第20回:ウーマンラッシュアワーの『紙の月』談義
映画たて・よこ・ななめ見!
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トークしちゃいます。今回は、巨額横領事件を引き起こしたヒロイン、梨花を演じた宮沢りえの体当たり演技が話題になっている映画『紙の月』をななめ見しちゃいます!(取材・文:シネマトゥデイ編集部 森田真帆)
村本:最初に出てきた石橋蓮司さんが演じるじいさん、びっくりするほどエロい目していたな。もうりえさん、危機一髪!
中川:しかもおじいちゃんの危機から逃れたと思ったら、まさかの孫が登場してな。あの大学生の孫(光太)を演じた俳優さん、どっかで見たことがあったと思っていたんやけどテレビドラマの「MOZU」で殺人鬼をやった池松壮亮くんやったんやな。
村本:駅の改札で(ヒロインの梨花と光太が)偶然会って、「僕のこと覚えていますか?」って言ったとき、下心丸出しやったな。思わず画面に向かって「ジジイ譲りの性欲3世!」って叫びそうになったわ。
中川:まさか反対側から、(宮沢りえが)池松くんが立ってるホームに行っちゃうとはびっくりやったわ。スローモーションで下りてきたとき、別の人やと思ったもん。
村本:いやおまえ、あの状況! 反対側にりえさんが立っていて、その向かいに立っている池松くんと目が合って、りえさんの姿が見えなくなって。ときたら、普通ホームの階段下りてくるのはりえさんに決まってるやろ! 一番キュンキュンくるシーンやわ! ほかに誰が下りてくるっちゅうねん。
中川:知らんおばちゃんとか。
村本:アホか! スローモーションで知らんおばちゃん下りてきたら、池松くんも「え~」ってドン引きやわ。
中川:でも電車の中であの至近距離で、顔近づけ合っていたらめっちゃドキドキするやろな……。
村本:口臭が気になりそう。まるでクロレッツのCMの距離感やったな。でもあそこからいきなりホテルって! どないやねんって突っ込みたくなったけど、ええなあとも思った。だって、銀行員とばったり出会ってエッチなことできるなんて、めっちゃ興奮するわ。
村本:りえさんがどんどん追い詰められるところを見とったら、ほんまにドキドキしたわ。最初にデパートで化粧品を衝動買いしちゃうシーンがあったやろ。最初お金が足らんくて1個化粧品減らしたやん。あんなの、本物の宮沢りえさんやったら、店ごと買えるよな。
中川:そこかい!
村本:あんな思いまでして金を作ってやってるっていうのに、相手のヒモガキはひどかったな。最後の方なんて、調子に乗り過ぎてセーター肩に掛けて、ちょっと小柄な石田純一みたいになってたで!
中川:めっちゃ調子に乗ってたな。
村本:金さんざんもらって、りえさんと一緒に風呂まで入っとったで! しかも風呂で後ろから抱き付かれて! 揚げ句の果てには別の女と浮気ですからね。もう~あの言い訳するシーン、めっちゃいらついたわ。余計な言い訳をすんな!と。
中川:しかも、りえさん浮気を水に流そうとしてたからな。「またご飯作りに行くね」って。
村本:クズな男やったら絶対ノるところやで。僕やったら「あ、そう? じゃあハヤシライス!」って。でも「そういうの駄目だよ」って言ったところが偉かったよな? あれはかすかに残っていた良心やったな。
村本:先輩の行員役だった小林聡美さん、すごい迫力やったなあ。あの、何か悪いことをしているときに、ふと背後から「何してるの?」って言われるの、めっちゃ嫌やない? 僕やったらビクーッ! ってなるわ。
中川:めっちゃ問い詰めるよな。僕やったら震え上がって全部話しちゃいそう。
村本:大島優子ちゃんもうまかった。ヒモの大学生も、横領してしまう梨花ももちろん悪いんやけど、一番タチが悪いのは優子ちゃんが演じていたビッチな銀行員!
中川:ああいう女性、ほんまにおるよな。
村本:そうそう、おんねん。不倫していて、めっちゃ悪いことしておきながら「こんなのよくある話~」みたいな言い方する女、一番嫌い! あの女が一番最低やで! もし自分の彼女があんなんやったら、殺意覚えるわ。おまえだって嫌やろ!
中川:僕は奥さんが不倫するより、お金横領する方が嫌やわ。とばっちりくるの旦那やん。
村本:よう言うわ。おまえの嫁なんて、僕が一生懸命稼いだお金を横領してるやんか!
中川:横領ちゃうわ! 僕の金や!
村本:旦那さん役の田辺誠一さんも良かったな。あの人、何か浮気されそうな顔してるもんな。全然浮気に気付かないし(笑)。
中川:こらこら、浮気されそうな顔って失礼やろ!
村本:中川なんて浮気した翌日は、めっちゃわかりやすいんですよ! 蝶ネクタイ、ピーンってなってますからね!
中川:何で蝶ネクタイやねん!
村本:普段からいろんなことをためている人が爆発すると、本当に怖いことになるっていうね。それはすごく感じましたね。
中川:この宮沢りえさんが演じている女性は、めっちゃ我慢してませんでした? 旦那さんが出張決めてきた時とかも、「そっか」みたいな諦めている感じ? 妻が節約するために安い時計を買ったのに、旦那はそれ知らんと、カルティエの時計買ってきたり! うちの嫁やったら、たぶんめっちゃ大変なことになってるし、腹立てたら絶対即行で文句言うと思うわ。
村本:だって、浮気現場に鉢合わせして逃げるってすごくない?
中川:もし僕が浮気現場なんて見られたら終わりやわ。(嫁に)殺されると思うで、普通に。
村本:でもりえさんは走って逃げたやん。僕なんて、彼女と浮気相手が結託して、ホストがめっちゃいる繁華街で土下座させられたくらいなのに! でも結局、ああいう大和撫子(なでしこ)というか、何も文句言わないで、男の後ろをついてきてくれる女性が男性は好きなわけですよ。りえさんって、40代ぐらいやろ? もう普通な、女で40になったら、「のか女」になるもんですよ。
中川:「のか女」って何……?
村本:女性というのは、女性から母になり、そこからおっさん化していくわけです。その母からおっさんになる過程で現れるのが「のか」でね。メールとかに「歯は磨いたのか?」とか「お金は足りてるのか?」とか「わたしのこと、好きなのか?」とか、「のか」をつけてくる。ほんでメールめっちゃ長くてね。そうなったらもうおしまい。でも、この映画のりえさんはずーーーっと、優しくてかわいかった!
中川:何やねん、「のか」って! 怖すぎるわ!
村本:それにしても、浮気をするにせよ何にせよ、年下と付き合うなら絶対に主導権を握らなあかん! 年下の男に振り回されて泣くほど情けないことはないでって思う。
『紙の月』
角田光代の同名小説を『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督が映画化。宮沢りえ演じる平凡な家庭の妻が年下男性と恋に落ち、勤務先の銀行で大金を横領してしまうまでの転落を描くサスペンスドラマ。
©2014「紙の月」製作委員会
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。先ごろ行われた「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
「東京グランド花月」開幕!
よしもと100年の歴史を彩る看板寄席「グランド花月」が東京初上陸! お笑いの本場・大阪でも見ることができない、漫才・落語・新喜劇の豪華顔ぶれが大集結。今年一番のお笑い寄席「東京グランド花月」が開幕します。
明治座にて、12月24日(水)~25日(木)の計3公演。25日にはウーマンラッシュアワーが出演します。笑って、笑って、また笑う、聖なる2日間!
<出演者>
【ネタ】
桂文枝/中田カウス・ボタン/西川のりお・上方よしお
12月24日(水):COWCOW/トータルテンボス/NON STYLE
12月25日(木):チュートリアル/ウーマンラッシュアワー/キングコング
両日:林家菊丸/もりやすバンバンビガロ
【吉本新喜劇】
間寛平/辻本茂雄/山田花子ほか
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。