エロにコメディー、ホラーもあるよ!エスパー映画特集!
今週のクローズアップ
■エロにコメディー、ホラーもあるよ!エスパー映画特集!
せっかくの能力をエロ方向にしか発揮できないエスパーたちが世界の危機に立ち向かう姿を描く青春コメディー『映画 みんな!エスパーだよ!』の公開に合わせ、いろいろな事情を抱えた超能力者が登場するエスパー映画を紹介します!(編集部・入倉功一)
■『超能力学園Z』(1982)
1980年代に少年時代を過ごした男子ならば、テレビ放映を観ていない者はいないであろう青春コメディー。ある実験により超能力を手にした高校生バーニーが巻き起こす珍騒動と青春模様を描き出す。夏帆や真野恵里菜がパンチラを連発するドラマ版「みんな!エスパーだよ!」を観た(主に30代以上の)男子の脳裏には、この映画が浮かんだはず。ちょこちょこ差し込まれるポロリシーンはもちろん、ケツ丸出しの男子高校生が宙を舞う場面をはじめとする安っぽい特撮、死ぬほどくだらない小学生レベルのギャグは、肩の力を完全に抜いて楽しめるユルさで、1年に1回くらいは見直したくなる不思議な魅力に満ちている。
オープニングで主人公のボンクラ仲間が、チアリーダーのパンチラをカメラに収めるシーンは、ビーチでおっぱいを出している美女ばかり見ているイメージのあったアメリカ人でも、パンチラが好きなのか! と当時の少年たちにカルチャーショックを味わわせたに違いない(?)。続編のタイトルは『超能力学園Z PART2/パンチラ・ウォーズ』。こちらもテレビ放映されたのだが、世にブルセラが繁栄した1990年代だったせいか、覚えている人は圧倒的に少ない。
■『クロニクル』(2012)
近年製作された超能力映画の中でも群を抜いた完成度を誇る一本。宇宙から飛来したとおぼしき落下物の影響で超能力に目覚めた高校生たち。最初こそはしゃぎまくっていた彼らだが、仲間の一人が暴走し始めたことから、取り返しのつかない事態に巻き込まれていく。使い古された感のあるモキュメンタリースタイルも、「超能力でカメラを浮かせる」という設定を採用することで、自由自在なカット割りを実現。本当に超能力が存在するかのようなリアリティーを持たせながら、素人くさい撮影による画面酔いとは無縁という斬新な演出を確立した。
思春期特有ともいえる、孤独な青年の鬱屈(うっくつ)した感情が暴走するさまを丁寧に切り取ったドラマも見どころ。能力の暴走に伴い力を暴走させていく少年を演じたデイン・デハーンの危うい魅力からも目が離せない。ちなみに、能力を手にした彼らが学校で挑戦するのは、やっぱり女生徒のスカートめくり。『超能力学園Z』の影響は大きいといわざるを得ない!
■『13日の金曜日 PART7/新しい恐怖』(1988)
ホラー映画界のアイコン、ジェイソンと超能力少女が対決する異色なシリーズ7作目。かつて自分の能力によって父親を殺害してしまった少女ティナ。どういうわけか、父が死んだのは、あのジェイソンが眠るクリスタルレイクだった……。数年後、湖に戻ってきたティナが父親の復活を願うと、なぜかジェイソンが復活! 再び湖に集まる若者を殺害し始めたジェイソンとティナの対決が始まる。
本作の特徴は、何といってもジェイソンがかわいそうになるくらいのティナの強さ。家具や工作器具など、屋内にある、あらゆるものを利用した『ホーム・アローン』的な攻撃で、首つりから火あぶりまで容赦ない責め苦を受けるジェイソンを見ると、「もうやめたげて……」と言いたくなる。最後には父親まで投入して殺人鬼に立ち向かう、最恐少女ティナのたくましい姿がなぜか忘れられない、心に残る(?)一本だ。寝袋に入った犠牲者をそのまま木にたたきつけて殺す、ファンの間ではお決まりとなった殺害方法をはじめ、殺しのレパートリーも豊富。
■『スキャナーズ』(1981年)
鬼才、デヴィッド・クローネンバーグ監督が手掛けた超能力映画の代表作。スキャナーと呼ばれる超能力者たちによる世界の命運を懸けた争いを描く。あらすじだけだと、爽快なアクション映画にもなりそうな話だが、そこはクローネンバーグ監督。ひたすらクールに、淡々とスキャナーたちの戦いを描く演出によって、全編にそこはかとない不気味さが漂う。特に有名なのは、人間の頭部がスイカのごとく吹き飛ぶ序盤の衝撃シーン。人体が内部から破裂するという残虐で斬新な表現が話題を呼び、後に製作されたさまざまな映画・コミックスに影響を与えた。インパクトが強過ぎるため、定期的に見直さないとこのシーンしか思い出せなくなる……。
■『エスパイ』(1974)
エスパーがスパイになった。それが「エスパイ」だ! 小松左京の同名SF小説を原作に、秘密組織「エスパイ」に所属する超能力を持ったスパイたちが、世界情勢を悪化させんとする逆エスパイとの戦いに挑む。主演は藤岡弘、。さらに由美かおる、草刈正雄、加山雄三、若山富三郎ら豪華キャストが集結。俳優たちの熱演は見どころだが、肝心の超能力シーンを再現するには、当時の日本映画の予算規模ではキツかった。正直今観るといろいろとキツいものがあるが、ポロリにも挑んだ由美かおるは間違いなくエロい。よく考えたらエスパー映画はポロリの宝庫である……。ちなみに、公開当時は山口百恵が主演した『伊豆の踊子』と同時上映だった。この、絶対に客層がかぶらないであろう謎の編成も笑いを誘う。
■『劇場版 仮面ライダーアギト ProjectG4』(2001)
「仮面ライダークウガ」を経た平成仮面ライダーシリーズの2作目として製作された特撮ドラマの劇場版。テレビでは、仮面ライダー「アギト」へと変身する力に覚醒した人物を人類の進化形と定義。力を目覚めさせる過程にある人々が、さまざまな能力を発現し苦悩するさまを描いた、児童向けとは思えないほど超能力について真面目に考察した作品でもあった。
記念すべき平成仮面ライダーの劇場版1作目となった映画では、人類を襲う未確認生命体(アンノウン)に襲撃された超能力研究施設から逃げ出した、幼い超能力姉弟を軸に物語が展開。能力を持たない人間がアンノウンに対応するための強化装甲服と能力者の力をリンクさせる「第4世代型・対未確認生命体強化外骨格及び強化外筋システム(GENERATION-4)」ことG4システム立ち上げを目標とする、陸上自衛隊の研究者の暴走に、仮面ライダーアギトこと津上翔一(賀集利樹)たちが巻き込まれる。研究者が能力を持つ者を「保護」名目で拉致するなど、能力者の差別や、彼らの力を利用したシステムの負荷により死亡する装着者の悲劇など、ハードな展開とオカルト風味が強いホラーな演出も印象的。映画も大ヒットを記録し、現在まで続く劇場版平成仮面ライダーシリーズの人気を決定づけた。
■『映画 みんな!エスパーだよ!』
数百年に1度、特別な天体の配列で起こる光を浴びた地方都市の人々が、エスパー能力を開花。心の声が聞こえるテレパシー能力に目覚めた主人公・鴨川嘉郎(染谷将太)は、何も取りえもない自分が選ばれた存在だった! と歓喜。世界を救うために仲間を集めようとするが、能力発現の条件は、「性行未経験者であること」「光を浴びたとき性的エクスタシーにあった者(オナニー中だったこと)」「能力に気付き、自覚したこと」というしょっぱい理由だった……。
基本エッチなものしか動かせない喫茶店の店主や、テレポート能力を露出狂目的にしか使わない同級生など、せっかくの偉大な力をエロ方面にしか発揮できない能力者たちの奮闘を、園子温監督が活写。大画面に映し出される池田エライザ、真野恵里菜が演じるヒロインたちはもちろん、今野杏南、星名美津紀、篠崎愛、冨手麻妙ほか人気グラドルによるパンチラ、水着、なんでもありのセクシーシーンは、特に男子中学生にはたまらない。
しかしその実は、「運命の人」との出会いを願う童貞高校生の純粋な思いをつづる、「愛」について真摯(しんし)に考察した一本。大画面に映る真野ちゃんのパンチラもナイスだが、笑ってドキドキして、見終わるとなぜか自分の好きな人に会いたくなる、実は正統派青春映画になっている。
『映画 みんな!エスパーだよ!』は全国公開中