大作もりもり夏アニメ!今年の有名人声優はアリ?ナシ?
今週のクローズアップ
夏アニメの季節、到来。今期のテレビアニメには「ラブライブ!サンシャイン!!」「ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園-」「バッテリー」「91Days」と期待作がズラリと並んでいますが、テレビだけで満足するなんて、おお、なんともったいない! そしてこれも言っておきたい! 有名人の声優起用についてさまざまな意見が飛び交っている昨今ですが……今年の夏アニメはいいぞ。(編集部・井本早紀)
■安定のディズニー/ピクサー作品『ファインディング・ドリー』
唐沢寿明ウッディを生んだ『トイ・ストーリー』時代から、「この人以外考えられない」ほどハマっている有名人声優を生み続けているピクサー。今年の声優セレクションもバッチリでした。『ファインディング・ニモ』からの木梨憲武(マーリン)&室井滋(ドリー)コンビは言わずもがなですが、特にタコのハンク役の上川隆也さんがとんでもなく素晴らしい。
上川さんは声優デビュー作のテレビアニメ「天元突破 グレンラガン」アンチスパイラル役から高評価でしたが、『ドリー』のイケメン声は飛び抜けすぎ。眼福ならぬ“耳福”状態。ディズニーさん、ハンクの声が常に聴けるドラマCDを出しませんか? ジンベエザメ・デスティニー役の中村アンさんも、鑑賞中全く顔が浮かばないくらいピッタリハマっています。もちろん映画の内容も一級品。「楽観的に見える人こそ、実はすごく不安を抱えていることがあるよね」と優しく語り掛けるように、どんな性格もアイデンティティーも存在を肯定してくれるピクサーの優しさに涙……あと日本人だからでしょうか、タコが大変おいしそうに見えるのです。
■しょこたん=ポケモン声優10年目のベテラン『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z「ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ」』
しょこたんこと中川翔子さんも、ポケモン声優はもう今作で10年目。ポケモン役から人間役までなんでもござれな彼女が今回挑戦したのは、舞台となるカラクリ都市「アゾット王国」の王子ラケル役。つまり少・年・声! その声がたまらんのです。ボルケニオン役の市川染五郎さんも、アニメ声優初挑戦のはずなのにすでにベテラン声優の風格が漂っていて……。
19年連続出演し続けている山ちゃん(山寺宏一)は別格としても、ポケモンの特別出演枠ってレベル高すぎない? むしろ、まだちょっぴり硬さが残る松岡茉優さんの演技に安心する……でも松岡さんが演じている王女キミアはかなり生真面目なキャラクターなので、その硬さも合っているんです。去年の藤原竜也さんの演技も風格あるものでしたし、ポケモンの声優をなめてかかっちゃいけないですよ。また、湯山邦彦監督によるバトル描写は見事。疾走感のある空中バトルのカメラワークや、恐ろしく描き込まれた機械など、数々の少年少女たちをワクワクさせてきた匠の技が光っています。
■初挑戦なんてうそだ……イケネコに目覚める『ルドルフとイッパイアッテナ』
さて先ほどの「ポケットモンスター」も手掛けている制作会社OLMが贈る人気児童文学の劇場版アニメ『ルドルフとイッパイアッテナ』。原作が児童文学ということもあり、「教育を受けることの意味」や「動物を飼うということ」など子供に教えたいテーマがちりばめられていて、親子で観に行きたい作品です。しかし、鈴木亮平さん。アンタ、声優初挑戦なんてうそだろ……うなるような声を保ちつつ、イッパイアッテナの時に厳しく時に優しい幅広い演技を披露するものだから、もう初めてなんて信じられない。苦笑するような笑い方も男らしく、鈴木さんのせいでイッパイアッテナのイケネコぶりに何かが目覚めそうになります。実写でも『HK/変態仮面』『俺物語!!』とファンを裏切らない演技を続けている鈴木さんは、原作ファンの味方だと思うの。
一方でルドルフ役の井上真央さんも声優はこれで2度目とは思えないほど、超絶キュートなニャアニャア声がたまりません。アニメ界隈で吹き替えの実力が認められているブッチー役の八嶋智人さんとデビル役の古田新太さんも当然ですが素晴らしく、『ルドルフとイッパイアッテナ』で声優起用された俳優さんたちには、今後もぜひアニメ界で活躍していただきたい。そしてそういう人しかチョイスしなかったキャスティングの方に拍手を送りたい。
■綾野剛の低音ボイスがハマっている『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』
人気ゲームシリーズの最新作「FINAL FANTASY XV」の、もう一つの物語。FFの映画といえば、もはや伝説と化した『ファイナルファンタジー』(2001)もありましたが、やっぱりFFといったら剣と魔法の世界なんだよ! それでいいんだよ! と画面いっぱいに広がるスタイリッシュ至上主義な世界に、中二病が再発してしまうことでしょう。ゲームとは異なり、説明書などを片手に観ることはできないので最初は設定についていくことに必死になってしまうかもしれませんが、むしろ考えるのではないんです。感じろ。映画の主人公のニックスの声は、声優初挑戦の綾野剛さんが担当。濁点が付いているような低音ボイスが結構ハマっているんです! ヒーローには叫び声がつきものですが、しっかりと熱量を持った声で物語に熱さを加えてくれます。一方のヒロイン・ルナフレーナ役の忽那汐里さんは、ちょっと声が少女すぎたかも。でも本作は海外の俳優さんのモーションキャプチャーでキャラクターの動きをつけているため、キャラの口の動きから吹き替え版を観ている気持ちになれるので、違和感は払しょくされやすいです。あと昔ドット絵で見たあのモンスターも出てきてね……ワクワクしすぎて観ている方が「ヌォオッ」と変な声が出ましたよ……。
■人気声優大集合!『ペット』
宮野真守さん、梶裕貴さん、沢城みゆきさん、銀河万丈さん、中尾隆聖さん、山寺宏一さんと声優ファンの心をがっつりとつかんでくるキャスティングの『ペット』。主人公の犬マックス役の設楽統さん、彼と一緒に暮らすことになるデューク役の日村勇紀さんのバナナマンコンビをしっかりと支えています。ちょっと平坦な感じはあるけれども、設楽さんのマックスの声を一度聞いてしまうと、もう彼以外の声のマックスが想像できなくなるのはすごいところ。また意外とイイのは、おでぶちゃんな猫クロエ役の永作博美さん。だけどそんな中でも、字幕版でも観ていただきたいと思ってしまう心があって……その理由は、白いヒロイン犬・ギジェットにあるんです。沢城さんのギジェットはものすごくキュートな声で、実際に最高なんですが、オリジナル版のジェニー・スレイトさんのハスキー声は、もう耳から離れなくなるくらいで……(ジェニーさんは『ズートピア』のオリジナル版で羊のベルウェザー副市長を演じた人です)。日本にも、もっとハスキー声のヒロインが増えてほしいと願いたくなる。もちろん両者ともステキなので、吹き替え・字幕版の両方を観るという選択肢もあるのよ……?
■アニオタは外せない2作!
そのほかにもアニメファンならば外せない『ONE PIECE FILM GOLD』(7月23日公開)、『君の名は。』(8月26日公開)の2作も今年の夏に公開! 『ONE PIECE FILM GOLD』は、テレビアニメ「ONE PIECE ワンピース」の主題歌「Believe」を歌った満島ひかりさんが、声優として「ONE PIECE」に戻ってきたことだけでもファンにとってはうれしいところ。さらにほかの声優陣も北大路欣也さんや濱田岳さんと豪華なんです。
『君の名は。』は『サマーウォーズ』『借りぐらしのアリエッティ』の神木隆之介さんが主演声優なので、問題ナッシングですね。