こんなところで日本!?スヌーピーとの深~い関係
日本人も大好きな世界的人気キャラクター「スヌーピー」。12月には初のCG / 3D映画が日本公開されることでも注目を浴びているが、日本や日本人と意外なつながりがあることはご存じだろうか。
■ミュージアム建設に関わった日本人
スヌーピーが登場するコミック「ピーナッツ」の歴史が展示されているチャールズ・M・シュルツ・ミュージアムの大広間に飾られている「モーフィングスヌーピー」「タイルアート」は、日本人アーティストの大谷芳照さんの作品だ。今や日本全国にある「スヌーピータウンショップ」の第1号店(現在は閉店)の内装を手掛け、「ピーナッツ」の原作者チャールズ・M・シュルツさんと親交が深かった大谷さんは、ミュージアム建設の主要メンバーにも選ばれた。
■スヌーピーの映画で日本のアニメが参考に
スヌーピーが映画化される際には、日本のアニメーションが参考された部分もあるという。映画『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』でリードアニメーターを務めているジェフ・ガボーアさんは、スヌーピーの泣きの表現に日本のアニメーション独特の“泣き”の描写を参考にしたと明かす。「スヌーピーが泣くところで、ウルウルした目が欲しかったんです。『アニメ 泣く』とグーグルで検索したらいろんな画像が出てきて、ウルウルした目を見つけたときに、『これをやろう!』と思いました」。
さらに映画製作スタジオのスタッフは、ジェフさんを含めて全員宮崎駿監督の大ファン。ジェフさんは宮崎監督の作品も参考にすることがあると話すと、スタジオ内で宮崎監督作品の上映会も時折開催されると笑顔を見せた。
■スヌーピーの映画に関わっている日本人
そして映画『I LOVE スヌーピー~』には、日本人のスタッフも携わっている。和田元子さんは、製作スタジオのブルースカイ・スタジオでモデリングを担当。モデリングとは、キャラクターや小道具や環境などを2Dから3Dに立体化する作業のこと。つまり、CG / 3Dにおいて基礎となる立体を最初に作る人だ。
<和田元子さん特別インタビュー>
■京都大学で哲学を専攻→壁画の親方に入門
Q:いつからこのスタジオに勤めていらっしゃるのですか?
10年前からですね。このスタジオで初めて関わった作品は、『アイス・エイジ2』です。『ホートン ふしぎな世界のダレダーレ』にも関わりました。シュルツさんの息子さんが『ホートン』を気に入ったことがきっかけで、『スヌーピー』のお話が来たんですよ。ほかには、『メアリーと秘密の王国』ですね。主人公の女の子をかわいく作りました。
Q:スタジオに入った経緯を教えてください。
もともと別のVFXスタジオのGiant Killer Robotsに所属していました。そのときに「来てみない?」とお声掛けいただいたんです。そしてポートフォリオを送って今の会社に入りました。
Q:もともとCGを勉強していたのでしょうか?
日本では京都大学で哲学を専攻していました。その後、壁画の親方に弟子入りして修行して、今はないようですけど昔道玄坂のあたりで1か月に1回描いていました。そして博物館や美術館などの内装設計の会社に入って……。結構紆余(うよ)曲折あります(笑)。
Q:なぜCGの世界に?
『ターミネーター2』を観てすごい衝撃を受けまして。それに出てきたキャラクターが、リアルでメタリックで。そしてヒューンと変形したりする姿を見て。これができるんだったら人間が想像するものを何でも作れると思いまして、CGに興味を持ちました。それから会社をお休みして、サンフランシスコの美術大学の大学院でCGアニメーションを勉強して、それから前の会社のGiant Killer Robotsに入社しました。
■『スヌーピー』の映画化で一番難しかったところ
Q:『スヌーピー』のCG / 3D化で一番難しかったことはなんですか?
今回一番難しかったのは、全世界にファンがいる原作の味や世界観を損なっちゃいけないというところでした。キャラクターも原作と同じように作らないといけないということがありまして。けれど3Dにすると違ってきてしまうんですよ。現実にありえないことを漫画では描いているんですね。横顔の時と正面の時とでスヌーピーの鼻の位置が違ったりするんです。
それにもうひとつ難しかったというところは、目とか鼻とかをリアルに作っちゃうと、原作みたいにならないことです。『メアリーと秘密の王国』では、眼球などの顔の構造をしっかりと作っているのですが、同じように作ってしまうとチャーリー・ブラウンやスヌーピーは表現できない。ウネウネした口とかですね。リアルになりすぎるとダメなので、かなり試行錯誤して作りました。
■同じCG / 3D作品でも『ドラえもん』とは違うんです!
Q:3Dといえば、昨年ヒットした3DCG版の『STAND BY ME ドラえもん』はご覧になりましたか?
はい。『STAND BY ME ドラえもん』は完全に立体として作っている作品ですよね。眼球から作っているタイプです。わたしたちも、そういうふうにちゃんと立体として全部作ろうか迷った時期があったんですよね。でもそれだと原作っぽくならないということになりまして。目とかもラインっぽさが出るようなものに変えたんです。
『スヌーピー』はビーズみたいな半立体的なイメージですね。正面から見ないと変に映りますが、横から見ることはないので。決めポーズしか作らない。キャラクターが崩れてしまうような危険なポーズは取らせずに、原作にあるポーズしか再現していません。
Q:決めポーズを作って、ポーズの合間を補うような動きをつけるなど、まるで1コマ1コマ描く必要がある2Dアニメのような作り方ですね。3D作品は一度モデルを作れば、あとはそのモデルを動かすだけだと思っていました。
それが普通なんです。だから普通のCG / 3D作品と比べてものすごく手間がかかっています。一番大変だったのは、キャラクターにコントローラー(肩を動かす、回転するなど、アニメーターらが3Dモデルを操作できるようにするボタンのようなもの)を設定する人とアニメーション担当の人だったんじゃないでしょうか。それがスヌーピー1体で6,000個くらいある。これは通常の作品と比べて2倍以上の数なんです。
映画『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』は12月4日より2D / 3D全国公開 (C) 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved. Peanuts (C) Peanuts Worldwide LLC.