第29回:ウーマンラッシュアワーの『at Home アットホーム』談義
映画たて・よこ・ななめ見!
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は、ついに村本が俳優デビュー! 松雪泰子をボコボコにする誘拐犯を演じた『at Home アットホーム』をななめ見しちゃいます!(取材・文:シネマトゥデイ編集部・入倉功一)
中川:「どうせちょい役やろ」ぐらいの気持ちで観ていたら、がっつり話に絡んでくる感じのキーマンになっていて驚いたで。エンドロールのクレジットにも竹野内豊さんや松雪泰子さんとか、家族を演じた役者さんたちに並んで、4番目くらいに載ってたし!
村本:松雪さん演じる結婚詐欺師にダマされる、御曹司をかたった詐欺師役。いわば、カモのふりをしたカモやね。実は最初、(オファーを)断っていたのよ。演技にも自信ないから。でも話のネタになるかな、ぐらいのつもりでやってみたら、楽しかった!
中川:普通、知り合いがドラマとかに出ていると、その人の性格と役柄が違うから観ていて違和感があるでしょ。おまえも、もっと大根役者に見えるかと思っていたけど、自然やったんでびっくりしたわ。演技している感がなかった。
村本:今まで、女にダマされては復讐(ふくしゅう)するの繰り返しやったからな。ごはんに誘われたってグラビアアイドルに暴露されたり……。せやから、割と自分に近い役やったのかったかもしれん。
中川:ちなみに、いつぐらいに撮ったん?
村本:ちょうど、1年ぐらい前やな。
中川:いや、おまえがジャケット脱いで松雪泰子さんを殴るシーンあるでしょ? で、脱いだ瞬間、あれ、こんなに太ってたっけ? ってちょっと思ったで。そんなにボリュームあった? って(笑)。
村本:あれは役づくりやがな……。
中川:え? 役づくりで太ってたん!? あの役ならむしろスタイリッシュな方がよかったんじゃないの……。
中川:映画の中で、松雪さんを誘拐したって竹野内さんと電話で話しているとき、松雪さんの顔をなでていたでしょ? あんなにきれいな女優さんの顔をなでるっていうのはどんな気持ちなのよ。
村本:めっちゃ緊張したわ! どこまでやってええんかなって。松雪さんは「大丈夫だからガンガン来て!」って言うてくれはるんやけど。
中川:やっぱり、遠慮はあったと。
村本:いや、せっかくやからいっぱい触っとけ! って。カットされてんけど、タイツの上から脚もめっちゃ触ったわ!
中川:ちょっとラッキーな気持ちがあったんかい! でも実際、現場で松雪さんとおしゃべりはしてたん?
村本:ずっと一緒やったからな。松雪さん、演技の相談にも乗ってくれて。LINEも何回かしたよ。数回やけど、LINE友達と言わしてもらいます!
中川:そういえばおまえ、撮影中に松雪さんを口説いたってニュースになっていたけど……。
村本:松雪さんがロープで縛られて身動きが取れない撮影のときに「ごはん行きましょう」って、ずっと言ってたわ。
中川:おまえ、人が一番弱いときに……。
村本:でもずっと断られ続けて。僕も山本耕史さん(が堀北真希に送ったとされる)みたく、40通ぐらい手紙送ったろかな!
中川:やめとけ!
村本:でもね、僕はこういうときって、緊張したらソンやと思うんですよ。風俗と同じやで。
中川:何を言うてんの?
村本:その時間がもったいない。この映画でも僕は、松雪さんとの演技を堪能したいという気持ちが大きかったのよ。撮影を乗り切れたのも、それが大きかったかもしれん。朝早いし長いしで大変やったけど、松雪さんとずっと二人(でいる時間が長い)って知っていたから、楽しかったわけや。
中川:映画とかドラマの共演から恋愛に発展して結婚っていうパターンも多いからな。松雪さんはともかく、結婚されていない女優さんと一緒にいる時間が長かったら、ごはん食べに行ったりとかしてる可能性はあるで。
村本:この前もフジテレビの番組で佐々木希ちゃんと一緒になって、同じ空間で数時間しゃべる機会があったんやけど、アタックはかけたよ。少なくとも僕は、毎回ジャブは絶対打ってる。まぁ、両方断られたけど……。
中川:そらそうや。
村本:でもな、街を歩いているブスに声を掛けてフラれるっていうのはショックやけど、松雪さんや佐々木希さんみたいな美人の場合は、断られても誇らしいと思える! 僕は戦ったんだぞと思えるのよ!
中川:頑張った自分を褒めたいみたいな感じやな……。
中川:自分の周りで観た人のリアクションはあるの?
村本:あるある。「本当に身の毛もよだつ迫真の演技で……」って言うてくれるで。
中川:僕も、一回ぐらいは映画も体験したいと思ったわ~。映画がおもろいから余計にうらやましい! いろんなタイプの家族が出てきて、血のつながった家族は最悪で、泥棒を稼業にしている家族が一番温かいというのが新しくて、こんな家族いいなって思う。ホントたくさんの人に観てほしいな。
村本:おまえの家も、あの家族に近いところがあるよな、お父さんがギャラ泥棒で……。
中川:こっちはギャラ泥棒してるなんて思ってないわ! うちを犯罪一家みたく言うなよ。そういえば、自分の家族は観たの?
村本:ああ、弟が福井から滋賀まで出てきて観てくれて、「めっちゃよかった」って言うてくれたで。おまえも家族と観たんか?
中川:いや、夜、家で観るとき嫁に「相方が出ている映画なんやけど」って言うたら、「へえ、そうなんや~。寝るわ」って。
村本:それ、ただおまえと嫁が仲悪いだけやろ!
『at Home アットホーム』
「眠りの海」で小説推理新人賞を受賞し、単行本デビュー作「MISSING」で一躍脚光を浴びた本多孝好の人気小説を映画化。一見何の変哲もない幸福に満ちた家族ながら、裏では犯罪に手を染める一家の母が結婚詐欺相手に誘拐され身代金を要求されたことで、母を取り戻すため奮闘する家族の姿を描く。監督は、『未来予想図 ~ア・イ・シ・テ・ルのサイン~』の蝶野博。それぞれに過去を抱える血のつながらない5人家族の父親に竹野内豊、結婚詐欺師の母には松雪泰子がふんする。
(C) 映画『at Home』製作委員会
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。先ごろ行われた「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。