『インデペンデンス・デイ』続編セットが公開!『リサージェンス』会見レポート
1996年の大ヒット作『インデペンデンス・デイ』のおよそ20年振りとなる続編が公開されることになった。全米では2016年の6月24日の公開が決定。ニューメキシコ州、アルバカーキの撮影現場に世界中のメディアを集め、新作のタイトル『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』のお披露目を含む記者会見が開かれた。(取材・文:細谷佳史)
月面基地を徹底再現!
これだけ大規模な記者会見が、本編の撮影中に行われるのはかなり珍しいことだが、会見場となったスタジオに足を踏み入れてその理由がよくわかった。スタジオの中には、新作の見どころの一つである、人類の月面基地を再現した実に見事なセットが組まれていたのだ。
そこには実物大の戦闘機や「ムーンタグ」と呼ばれる乗り物も配置され、そのスケールの大きさに圧倒された。予算的な理由から、現場ではグリーンスクリーンの背景で撮影を行い、後からCGで背景を足すといったやり方が映画業界では一般的になっている今、これだけ大規模で洗練されたセットを作るのは異例のことだ。製作陣は、ジャーナリストたちにこの作品のスケールが桁外れであることを、肌で感じて欲しかったに違いない。
会見に参加したのは、オリジナルメンバーのジェフ・ゴールドブラム、ビル・プルマン、ジャド・ハーシュ、ブレント・スピナー、ヴィヴィカ・A・フォックスに、新作から加わったリアム・ヘムズワース、ジェシー・アッシャー、マイカ・モンロー、セーラ・ウォード、Angelababyという、10人の役者たちと前作に引き続きメガホンを取るローランド・エメリッヒ監督だ。
続編実現まで20年!
全世界でおよそ8億ドル(約960億円・1ドル120円計算)以上の特大ヒットを記録したにもかかわらず、続編を作るのにこれだけ時間がかかった理由についてエメリッヒ監督は、「続編をやりたいと思わなかったんだ」と切り出し、次のように語った。「でも、テクノロジーが発達したからね。『2012』を撮影中に、今なら何かとても大きくて素晴らしいことがやれることに気づき、両作を手掛けたVFXスーパーバイザーのフォルカー・エンゲルと、今(『インデペンデンス・デイ』を)やったら全く違う映画になっていたね、と話していた。そこから新作のイメージが浮かんできて、画面に描く必要が出てきてしまったんだよ」。(数字はBox Office Mojo調べ)
前作で地球を救うきっかけを作ったジェフ演じる天才エンジニアのデイビッド・レヴィンソンは、新作では「アーススペースディフェンス」のディレクターという重要な任務を任されている。「僕の仕事は、この貴重な星に住むみんなの安全が守られるようにすることなんだ。この前のチャレンジを経験したことで、僕らはみんなで一つの目的に向かって仕事をしている。国境だって、以前とは違ったものになっているんだ。とても美しいアイデアだと思う。人類が、みんな一緒になって仕事をするなんてね」
また新作で、ビルに変わってアメリカ合衆国大統領となるキャラクター、ランフォードを演じるのが、『ゴーン・ガール』『デイ・アフター・トゥモロー』でも知られるセーラ。現実の大統領選の有力候補となっているヒラリー・クリントンよりも一足先に女性大統領を務めることになったセーラは、自分の役柄について説明する前に、「まず、先見の明に感謝する必要があるわ。社会的責任のあるローランド・エメリッヒ監督が、性差別をせず女性の大統領を選んだことにね」と語った。そして、ランフォードについて、「彼女はタフで、はっきりしていて、積極的なの。武力を行使することを恐れていない。(地球が)侵略に無力だった点に対してこの20年間準備をしてきた。誰がいつやって来るかはわからないけど、(前作とは)違う世の中の、違う作品になっているわ」と明かした。ビル演じるホイットモア元大統領は、彼女を陰からサポートすることになるようだ。
ウィル・スミスの離脱理由
『インデペンデンス・デイ』はウィル・スミスの出世作でもある。地球に墜落したエイリアンにウィル演じるヒラー大尉がパンチを浴びせるシーンは、大いに観客を沸かせた。今回は残念ながら出演がかなわなかったが、エメリッヒ監督は、「ウィルは最初、この作品にかかわることにとても興奮していたんだ」と証言。「でも彼は続編をやることに疲れてきたのと、(『アフター・アース』の後で)もう一本父と息子の関係を描くSF物をやることに興味をなくしてしまったんだ」と振り返る。エメリッヒ監督もウィルの完全離脱に最初はがっかりしたというが、結果的にその出来事が続編を新しい方向に進ませることになった。「そういったこと(新しいストーリー作り)にはとても注意を払ったよ。僕らのアプローチは、一つの世代からもう一つの世代に、(何かを)受け継ぐということだったんだ」。その結果、新作ではジェシー演じるヒラー大尉の息子ディランや、マイカふんするホイットモアの娘パトリシアが活躍し、『ハンガー・ゲーム』シリーズでも人気のリアムが、新たなヒーロー役として登場することになった。
前作が公開された時に6歳だったというリアムは、新作への参加を「シュールな体験」と表現し、「毎日撮影に来るのがとても楽しい」と満面の笑み。彼が演じるジェイクは、人類の新たな防衛システムとして作られた月面基地で、「ムーンタグ」と呼ばれるフォークリフトのような乗り物を操縦している。「彼がそれに乗っているのは、ちょっとアンラッキーが原因なんだ。前作の戦いで両親を失い、孤児院で育った。そして軍隊に入り、戦闘機乗りになり、最高のパイロットの一人になる。でも、自分のエゴのせいで悪い判断を下し、誰かの命を危険にさらしてしまった。そして、このフォークリフトを運転する素晴らしい仕事をすることになった。戦闘機乗りにとって、決してエキサイティングとはいえない仕事をね」。
前作の成功の要因が、アカデミー賞視覚効果賞を受賞したVFXにあるのは明らかだが、続編では前作以上に、リアムたちが演じるキャラクターたちの群像劇に支えられた人間ドラマを重視しているとエメリッヒ監督は主張する。「僕は、観客はキャラクターに感情移入できなければ、ビジュアルに興味を持たないということを、何年にもわたって学んできた。監督として僕はビジュアル面に惹かれる傾向があるけど、もっとキャラクターに注意を払うことを学んだよ。だから僕は信じている。これは素晴らしいストーリーと素晴らしいキャラクターにあふれた映画なんだ!」。
映画『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』は2016年夏 全国公開