターが設置されていた。ヨーロッパ風の建築をバックに、いいムード。

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ミイラ

シアターのロビーに、ミイラ(?)を抱いた女性が……! ミッドナイトシネマ上映前の過激なパフォーマンスでした。

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豪華ゲストもパーティー三昧

 毎晩のようにあちこちで映画祭主催のパーティーが開催され、ゲストたちも大騒ぎ。とくにクライヴ・オーウェンはかなりのお酒好きのようで、酔っぱらい状態になっていた! ハリウッドスターのこんな素顔が見られるのも、ラテンの自由な雰囲気が充満しているカルタヘナらしいかも!?

イニャリトゥ監督

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督は筆者に『バベル』での撮影の日々を懐かしそうに語ってくれた。菊地凛子とは現在も連絡をとり合い、仕事の相談にのっているとか。(c) FICCI

クライヴ・オーウェン

記者会見でのクライヴ・オーウェン。昼間はこうしてまじめに仕事をこなしつつ、夜は別人の顔に!(c) FICCI

ポーランドの鬼才

夜だけでなく昼間も、カリブ海の太陽を浴びながらの豪華なパーティーが。この写真の手前左は、日本でも間もなく新作『イーダ』が公開される、ポーランドの鬼才、パヴェウ・パヴリコフスキ監督。

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最後にうれしいサプライズ

 そして迎えたクロージング・セレモニーで、『そして父になる』は見事、Gemasの最高賞を受賞。会場にいた、ただ一人の日本人として壇上に呼ばれた筆者が、代理でトロフィーを受け取ることに! また、われわれ国際批評家連盟が賞を与えた『トゥ・キル・ア・マン(英題) / TO KILL A MAN』のチリの監督は、日本人プロデューサーの杉野妃希とのプロジェクトも進めているそうで、偶然とはいえ、日本とラテンアメリカの強い絆に感動したカルタヘナの夜だった。

レジデンス

『そして父になる』は、シネ・コロンビアというシネコンで上映。買物のついで(?)に訪れた観客も思わぬ感動をもらえる。そこに無料上映のメリットがあるのかも。

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是枝監督

壇上で「是枝監督は他の作品もすばらしいので、ぜひ観てください」と代理受賞のスピーチ。(c)Michal Oleszczyk

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