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『デッドプール』徹底解剖!過激な暴力と下品なジョーク満載のアメコミヒーロー映画に全米が夢中

最新!全米HOTムービー

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『デッドプール』
(C) 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

 世界の映画産業の中心・アメリカの最新映画情報を現地在住ライターが紹介する「最新! 全米HOTムービー」。今回は、公開されるや1億3,243万4,639ドル(158億9,215万6,680円)という配給の20世紀フォックス史上最高のオープニング興行収入をたたき出し、R指定映画のオープニング興収記録、2月のオープニング興収記録をも更新した話題作『デッドプール』を徹底解剖! キャスト陣の取材を通して掘り下げました。(数字は Box Office Mojo 調べ、1ドル120円計算)(取材・文:細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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金次第で敵にも味方にもなる異色ヒーロー

ウルヴァリン
「ヒーリングファクター」はこの人から抽出! - Twentieth Century Fox Film Corporation / Photofest / ゲッティ イメージズ

 デッドプールの正体は、「X-MEN」シリーズに登場する傭兵のウェイド・ウィルソン。スパイダーマンやキャプテン・アメリカといったヒーローとは違って“傭兵”なので、金次第で悪役にもなるというマーベルコミックスの中でも異色の存在だ。

 特殊部隊から傭兵に転身して10代の女性の用心棒をしていたウェイドは、ガンに侵されていることが発覚。バーで会った紳士からガンを克服できるという悪魔のささやきを受け、治療と称して「ヒーリングファクター」という物質を体内に注入されたことで、驚異的な回復能力と不死を手に入れることに……。ちなみにこの「ヒーリングファクター」は、「X-MEN」のウルヴァリンから抽出したものとされている。

ライアン・レイノルズと「デッドプール」の運命的な出会い

ライアン・レイノルズ
デッドプール=ライアン・レイノルズ+つぶれ顔の犬

 デッドプール役のライアン・レイノルズは「2004年に別のスタジオ(ニュー・ライン・シネマ)の重役からこのコミックの映画化の企画を聞いた。もし『デッドプール』を映画化することがあれば、君がデッドプールだと言われたんだ」と明かすが、当時は「デッドプール」を全く知らず「デッドプールって何?」と答えたという。

 ところが、コミック「デッドプール」のパネルディスカッションで「デッドプールはどんな顔をしているのか」という質問が出た際、「デッドプールは、ライアン・レイノルズとシャーペイ(注:犬の一種。つぶれた顔をしている)を合わせたような顔をしている」というパネル参加者の返答を聞いて運命的なものを感じ、コミックを読んだそうだ。

 その後、企画がニュー・ライン・シネマから20世紀フォックスに移るなど紆余曲折あったが、2009年に脚本家が雇われ、2011年にはティム・ミラー監督がメガホンを取ることが決定。撮影は昨年3月からカナダのバンクーバーで行われ、同5月にクランクアップを迎えた。

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破天荒なキャラクターを演じた魅力的なキャストたち

デッドプール=ウェイド役:ライアン・レイノルズ

 カナダ出身のライアンは、映画『ブレイド3』で注目され、『悪魔の棲む家』で人気を博した。ちなみに『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』でもデッドプールを演じている。元妻はマーベル映画『アベンジャーズ』のブラック・ウィドウ役で知られるスカーレット・ヨハンソンで、現在の妻はテレビシリーズ「ゴシップガール」のブレイク・ライヴリー。ブレイクとの間には1歳になる娘がいる。

 2年前に今作のテスト映像がインターネット上に流出し、それがTwitterやInstagramで拡散して一気に話題になったことが良かったと語るライアンは、「デッドプール」をR指定で実写化できたことを誇りに思っているという。

恋人ヴァネッサ役:モリーナ・バッカリン

 ブラジルで生まれたモリーナは、7歳のときにニューヨークに移住し、その後ジュリアード音楽院に入学した。その後、テレビシリーズ「The OC」「グッド・ワイフ」などに出演し、「Homeland」で主人公ニコラス・ブロディの妻ジェシカを演じてプライムタイム・エミー賞の助演女優賞にノミネートされた。私生活では現在、「GOTHAM/ゴッサム」で共演中のベン・マッケンジーと交際しており、第2子(ベンとは初めての子)を妊娠中。

 ヴァネッサにはウェイドとのセックスシーンがかなりある上、そのシーンを撮影する際は多くのスタッフも居て緊張したというモリーナだが、自らさまざまな体位のアイデアを提供したそう。しかし、その大半は映画内では使われなかったと苦笑交じりに打ち明けた。

悪役アジャックス役:エド・スクライン

 水泳のコーチを務めたことがあるほど運動に長けている英国出身のエドは、テレビシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」に出演後、映画『トランスポーター イグニション』ジェイソン・ステイサムに代わって主演を務めて一躍注目を浴びた。『デッドプール』と同時期に「Fargo/ファーゴ」のオーディションテープも送ったというが、今作だけ出演が決まりむしろ良かったと語る。アジャックスを演じる際は、『ブレードランナー』ルトガー・ハウアーが演じた人造人間ロイ・バティーを参考にしたという。

ミュータントのコロッサス役:ステファン・カピチッチ

 デッドプールを「X-MEN」に勧誘するコロッサスの声を演じたのは、『ランド・オブ・アドベンチャー』のステファン・カピチッチ。CGで描かれるコロッサスの表情を担当したのが、『アベンジャーズ』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』などでキャラクターの顔のモーションキャプチャーに携わってきた視覚効果のグレッグ・ラサールだ。コロッサスの顔はグレッグの顔をモーションキャプチャーしたものだが、彼の話す言葉はロシア訛りの英語にするため、クロアチアの俳優であるステファンが声優に選ばれた。

ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド役:ブリアナ・ヒルデブランド

 同じくデッドプールを「X-MEN」に勧誘するミュータントであるネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドにふんしたのは、ウェブシリーズ「アニー・アンドキュメンテッド(原題) / Annie Undocumented」がニューヨーク・テレビ・フェスティバルでベストウェブシリーズを獲得し注目され、今作に異例の大抜てきとなったテキサス出身19歳の新進女優ブリアナだ。高校1年のときにはフォトショップで自分の写真をライアン・レイノルズの写真に貼り付けたことがあったほど、ライアンのファンだったそうだ。

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マーベル映画なのにR指定!過激な暴力と下品なジョークがたっぷり

『デッドプール』
Twentieth Century Fox Film Corporation / Photofest / ゲッティ イメージズ

 これまでほとんどのマーベル実写映画はPG-13(13歳未満の鑑賞には保護者の同意が必要)だったが、何と今作はR指定(17歳未満の鑑賞は保護者の同伴が必要)。昨年7月に行われたサンディエゴ・コミコンでは「Red Band Trailer」と呼ばれるR指定用の予告編が公開され、過激な暴力と下品なジョークがふんだんに盛り込まれたその映像は長年映画の完成を待ち望んでいたファンを熱狂させた。本編では、オープニングショットからユーモアあふれるクレジットシークエンスが見どころだ。

 通常、演劇や映画では観客に演者が話しかけることがタブー視されているが、本作ではデッドプールが観客に向かって話しかける「Breaking the 4th Wall」といういわゆる「第四の壁(フィクションである劇中の世界と観客のいる現実世界との境界)」を破ったシーンが多く含まれている。もちろん、金次第で簡単に悪にもなるというアンチヒーロー的要素も本作の独特の魅力といえる。

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批評家からも映画ファンからも絶賛の嵐!

 ちなみに、大手映画批評サイト Rotten Tomatoes では228人の批評家から満足度83%と高い評価を受けている。Entertainment Weekly の批評家クリス・ナシャワティは「映画の形態を壊した勇気と、エッチでいたずらなR指定の感覚が楽しめた」、The Hollywood Reporter の批評家トッド・マッカーシーは「マーベルコミックスの実写化に飽き飽きした人に喜んでもらえるだろう。本作はマーベルブランドに対してもひどいこと言っている」と称賛。

 また、Rotten Tomatoes の一般ユーザー12万8,000人のうち「Liked it」をクリックしたのが94%に上るなど映画ファンからも圧倒的な賛同を得ている。IMDbでは17万9,000人のユーザーが本作を採点した結果10点満点中8.6点を獲得しているほか、Facebookでも460万人が本作に「いいね!」を付けるなど、型破りなこのヒーローに批評家も映画ファンも夢中になっているようだ。(数字は2月24日現在)

映画『デッドプール』は6月日本公開

【今月のHOTライター】
細木信宏/Nobuhiro Hosoki
海外での映画製作を決意し渡米。フィルムスクールに通った後、テレビ東京ニューヨーク支局の番組「ニュースモーニングサテライト」のアシスタントとして働く。現在はアメリカのプレスとして活動中。

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