第89回『ストレイヤーズ・クロニクル』鈴木伸之
イケメン発掘調査隊
Q:初めて本格的なアクションに挑戦されましたが、完成した作品をご覧になっていかがでしたか?
最初は「この作品をどうやって撮るんだろう?」と疑問に思っていたんですけど、世界的なアクション監督の下村勇二さんのもとで、なかなか日本では見られない高度なアクションに挑戦することができました。下村監督が台本の活字の一つ一つを、現実に呼び起こすように表現されているのが伝わってきて、面白かったです。それだけに、仕上がりを観たときはビックリして、すごくいい出来だなと純粋に思いました。
Q:本作では、チーターの能力を与えられ、人一倍早く動ける壮というキャラクターを演じられましたね。
ほかの映画では使わない、瞬発力を意識したアクションなど、新しいことだらけで最初は筋肉痛がひどかったです(笑)。酸欠になったり、体調が悪くなるぐらい追い込んでやりました。現実ではあり得ないんですけど、動物の能力を当てはめた動きというのは新しいなと思いました。
Q:竹やぶを飛び回ったり瞬間移動をしたりと、かなり激しいアクションシーンが満載でしたが、アクションは相当練習されたんですか?
実際には使わなかったんですけど、ワイヤーアクションなども含めて、アクションの稽古はかなりやりました。今回はナイフを使って戦うシーンがあったので、とにかくナイフを手になじませて、日頃からナイフを使っている人物に見えるように意識しましたね。
Q:ナイフで戦うシーンとは、岡田将生さん演じる昴とのシーンですね。
あのシーンはものすごく緊張しましたね。ゴムとステンレスと刃を落とした本物のナイフの3種類を用意して、本番はステンレスでやったんですけど、あのスピードなので当たると相当痛いんですよ。「もし当たっちゃったらどうしよう……」と思っていたんですけど、岡田さんが「思いきり来ていいからね」と言ってくださったので、二人で目と目で呼吸を合わせながら、無事にケガもなくやり終えることができました!
Q:同世代の役者さんがそろった作品でしたが、皆さんと共演したことで刺激を受けた部分はありましたか?
たくさんありました。やはり同世代ですし、以前共演したことのある方はさらに成長されていたり、初めてご一緒した方との掛け合いも勉強になることばかりで、本当に刺激を受けるいい現場だったなと改めて思います。
Q:特にどなたと仲が良かったんですか?
昴チームは岡田さんを中心に和気あいあいとしていて、ご飯を食べに行かれていたみたいですけど、学(染谷将太)率いる「アゲハ」チームは現場でコミュニケーションをまったく取っていなかったんですよね。人見知りが集まっちゃったのかもしれないですけど、みんなお芝居に没頭していて(笑)。だから僕、オールアップまで染谷さんと話したことがなかったんです。それでも染谷さんを中心に、自然と染谷さんの色に染まっていったので、それはそれでアゲハだなと思っていました。
Q:この作品を通して、若い人たちに観てほしいポイントは?
ちょっとSFチックで非現実的な設定やストーリーではあるんですけど、群像劇で一人一人に物語があるし、命をテーマにした作品なので、現実とリンクするところもたくさんあります。迫力があって元気をもらえる作品だし、楽しめることは間違いないと思います。特に中高生は大好きな作品だと思うので、スクリーンで観てもらいたいなと思います。
Q:好きな映画を挙げてください。
邦画では『GO』が一番好きです。時代は違うんですけど、観たときに「こういうのあった、あった」と思うような、同じような青春の匂いを感じてすごくインパクトがあったんです。そして、洋画では『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』。僕、アル・パチーノが大好きなんです。水一つを取る動きもめっちゃかっこいいし、背は高くないんですけど、すごくでっかく見えるんですよね。どちらもお芝居の仕事を始めたのがきっかけで観ました。それから最近観た中で一番良かったのは『ソウォン/願い』という、衝撃的な実話を基に、家族が再生していく物語を描いた韓国映画です。韓国の人の日本にはない独特な表現の仕方が好きで、韓国映画にハマりそうなぐらい衝撃的な1本でした。
Q:好きな女性のタイプは?
清楚(せいそ)な方がタイプなんですけど、芸能人で例えると、佐々木希さんです。一度ドラマで共演させていただいたことがあるんですけど、全然しゃべれなくて「おはようございます」と言うのが精いっぱいでした。生でお会いすると僕が想像していた佐々木さんそのままで……って、めっちゃ気持ち悪いな、俺(笑)! でも、あくまでそれは理想なので、素直で素朴な感じの子がタイプです(笑)。
Q:となると、好きな人には自分からアプローチできないほうですか?
いや、そんなことないです。普段は自分からいきます。あまり、なよなよしているタイプではないです(笑)。
Q:休日の過ごし方は?
家でまったりするのが好きで、丸1日休みだと、出掛けないで家でゴロゴロ昼ぐらいまで寝ています(笑)。最近、時代劇をやらせていただいたというのもあって、木刀を振ることが日課になっていて、立ってやると天井に当たっちゃうので、座ってテレビを見ながらやっています。
Q:趣味や特技はありますか?
最近のマイブームは料理ですね。得意料理はハンバーグです。豆乳豆腐っていうのがあって、それを入れるとふわふわになって、めっちゃおいしいんですよ。今度ぜひやってみてください! スーパーに行くだけで楽しくて、最近ポイントカードを作っちゃいました(笑)。なので、忘れちゃったときは「うわ、今日ポイント5倍デーなのに忘れちゃったよ!」ってショック受けますもん。エコバッグにも手を出そうかなって思っています(笑)。
Q:俳優としての野望は?
やるからには、主役を絶対にやりたいなと思っています。今はそこに向かって、一つ一つ勉強していかなきゃいけない段階なんですけど……。まずはそこを目指して、そして歌や新しいエンターテインメントを皆さんに観てもらえる人間になっていきたいなと思っています。福山雅治さんのような、歌ってお芝居もできて、いろいろな方面で活躍をされている方にすごく憧れがあるので、自分もそうなりたいなと思っています。
Q:歌がお好きなんですよね。
はい。大好きなんです。なので、最近またギターを弾けたらいいなと思っていて。家に置いてあるんですけど、音がずれてしまっているので、ちゃんと水拭きして、もう1回やりたいと思います。そうやって、一個一個できることを増やして、一つ一つ夢をかなえたいなと思っています。
取材・文:小島弥央 写真:奥山智明
映画『ストレイヤーズ・クロニクル』は6月27日より全国公開
映画『ストレイヤーズ・クロニクル』
本多孝好のベストセラー小説を実写化したアクション。極秘実験で視力・聴力・筋力などが常人よりも発達した青年が、謎の殺りく者集団との激闘を繰り広げながら自身の秘められた宿命と対峙(たいじ)する。メガホンを取るのは、『へヴンズ ストーリー』などの瀬々敬久。『悪人』などの岡田将生と『寄生獣』などの染谷将太が、導かれるように激突する異能力者たちを快演。その脇を、成海璃子、豊原功補、石橋蓮司、伊原剛志らが固める。スリリングなストーリーに加え、岡田が繰り出す体を張った渾身(こんしん)の見せ場にも熱くなる。
生年月日:1992年10月14日
出身地:神奈川県
身長:185cm
血液型:AB型
趣味:料理
芸歴:2010年に「第3回劇団EXILEオーディション」に合格。同年12月に「劇団EXILE 華組×風組合同公演『ろくでなしBLUES』」で舞台デビューを果たすと、翌2011年にはテレビドラマ「ろくでなしBLUES」に出演。さらに2012年には映画『桐島、部活やめるってよ』、テレビドラマ「GTO」に出演し、2013年には『アラグレ』で映画初主演を飾る。以降、映画『謝罪の王様』、テレビドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」「水球ヤンキース」などの話題作に続々出演。現在は大河ドラマ「花燃ゆ」で寺島忠三郎役を好演中。