ウーマンラッシュアワーの映画たて・よこ・ななめ見!第35回:『スティーブ・ジョブズ』
映画たて・よこ・ななめ見!
ジブリで宮崎駿監督の出待ちをしちゃうほど映画大好きな村本大輔と、映画に関しては素人同然の中川パラダイスが、あらゆる角度からブッ飛んだ視点で映画トーク。今回は、故スティーブ・ジョブズの有名なプレゼンテーション直前の様子を追った伝記ドラマ『スティーブ・ジョブズ』をななめ見しちゃいます!(取材・文:シネマトゥデイ編集部・入倉功一)
村本「嫌なやつ」ジョブズに超共感!
中川:スティーブ・ジョブズって嫌なやつやな~!
村本:狂ってるわ! でも、その異常さがまた魅力的やな。とにかく生き急いでいる感じがカッコいい! 普通じゃ考えられないことを考えて、普通の人が10年、20年かかることをわずかな時間でやろうとしてたら、ああなるで。そうやって生き急いだ結果できたものがMacだったりするわけや。
中川:なるほどなぁ。
村本:これからプレゼンってときに、「胸ポケットがある白シャツをすぐ用意しろ!」みたいに言うところあったやろ?
中川:フロッピーを取り出せるようにって言ってたな。
村本:そう! そこで周りに「いや、ないですよ」って言われても「いや、絶対これじゃないとダメなんだ」って。ああやって、無理だ、無理だって言われてもそれを突き通そうとするところは俺にもある! ほかの芸人とユニット組んでコントやる企画で、俺のせいでネタ合わせの時間が遅くなったり。
中川:あったな!「もうコントの流れは決まっているから……」って言われても、「いや、こうしたい」って。
村本:最終的に「じゃあ俺は、このコント面白いと思ってないけど、捨てたつもりでやる」って言って。今はそのときに組んだやつらよりちょっと結果が出せているから、思った通りよ! 嫌なやつかもしれんけど、多分ジョブズは俺と性格が似てるわ。間違っていても正しくても、自分の思ったことをしっかりとやっていきたい。その熱こそが結局、伝わっていくんやろな。
中川、父親としてジョブズに物申す
中川:ジョブズは父親の立場から見ても最低やで! 金に困っているわけでもないのに子供を認知せえへんって、僕の理解を超えてるわ。まぁでも、完璧主義者の部分だけ見せられたら、カッコいい、すごい人やなぁってなるだけやけど、最低な部分も見たから……。
村本:そこに人間味を感じて素晴らしいと。
中川:面倒くさいやつやな……って。
村本:結局悪口になるんか!
中川:ひどいのは変わらんもん! おまえも子供ができたらあんな感じになるんちゃう? 前に「ご飯食べに行った時に、嫁と子供におごる意味がわからん」とか言ってたやん。
村本:ジョブズからしたら、見ている方向が家族じゃないのよ。永遠に語り継がれるであろう化け物のような商品を生み出そうとしているわけやから。漫才も一緒。俺も漫才のネタ考えてるときは、女の子を呼んでもコトが済んだら終電で帰らすみたいな。そういう意味では最低よ。でも、それは夜中に漫才が作りたいからで、優先順位が違うわけ。
中川:もう自分の快楽しかないやん……。僕は「帰らんといて、まだおって」って言うタイプやからわからんわ。
村本:いや、おまえの方が最低やで! この前、知り合いの女の子に聞いたんやけどな、その子が友達から「あんたウーマンラッシュアワーの人と仲良くなりたいと言っていたでしょう」って言われて。
中川:友達はその子とおまえのつながりを知らんわけや。
村本:それで聞いたら、その友達が妹と一緒に俺にナンパされて、そこから電話で飲みに行こうとかほんましつこかったから着信拒否したと。その子は、俺はそんなしつこく電話するような人やったんかとショックやったらしいのよ。
中川:二重人格かと。
村本:そう! 中でもその友達が一番気持ち悪いと思ったのは、毎晩のように「(オードリーの)春日さんと飲んでいるんやけど、来いへん?」と誘ってくることやと……って、それおまえのことやがな!
中川:そんなことあるんやなぁ!
村本:その友達は俺のラジオを聞いているから番組で訂正できたけど、もし何も言わんかったら、俺がそんなことしたってなってたわけや。気持ち悪くて着信拒否されたって。おまえは遊びすぎやねん! 今度からウーマンラッシュアワーを名乗るな!
ジョブズの細かさに賛同する村本と困惑する中川
中川:ジョブズの周りの人たちも大変そう! サメの写真を用意しろ言うて39枚目でOK出すやん? あれとかどれも一緒やでって思うわ。
村本:亡きジョブズに代わって言うとな、1個1個のことを完璧に進めて、ちょっとでも違ったものをやりたくない、自分の思ったことをしっかりやっていきたいっていう、こだわりが大事なのよ。
中川:自分も、漫才の練習中に同じことをやったつもりでも、「いや、違う」っておまえに言われるけど、「えっ、さっきと一緒やん」って思うことがあるよ。
村本:ツイッターでもそうやけど、それぞれの意見に合わせてられないのよ。やから俺が持論を明確にして、後に付いてこさせるしかない。そこを押し切るパワーとエネルギーっていうのはジョブズも俺も一緒よ。だから、もしジョブズが漫才やっていたら、 THE MANZAI で決勝に行ってるはず!
中川:立場が違ったら!
村本:そうそう、コンビ名は「ハイヒールアップル」や!
これだけは言いたい!ななめ見ポイント
村本:ジョブズの「嫌われたいとは思ってないけど、嫌われても構わん」ていうセリフあるやろ? あれもよくわかるなぁ。
中川:言いたいこと言っとったら、そら嫌われるで。
村本:人前に出るということは、好かれることも、嫌われることもあるわけ。車でいえば、馬力を上げるためエンジンをでっかくするほど、騒音とか排気ガスが増えるようなもの。それが世の中でいう雑音とか、ガヤっていうものよ。Macなんて世界中に知れわたる物を作ろうと思ったら、それなりにでっかい騒音が出るに決まってるわ。
中川:F1みたいな話やな……。
村本:誰にも文句も言われないように、とろとろ走っとったら音も鳴らん。ただその代わりその程度の人間よ、と。
中川:いや、でもちょっと強がってるところあるんちゃう? 弱いところを見せたくないとか。
村本:それは全くないねん。例えば、わざわざ人のツイッター見てすぐ否定的な意見を書くようなやつに好かれたいと思うか? 俺は逆に嫌われて、縁を切っていきたい。それに、相手の顔色を気にしてやりたい事もやれへんかったら、それこそ自分を嫌いになるで。だからジョブズの気持ちはすごくわかります。きっと、Macはジョブズか作るか僕が作るかやったと思う。
中川:ええ!? なんで、そういう話になるん?
村本:ウーマンラッシュアワーの漫才なんてまさに最新の本当に誰もやったことないことを成し遂げた MacBook みたいなもんやで。おまえはAirやけどな!
中川:空気みたいな存在ってこと……? やめろや! MacBook Air で一つやから!
今月の激オシ映画はコレ!
『スラムドッグ$ミリオネア』などの鬼才ダニー・ボイル監督がメガホンを取り、故スティーブ・ジョブズの半生に迫る伝記ドラマ。ウォルター・アイザックソンのベストセラー評伝を基に、希代の天才の知られざる素顔を丁寧に描写する。第88回アカデミー賞で、ジョブズにふんしたマイケル・ファスベンダーが主演男優賞に、ジョブズの秘書を演じたケイト・ウィンスレットが助演女優賞にノミネート。世界を大きく変えた製品を次々と世に送り出してきた逸材の姿に胸が熱くなる。
(C) Universal Pictures (C) Francois Duhamel
ウーマンラッシュアワー・プロフィール
2008年に結成された、村本大輔と中川パラダイスによるお笑いコンビ。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞受賞、2012年「THE MANZAI 2012」決勝進出、2013年NHK上方漫才コンテスト優勝など数々の賞に輝き、4月に東京進出。先ごろ行われた「THE MANZAI 2013」で見事優勝し、3代目王者に輝いた。
村本大輔 1980年生まれ。福井県出身。自分でも「ネットに書き込まれるうわさはほとんどが事実です!」と認めている、自称・ゲス野郎芸人。だがその一方で、ジブリ作品やピクサーなどの心温まるアニメが大好きで、映画『あなたへ』で号泣するほどのピュアな一面も持ち合わせる大の映画好き。水産高校に通っていたため(中退)、お魚系や海洋ネタにも意外に詳しい。
中川パラダイス 1981年生まれ。大阪府出身。これまで10回もコンビ解散している村本と唯一トラブルもなくコンビを続けている広い心の持ち主。2012年に入籍し、現在1児の子育てを満喫中のイクメンパパでもある。映画に関しては、「王道なものしか観ない」というフツーレベル。