ファンの祭典「スター・ウォーズ・セレブレーション」に潜入!J・J・エイブラムスほか新旧キャストずらり
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世界の映画産業の中心・アメリカの最新映画情報を現地在住ライターが紹介する「最新!全米HOTムービー」。今回は、「スター・ウォーズ」ファンの祭典「スター・ウォーズ・セレブレーション」に潜入! 4日間にわたるイベントで何が行われたのか、ご紹介します。(取材・文:吉川優子、細谷佳史)
開幕前:J・J・エイブラムス監督が徹夜のファンに差し入れ
現地時間4月16日から19日まで、「スター・ウォーズ」ファンの祭典「スター・ウォーズ・セレブレーション」が米ロサンゼルスの南、ディズニーランドがあるアナハイムのコンベンションセンターで4日間にわたって開催された。
新作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のJ・J・エイブラムス監督とルーカス・フィルムの共同会長キャスリーン・ケネディが登場するオープニングパネルでは、同作の新たな映像が披露されるに違いないとうわさされていたこともあり、世界中から集まった多くのファンが前日から会場前に長い列を作った。そして、そのことを知ったエイブラムス監督が、徹夜で並ぶファンにピザを200枚差し入れ、大いに感謝されていた。
1日目:新旧キャストが勢ぞろい!
16日の午前10時からスタートしたアリーナでのオープニングパネルは5,000人を超えるファンであっという間に埋まり、終始ロックコンサートのような盛り上がりを見せた(アリーナに入れなかった多くのファンは、他に用意された三つのステージのスクリーンでパネルを見るようになっていた)。
ステージには、エイブラムス監督、ケネディ、新作の主役3人であるデイジー・リドリー、オスカー・アイザック、ジョン・ボイエガに続いて、オリジナルメンバーのマーク・ハミル(ルーク役)、キャリー・フィッシャー(レイア役)、アンソニー・ダニエルズ(C-3PO役)、ピーター・メイヒュー(チューバッカ役)、さらにR2-D2と予告編ですでに大人気のボール型ドロイドBB-8、コスチュームのデザインが新しくなったストーム・トルーパーたちが登場。最後に、新作の予告編第2弾となる88秒の映像が流れ、ハン・ソロ(ハリソン・フォード)がチューバッカに「チューイ、帰ったぜ!」と言ったところで、会場内の興奮は最高潮に達した。
パネルでは、エイブラムス監督が『スター・トレック』に続いて『スター・ウォーズ』の新作を手掛けるという大仕事を引き受けることになった経緯について語った。意外にも、最初はこのオファーを断ったという。
エイブラムス監督:「すぐに引き受けなかったのは、あまりにもプレッシャーが大きいということももちろんあったけど、長年のファンという立場からも、単なる続編はやりたくないという思いがあったんだ。でもキャスリーンと話し合ううちに、全く新しい作品として、SWシリーズを次にどう展開させていくかというビジョンが明確になってきてね。ここに集まったファンと同様に僕自身、新作が待ち切れないといったワクワクした気分になれたんだよ」
午後には、パルパティーンを演じたイアン・マクディアミッドのパネルも行われた。
2日目:ライトセーバーで戦うアトラクションも!
17日には、レイ・パーク(ダース・モール役)、キャリー・フィッシャー(レイア役)、アンソニー・ダニエルズ(C-3PO役)がそれぞれ個別に登場するパネルが催された他、人気テレビアニメシリーズ「スター・ウォーズ 反乱者たち」のパネルや、「エピソード4」以来、長年ルーカス・フィルムの特撮工房ILM(インダストリアル・ライト&マジック)の中心人物としてアカデミー賞を9度受賞(生存するフィルムメイカーとして最多)したデニス・ミューレンが、「スター・ウォーズ」の特撮の裏側を語るパネルに登場。また、ジェダイの訓練を受けた子供たちがダース・ベイダーとライトセーバーで戦うアトラクションや「フォースの覚醒」の衣装展など、「スター・ウォーズ」好きにとってはたまらないイベントがてんこ盛りだった。
3日目:ルーク役マーク・ハミルが32年ぶりの復帰を語る!
18日の夜は、マーク・ハミル(ルーク役)のパネルが催され、『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』以来32年ぶりにシリーズに復帰したハミルは新作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』への出演を初めて聞いたときのことを以下のように語った。
ハミル:「ジョージ(・ルーカス)が参加するスター・ウォーズのイベントがあって、そのときにジョージからランチに誘われたんだ。でも僕の娘は連れてこないように言われた。それで何か特別なことに違いないと思ったんだ。でもジョージは、プリクエル(エピソード1~3)の後は、はっきりともう何もやらないと言っていたから、彼らはこれらの作品の3D版をやろうとしているから、多分それについて僕らに(宣伝用の)プレスをやってもらいたいのだろうと思っていた」
ハミル:「ランチは、キャリー(・フィッシャー)と僕の妻とジョージだけで、ジョージは、『もう一つ(SWの)トリロジーをやろうと思っている。でもあなたたちがそれに出演したくないのであれば、あなたたちの役を他の人にやらせることはせずに、その役を脚本から外すようにする』って言ったんだ。キャリーはすぐに、『わたしは出るわ』って言ったけど、僕は、ポーカーフェイスを装って、『それについては考えさせてくれ』といった感じでね。なぜなら、本当のことを言うと、僕は(その話を聞いて)ショック状態に陥っていたんだ(笑)」
4日目:シリーズ初のスピンオフ作品とは?
イベント最終日の19日には、新トリロジー以外に、スター・ウォーズ・ユニバースがアンソロジーとして広がっていくことを伝える『ローグ・ワン(原題) / Rogue One』のパネルが注目をさらった。
シリーズ初のスピンオフ作品となる『ローグ・ワン(原題)』(2016年12月16日全米公開予定)について、昨年『GODZILLA ゴジラ』を大ヒットさせたギャレス・エドワーズ監督は、「エピソード3と4の間で、4に近い物語になるが、ジェダイがほぼ全滅した後という設定なんだ。全知全能の神のような存在だったジェダイ亡き今、フォースという特別な力を持たない普通の人々が、銀河に平和と希望をもたらすために立ち上がる、という物語だ。(今までの)SWシリーズにない、善と悪がはっきりしない、グレーの部分が多い、リアルなトーンの戦争映画になる」と語った。
要塞デス・スターの設計図を反乱軍の兵士たちが奪うというプロットで、『博士と彼女のセオリー』でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたフェリシティ・ジョーンズが、主役の反乱軍兵士を演じるという。
まとめ
1999年から始まった「スター・ウォーズ・セレブレーション」はアメリカ国内だけでなくヨーロッパや日本などでも開催され、前回は2013年、ドイツで開催された。今年は年末に、10年ぶりとなる新作「フォースの覚醒」が公開されることもあり、4日間のパスは全てソールドアウト、過去最高となる約4万人のファンが詰め掛けた。これまで以上に親子での参加者が増え、1977年の「エピソード4」から40年近くにわたって続くスペースオペラが、世代を超えて受け継がれていることを強く印象付ける祭典となった。
映画『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は12月18日より全国公開
【今月のHOTライター】
■吉川優子
俳優や監督の取材、ドキュメンタリー番組や長編映画の製作など、幅広く映画に関する仕事を手掛ける。最近の作品は「ハリウッド白熱教室」など。
■細谷佳史(フィルムメーカー)
プロデュース作にジョー・ダンテらと組んだ『デス・ルーム』など。『悪の教典 -序章-』『宇宙兄弟』ではUS(アメリカ側)プロデューサーを務める。