第22回:ウーマンラッシュアワーの『ANNIE/アニー』談義
映画たて・よこ・ななめ見!
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は日本でも大人気の名作ミュージカルを映画化した『ANNIE/アニー』をななめ見しちゃいます!(取材・文:シネマトゥデイ編集部 入倉功一)
村本:主人公のアニー役は、連載第1回で取り上げた『ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~』のクヮヴェンジャネ・ウォレスちゃんじゃないですか! 彼女のアニー、僕は好きやわ~。
中川:父性本能をくすぐられたという感じ? 確かにアニーは、常に元気を分けてもらえる感じが良かったね。
村本:彼女と暮らすことになるIT長者のスタックスさん(ジェイミー・フォックス)も、ちょっと愛に飢えているあたりが僕と似ていて、アニーちゃん的な娘が欲しいと思ったわ。
中川:でも、里子を迎えたら女の子とか家に連れ込めんやろ。
村本:いや、「村本は、ホントはこんなにイイ人なんだ」っていう宣伝効果がもたらされてかわいい子と付き合えたらね、もう里子は……。「ありがとうございました!」という。
中川:最悪や……。そんなんしたらツイッターでたたかれるぞ! アニーが「だまされた!」ってつぶやくかもしれん。
村本:もし僕がアニーを引き取ったら、ずっとアニーとツイッターでケンカしてるかもな。
中川:ウォレスちゃんは『ハッシュパピー』からだいぶ大人になったな。僕らもこの1年でだいぶ環境が変わったけど。
村本:まぁ、おまえの部屋は、いまだに僕が中学のときに履いていた運動靴の中みたいな臭いがするけど。
中川:そんなことないやろ!
村本:アニーが住んでいた施設みたいな部屋やん! 嫁もちょっと、キャメロン・ディアスが演じてた、(施設を経営する)ハニガンに似てるし。
中川:確かに、無駄にセクシーに振る舞う感じなんかは似てたわ~。僕の嫁も、「それブラとパンツだけちゃうん?」っていう格好で宅配便を受け取ったりするから、ちょっとやめてほしいんやけどね……。
村本:子供もおるから、スタックスさんの気持ちもわかるでしょ。
中川:そうやね。あのね、ちょっと嫁と嫌な雰囲気になったときも、子供がおったらなくなるのよ。もう空気を読む力がすごい。ちょっと言い合いをして関係が悪くなったら「ケンカしないで!」みたいにね、子供が僕と嫁の手をつないで、仲直りさせようとしてくれるんですよ。
村本:「ファイト!」って、ボクシングのレフリーみたいな感じ? 夫婦なら拳で戦えと!
中川:ちゃうから!!! 仲良くして~みたいな感じ。しょうもないケンカが減るというかね。だからもう、僕の中では完全に子供とアニーがかぶっていました。子供は幸せを運んでくれますよ。
村本:僕が里親になったろか!
中川:絶対渡すか!
村本:スタックスさんの豪華ペントハウスに住むことになったアニーが、わざと机の下で寝て、施設で暮らしていたときの二段ベッドの気分を味わうシーンがあったでしょ?
中川:あの、ふわふわのベッドじゃ寝られない感じの?
村本:そう! 僕も、もともとは大阪で家賃3万円のボロアパートに15年近く住んでいて、東京に来て「THE MANZAI」で優勝して、都会の夜景を一望できるようなところに急に住むことになったわけ。ベッドもすごくいいモノにしたんやけど、やっぱり慣れなくて緊張してしまう。
中川:じゃあ、急に金持ちの世界に入ったアニーの気持ちが……。
村本:痛いほどわかる! 例えば、めっちゃかわいいモデルさんみたいな女の子と遊んだりしても、彼女は僕がテレビに出ていることにグッときているだけで、何かが違う。メシにしても、2万円とかの高いステーキを食ったりもするけど、結局、腹減っているときの夜中のカップラーメンにはかなわんのよ。そう考えると、スタックスさんにも、そういった満たされない部分があって、アニーがそれを埋めてくれたっていうのはあるんちゃうかなぁ。
中川:スタックスさん、地元にアニーと帰ったとき、ものすごい楽しそうやったしね。なじみのお母さんの手料理が一番うまいみたいな。
村本:まさにそう! 僕も華やかな場に誘われて行ったりするけど、全然満たされんわ。結局、かれこれ15年ぐらい仲の良い後輩としか今は遊んでいないもん。
村本:僕の場合、ミュージカル映画は、あんまり歌の場面だらけだとしんどくなるんやけど、これは程よいバランスで観やすかった!
中川:現代が舞台で、ツイッターとかSNSがバンバン出てきたりするから、話に入っていきやすいよな。それに、ほんまに優しい人が幸せになって、心が貧しい人が不幸せになるっていうのがはっきりしていて、観ていて気持ち良かった!
村本:だから僕はある意味、観なければよかったわ。一体、自分は何をしているんだろうと。目先の金ばかり追い求めて、ゲスいことばっかり言って人を嫌な気持ちにさせて。でも、もしかしたらこのゲスい感じをやめて子供大好きキャラになってしまいそうなものを観てしまったわ。早く結婚して、里子、もしくは子供が欲しいと思うようになったし。結婚宣言するわ!
中川:キャメロン(の演じたハニガン)みたいにならんようにね……。
『ANNIE/アニー』
ミュージカル「アニー」を、『ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~』でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたクヮヴェンジャネ・ウォレス主演で映画化。舞台を現代のニューヨークに移し、いつか両親に再会できる日を信じてけなげに生きる少女の姿を追う。共演は、ジェイミー・フォックスとキャメロン・ディアスら。製作を務めるウィル・スミスとJAY Zがプロデュースした「トゥモロー」のほか映画オリジナルの楽曲も加わり、魅力的なパフォーマンスが満載!
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。先ごろ行われた「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
島ぜんぶでおーきな祭 -第7回沖縄国際映画祭-開催!
開催期間:3月25日(水)~29日(日)
会場:宜野湾市:沖縄コンベンションセンターおよび周辺地区/ 島ぜんぶでおーきなスタジオ
那覇市:桜坂劇場/国際通りてんぶす前広場
沖縄市:コザ・ミュージックタウン/コザゲート通り周辺
その他:北谷町はじめ県内各所
※開催期間中はなるべく公共交通機関をご利用ください。
第7回となる今回は、名称を「島ぜんぶでおーきな祭」にリニューアルをし、3月25日(水)から29日(日)まで、県内北から南、離島までを巻き込んだ祭典としてスケールアップします。国内外からの秀逸な映画作品の上映、音楽・お笑いイベントを県内中で開催。また映画祭の華であるレッドカーペットは、沖縄市でも初開催するほか、那覇市国際通り、宜野湾メイン会場でも実施いたします。3月12日には、那覇市国際通りによしもと沖縄花月、沖縄おもろお化け屋敷(仮)がオープンします。
詳しくはオフィシャルホームページでご確認ください!
「島ぜんぶでおーきな祭-第7回沖縄国際映画祭-」オフィシャルサイト
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。