世界オワタ！あなたならどうする？
今週のクローズアップ
11日に公開された映画『ダイバージェント』は、世界戦争から100年後の世界が舞台。これまでにもさまざまな映画で世界の崩壊は描かれてきたが、どんなパターンがあったのか、そしてその世界の人々はどのように行動してきたのだろうか。もしものサバイバルに備えて、今こそチェック！
文・構成：編集部 井本早紀
世界崩壊！オワタ！『2012』（2009）
マヤ暦の2012年終末説が題材のディザスタームービー。『紀元前1万年』『デイ・アフター・トゥモロー』などを手掛けたローランド・エメリッヒ監督がメガホンを取っただけあって、その滅び方のスケールも超巨大。噴火する山や街を全てのみ込もうとする海など、圧倒的な自然は恐ろしくまた美しい。足元だったはずの地面がボロボロと崩れていく様子には絶望を覚えることだろう。人間は自然に勝てないという言葉を再認識させる。
さて、この状況に陥った際にはどのように立ち向かうべきなのか。というよりも果たして人間は自然に立ち向かうことができるのだろうか？ 同作の登場人物たちは、この危機を救いの「船」に乗り込むことで回避している。しかし、当然ながら船にも定員はある。助かる一人になるためには、「誰かがきっと何とかしてくれる！」などの他力本願や、「無理だろ……」と人生を悲観している時間はないのだ。
ちなみに同作は、世界興行収入は7億6,967万9,473ドル（約769億6,794万7,300円・1ドル100円計算、数字はBox Office Mojo調べ）を記録。エメリッヒ監督のディザスタームービーとしては、『インデペンデンス・デイ』に次ぐ大ヒットで、エメリッヒ監督の地位をより強固なものにした。監督にとっては崩壊どころか潤いをもたらしてくれた作品となった。
宇宙人侵略ハジマタ！『宇宙戦争』（2005）
もしも、地球外生命体が地球に押し寄せてきたらどうするか。これまでに何度も映像化されてきたH・G・ウェルズの人気小説を原作に、スティーヴン・スピルバーグ監督がトム・クルーズ主演で映画化したSF超大作『宇宙戦争』でのエイリアンとの戦いを見る限り、まずは逃げる一択だろう（『第9地区』などのエイリアンのように居住空間を共有できる生命体ではなく、人間を支配・攻撃・捕食対象とみなすエイリアンを想定）。
息を殺してやつらに見つからないように隠れる姿にはハラハラドキドキ。娘を必死に守るトムの姿に、いざというときに守ってくれる人の大切さを感じるのは、決して独り身の人だけではないはずだ。
本作には、なんと日本人は侵略してきたエイリアン（の兵器）を倒しているという情報が流れる場面も。日本に住んでいればなんとかなる……かも？
ゾンビ、キター！『アイ・アム・レジェンド』（2007）
ハリウッドで作られる世界崩壊が描かれるパニック映画には、ゾンビが含まれているものが多い。ゾンビ映画が日本に輸入される際に、パニック映画として公開される場合があるからか。
今作で人間に襲い掛かるゾンビのような生命体は、がんの特効薬として開発された薬を服用した人間たち。しかもその症状を引き起こすウイルスがまん延し、投与されていない者までもゾンビ化。そのウイルスに唯一抗体を持つ主人公は、誰もいないニューヨークをたった一人（＋犬1匹の場合もあり）で生き延びることになる。街の空虚感や自分以外から音が発生しない静寂は、孤独感をより一層強くさせる。
この映画が伝えるのは、世界が終わるときに、一番つらいのは「孤独」かもしれないということ。この状況で生き延びようとする主人公の精神がどれだけ強靭（きょうじん）なのかは計り知れない。彼がレジェンドと呼ばれる人間になるゆえんである。
原作はリチャード・マシスンの同名小説。小説で人々を襲うのは吸血鬼になるウイルス。しかし原作に忠実だといわれている1964年のシドニー・サルコウ版でも、感染者たちはのろのろとした動作でゾンビのような印象を抱かせる。
時は、世紀末ゥ！『マッドマックス2』（1981）
メル・ギブソンの出世シリーズ。戦争が起こった後、文明が崩壊し、暴力であふれるようになってしまった世界が舞台。
同作の世紀末のイメージは、日本でも漫画「北斗の拳」などの数々の作品に影響を与えている。登場人物たちは、モヒカンに革ジャケットなど、「なぜこの時代にその服を選んだ?」と問いただしたくなるような格好をしているが、「世界が崩壊しようと関係ない。自分は自分らしく生きていく」と諭されているようで、そのスタイルがむしろかっこよく見えてくる不思議。インターセプターに乗って、一匹おおかみのマックスが荒廃した砂漠の中を走る姿に憧れた人も多いはず。
過去を、未来を、変えてやる！『12モンキーズ』（1995）
ウイルスによって人類の99パーセントが滅びてしまった世界。生き残った人類も、地上が汚染されているため、地下都市に暮らすことを余儀なくされている。そんな現状を脱するためのアイデアは、タイムマシンで過去に人を送り込み、原因を究明・阻止すること！
ウイルスに感染された地上に出る際に義務付けられる、ぴっちりなゴムスーツ＋宇宙服のような服（装置？）＋ビニールという超厳重装備は、ウイルスがどれだけ凶悪なものかを伝えると同時に、ザ・未来という印象を抱かせる。そして、「もう今はどうにかできないから、過去から変えてしまえ！」と判断を下せる技術を持っていることもさすが近未来！ だが本作の設定は2035年。あと21年でタイムマシンは作れるのだろうか。
何度も何度も過去に飛ばされていくうちに、何が現実なのかがわからなくなっていく主人公の姿を見て、「やっぱり一人で世界をどうにかしろなんて無理だよ！」なんて考える人もいたのでは。現在、同映画の翻案作品がテレビシリーズとして製作されており、米放映を来年より予定。あのラストがどのように変わるのかも気になるところだ。
ソレ、ヒトの業ナリ『ダイバージェント』（2014）
舞台は最終戦争から100年後のシカゴ。残された人々の居住空間を守っている塀の向こうには、廃虚が立ち並び、100年かけても復興できないほど、戦争の被害が甚大であったことを想起させる。
その戦争から生き延びた人々がとった行動が、五つの共同体に分かれること。それぞれの性格に合った共同体で、人々は適する職業に就けば、みんな幸せに平和に暮らせる……はずなのだが、やはり政権を狙うやからが登場。
争いを回避することはできないものなのか。居住空間から一歩外に出れば、荒廃した土地が周りを囲んでおり、いつでも戦争の悲惨さは理解できる状態のはずなのに……。どんな状況になっていても権力を求めてしまう人間の欲についても考えさせられることだろう。この世界に“異端者（ダイバージェント）”として生まれた本作の主人公は、そんな世の中を変えることができるのか。すでに全4部作になることが決定している超大作シリーズの序章が始まる。
映画『ダイバージェント』は全国公開中