『HiGH&LOW THE MOVIE』AKIRA&岩田剛典 単独インタビュー
全部が一生モノのカットでヤバイ!
取材・文:斉藤由紀子 写真:高野広美
EXILE TRIBE による総合エンターテインメント「HiGH&LOW」の劇場版がついに完成。本作は架空の街・SWORD地区に存在するチーム同士の闘いと、メンバー間の絆を克明に描く完全オリジナルストーリーだ。伝説のチーム「ムゲン」の総長・琥珀を演じたのは、役者としても知られるEXILE のAKIRA。そして、琥珀に複雑な感情を抱く後輩コブラを、三代目 J Soul Brothers 兼EXILEの岩田剛典が演じる。共に体当たりのアクションに挑戦した二人が、作品に対する思いを熱く語った。
とてつもないスケールのアクション!
Q:ドラマ版はド迫力の乱闘シーンや本格パルクールなど、アクションのカッコよさで話題になりましたが、映画版のアクション撮影はいかがでしたか?
AKIRA:ドラマ版よりさらにスケール感と熱量がすごいです。いやー、撮影は大変でしたねえ。
岩田剛典(以下、岩田):本当に大変でした。
AKIRA:僕と岩ちゃんのタイマンシーンは、感情と感情のぶつかり合いという人間ドラマ的なアクション。でも、岩ちゃんが挑んだ1,000人に迫る大乱闘は、『マッドマックス』的な感じというか、エンターテインメントの部分がすごくあるんですよ。
岩田:設備も機材も、日本映画とは思えないほどの規模でしたしね。
AKIRA:例えば、ワイヤーアクションって、僕らがワイヤーをつけるのは当たり前なんだけど、今回はカメラマンさんもワイヤーをつけて役者と一緒に動くんです。
Q:そんな撮り方もあるんですね!
岩田:あまりないと思います。カメラマンさんがすごかったんですよ。「全部が一生もののカットだね」って、撮影中にみんなで言っていたんですけど、それだけ恵まれた環境で撮影させてもらえたんです。
AKIRA:平場での一連のアクションをノーカットで撮り続けることってあるんですけど、それを立体的にやっているんです。高い場所で殴られて落ちていくところを、カメラマンさんも一緒に落ちていく。で、さらに床でも追いかけてとか、もうヤバイです!
タイマンシーンもガチ勝負
Q:かつては仲間だったのに、映画では火花を散らすことになり、タイマン勝負を繰り広げる琥珀とコブラ。同じ EXILE TRIBE のメンバーとして、バチバチ感を作り上げる苦労などはありませんでしたか?
岩田:僕の場合は、ドラマ版の時から積み重ねてきた役柄としての感情の流れのピークだったので、自然とそのテンションにもっていけました。もちろん、普段の信頼関係があるからこそ、バトルも「思いっきりやらせていただきます!」という感じでしたね。AKIRAさんだったから身を預けられるという安心感があって、より役に入り込めました。
AKIRA:3、4年前だったら、まだ自分のことに精いっぱいで周りが見えていない時期だったから、身近な人ほど照れちゃって入りづらいこともあったんです。入り込むまでに時間がかかった。でも、今は真逆なんです。初めてご一緒する役者さんだと、ゼロからコミュニケーションを取って芝居をしやすい環境を作るんですけど、岩ちゃんは信頼関係がすでにある上で感情もアクションもぶつけ合えるので、その分、スイッチが入りやすい。ガッと喧嘩して、OKカットがかかった瞬間に「大丈夫?」って声を掛けて、安全第一でやれました。
岩田:そう、現場ではみんなで声を掛け合っていましたね。ケガや事故がないように気を付けていました。
Q:岩田さんは映画デビュー作『クローズEXPLODE』でもバトルシーンを経験されていますが、当時と比較して芝居に対するお気持ちに変化などはありますか?
岩田:『クローズ』のときは素人さんでした(笑)。現場での居方とか、作品にどのくらいの人が関わって、どれだけの思いがあるのかとか、よくわからないまま「とにかく参加します!」という感じだったんです。そこからいろんな経験をさせてもらって、現場の方々や作品に関しても深く感じるようになれたのは、成長した部分なのかなって思います。
喜びも苦しみも分かち合える同志
Q:俳優として活躍するパフォーマーの先駆者であるAKIRAさんと、その後輩である岩田さん。お互いをどう見ていらっしゃるのでしょう?
岩田:AKIRAさんとは今回初めてお芝居で共演させてもらったんですけど、シーンごとに監督と綿密にディスカッションされて、より良い作品にするために妥協がないんです。本当にストイックなところが先輩としても役者としてもリスペクトだなと思いましたね。
AKIRA:僕にとって岩ちゃんは同志です。EXILE TRIBE の仲間だし、僕が先陣と言っても、それはタイミングなだけで今は岩ちゃんも役者としてやっているわけで、本当に喜びも苦しみも分かち合える同志という思いが強い。今回の現場でもそういう感覚がありました。岩ちゃんから刺激をもらうこともありましたね。
Q:岩田さんもAKIRAさんを同志だと感じているんですか?
岩田:同志……なんですけど、年齢もキャリアも全然違うので、僕にとっては大先輩です。敬語は崩せません(笑)。
AKIRA:単純にリスペクトという感じですよね。やはり、EXILEはHIROさんとオリジナルメンバーが築き上げた流れがあって、僕は僕で上の世代にリスペクトがありますし、たぶん岩ちゃんもそういった感覚があるんじゃないですかね。ただ単に「俺の方が先に入ったんだから言うこと聞けよ」というのではない……と思います(笑)。
岩田:もちろんです(笑)。
今よりも上を目指して日々鍛錬
Q:お二人とも本作では笑顔をほぼ封印していますが、岩田さんは『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』で真逆のにこやかな王子様キャラを演じていますよね。まるで別人で驚きました。
岩田:そう言ってくださるのはうれしいです。撮影しているときは特に感じなかったんですけど、時間が経ってから『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』の完成版を観ると、「うわ、何コレ? 俺ってこのときこんなだったのかー!」とか、ちょっと恥ずかしく思う気持ちもあります。(笑)。今回の映画は、あのラブストーリー感が微塵もないから、余計にそう思ってしまいます。
AKIRA:同時期に同時進行で撮影するんだったら、植物系から『HiGH&LOW』のような肉体系に行く方が、ギャップがあってやりやすいかもしれないよね(笑)。
岩田:ああ、それはそうかもしれないです。
AKIRA:僕も医者の役をやりながら弁護士の役はキツいかもしれない。役柄や作品のジャンルが近いよりは、ふり切れちゃった方がいいかもしれないです。とはいえ、毎回良い意味でリセットするので、引きずられることはないと思いますけど。
Q:ちなみに、お二人は EXILE TRIBE のメンバーになる前から役者への意欲があったんですか?
AKIRA:僕の場合は、EXILE の前にRATHER UNIQUEというヒップホップユニットで、いちパフォーマーとして活動していて、それこそ「ひとりチャップリン」みたいなパフォーマンスをしたり、コンセプトに合わせたキャラクターでその都度、踊っていましたので。だから、もとから演じるという表現が自分の中にはあったような気がするんです。
岩田:僕は、三代目JSBに入る前はダンサーでしかなくて、お芝居をやるなんてまったく思っていなかったんです。純粋にダンサーとしてEXILEに憧れていて、ファッションをマネしたりしていたんですよ。芸能界に憧れていたわけではなく、EXILE TRIBE だからオーディションを受けさせてもらいましたし、目指したいものがあった。その先に、俳優という新たな夢が生まれた感じなんです。
AKIRA:岩ちゃんのような新しい世代が入ってきてくれたのは、本当にうれしいです。自分も役者としては毎日が鍛錬というか、修行ですので、一つ一つを積み重ねていって、10年後、今よりも良い表現者になっているために向き合っていきたいですね。
終始リラックスした様子でインタビューに応じたAKIRAと、彼の傍らで先輩の一挙手一投足に神経を注いでいるように見受けられた岩田。その佇まいは映画で描かれた最強の男・琥珀と、琥珀のカリスマ性に魅了されたコブラを彷彿させる。一方で、パフォーマー&俳優という同じスタンスを有する者同士のゆるぎない信頼関係も感じさせ、EXILE TRIBE の結束力の強さが本物であることを確信した。彼らが作り上げたアクションもビジュアルセンスも規格外の本作は、既存の映画の概念を超えたエンターテインメントの新たな可能性なのかもしれない。
<AKIRA>ヘアメイク:KUBOKI(Three PEACE)、スタイリスト:橋本敦(KiKi inc.)
<岩田剛典>ヘアメイク:千絵(H.M.C)、スタイリスト:葛西“JUMBO”克哉
(C) 2016「HiGH&LOW」製作委員会
映画『HiGH&LOW THE MOVIE』は公開中