「実録!映画製作『1人1食100円で』~女優・中原翔子、初めてのプロデュース~」第18回
実録!映画製作
これまで数多くの映画に出演してきた「知る人ぞ知る」女優・中原翔子が、映画を作ると決心! プロデューサー早川ナオミとして一本の映画を完成させる、立ち上げから劇場公開までの道のりを追う。理想と現実のはざまで揺れながら繰り広げられる予算との仁義なき戦い! われわれの想像を超える、壮絶な「映画作り」を目撃してもらいたい!(取材・文:編集部・入倉功一/カバー写真:高野広美)
お待たせしました! 音声編集作業(MA)も一段落したオムニバス映画『愛∞コンタクト』がようやく0号試写! 原作者の代々木忠監督も訪れた、緊張と涙と感動(?)の模様をお届けします!
■ついに迎えた0号試写!
MAが終了した後の5月某日、ついに全ての物語が一本となった、『愛∞コンタクト』の0号試写が都内で行われました。会場にはもちろんプロデューサーのナオミのほか、渡辺あい、深井朝子、そしてオープニングとオムニバスをつなぐ幕あい映像を演出した淺雄望ら三人の女性監督が集合。渡辺監督と深井監督は、これまで『桃まつりpresents なみだ/MAGMA』『梅田優子の告白』といった作品を世に送り出していますが、試写に訪れた方々の姿を見る姿は緊張の面持ち。また、この日の試写は映倫審査も兼ねているため、プロデューサーであるナオミの表情も真剣そのものです。
■原作者・代々木忠監督が会場に!
それもそのはずで、この日の会場にはキャストやスタッフだけでなく、原作となった「つながる/セックスが愛に変わるために」の著者でもあるAV界の巨匠・代々木忠監督まで駆け付けてくださったのです。
そして四人は、客席に代々木監督も座る劇場で舞台あいさつ。三本のオムニバスのうち、『感電』『LOVE REVOLUTIONS』を手掛けた渡辺監督は「作り手の私達でも受け止めきれないくらいエネルギーにあふれた作品になっています」と自信のコメント。
『おはよう、マコちゃん』の監督と『LOVE REVOLUTIONS』の脚本を担当した深井監督も「この企画にさそっていただいてから1年半くらいありまして、その間に結婚したり、引っ越したり、太ったりやせたり、いろいろあって今日を迎えることができました。まだ残っている作業があるんですけど、まずは今日お披露目できてうれしいです」と満面の笑み。淺雄監督も「原作を読ませていただいて特に感銘を受けたのが、代々木監督が自分自身に向き合う過程について語られていた箇所。自分で監督をやるとなると、すごく悩んだり不安になったり。(周囲に)支えていただきながら、自分に向き合うチャンスをいただけたと思っています」と充実の表情です。
■自分を好きになれた…ナオミの思い
そして、ナオミこと中原翔子は「企画立ち上げから2年、皆さんを本当にお待たせしてしまいました」とあいさつ。「最初、あなたの好きなことを映画にしてくれと言われました。でも完成した作品を観たら、わたしは、好きになりたい作品を撮ったんだなと思いました。その好きになりたいものは、自分です。今、自分のことを好きじゃない方がたくさんいると思います。そういう方に届けばいいなと思っております」と語り、深々と頭を下げます。
試写の後、緊張が解けたのか監督たちは全員が満面の笑み! 代々木監督も、笑顔で彼女たちをたたえます。代々木監督と握手をし、抱きしめあうナオミのひとみには涙が……。
とはいえ、そこは代々木監督。まだ若干、修正が必要な本編を観て、女性監督たちに的確なアドバイスを送る場面も。歓喜の表情から一転。本当の完成に向けて、ナオミたちの表情もグンと引き締まるのでした!
後日、この日の発言についてナオミはこう振り返っています。「自分のこと、ずっと嫌いだったんです。まず自分とつながりたかったんだなぁって、この映画を作っていく中で気づくことができました。狙いとしては『誰かとつながりたい』と思える映画にしようと考えていたんですが、結果的にはまず自分だった。自愛心、ですよね。エゴイスティックな自己愛という意味ではなくて、純粋な“自愛”。自分を好きじゃない人が、誰かを好きになれるとは思えない。他者と向き合い、心の目を合わせることなどできないと思うんです。3作それぞれのヒロインに『自愛心への気づき』を託していたんだな、と完成して気づきました。全部『私』なんです、きっと。これは、原作『つながる』を初めて読んだ時に感じた、原作に登場する男女が『どいつも、こいつも、私』という感覚に近い。『つながる』に出てくる自愛心の足りない男女に、自分を発見していたんですよね。映画が完成して、やっと言葉にできました」。
映画『愛∞コンタクト』は2016年公開予定
■早川ナオミの今月の一言!
中原翔子 PROFILE
熊本県出身。明治大学在学中よりモデルとして活動後、女優デビュー。高橋洋作品の常連であり、三池崇史や井口昇など海外でも支持されている監督の作品にも多数出演。国内外を問わず、知る人ぞ知る女優である。ニックネームは“地獄のしょこたん”。